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気軽に受診できる物忘れ相談を通して
認知症患者や家族をサポート

みずのや医院

(京都市上京区/今出川駅)

最終更新日:2023/02/14

みずのや医院 気軽に受診できる物忘れ相談を通して 認知症患者や家族をサポート みずのや医院 気軽に受診できる物忘れ相談を通して 認知症患者や家族をサポート
  • 保険診療

認知症は、高齢化が進む社会の中で増加する病気の一つだ。物忘れや性格の変容などに悩まされる姿が映画やドラマでも話題になっており、実際に介護の大変さを実感している人も多いだろう。そんな中、活躍が期待されるのが認知症サポート医の存在だ。認知症サポート医は、地域で認知症患者とその家族を支えるために認定された認知症のアドバイサーを担う医師のこと。京都市の西陣地区にある「みずのや医院」の「ひげの先生」こと水谷正太院長もその一人として、地域の認知症患者や家族の相談に耳を傾けている。そこで今回は、今後当事者が増えることが予測される「認知症」について、水谷院長に詳しく話を聞かせてもらった。

(取材日2023年1月27日)

患者や家族の声に耳を傾け、適切な支援へとつなぐことに注力

Q認知症とはどういった病気ですか?
A
みずのや医院 認知症や物忘れ相談について丁寧に説明してくれる水谷院長

▲認知症や物忘れ相談について丁寧に説明してくれる水谷院長

認知症とは、脳の病気や障害が原因で記憶や判断力に障害が起こり、生活に支障が出ている状態を言います。症状や原因はさまざまで、脳が萎縮するアルツハイマー型、脳の血管障害によって起こる血管性認知症、脳の神経細胞の減少によって起こるレビー小体型、若年層にも起こりやすい前頭側頭型、いくつかの原因が複合して起こる複合型などがあります。現在、根治につながる画期的な治療法はありませんが、適切な治療によって進行を遅らせることが期待できたり、支援を受けたりすることで生活の負担軽減につなげることはできます。おかしいな? と感じたら、地域の認知症を専門とする医師や認知症サポート医に相談してみると良いでしょう。

Qどのような症状の時、認知症を疑ったら良いのでしょうか。
A
みずのや医院 当たり前のようにしていたことができなくなったら、注意が必要

▲当たり前のようにしていたことができなくなったら、注意が必要

認知症というと「物忘れ」を想像する方が多いと思います。しかし、ある程度の物忘れは誰にでも起こり得ることで、年を重ねれば仕方がないことです。ちょっとした物忘れをすることがあっても、日常生活に差し障りがなければ慌てる必要はありません。ただし、料理や買い物、散歩、趣味、通院など、これまで当たり前のようにしていたことができなくなったら注意が必要。また、うつっぽくなったり、怒りっぽくなったりと性格の変容が生じるタイプや、身体機能が低下し寝たきりになってしまうタイプの認知症もあります。認知症かと思っていたら違う病気だったという場合もありますし、その逆もしかり。心配な場合は検査を受けることをお勧めします。

Q先生が取り組んでいる「物忘れ相談」について教えてください。
A
みずのや医院 患者本人はもちろん家族に寄り添ったサポートを行っている

▲患者本人はもちろん家族に寄り添ったサポートを行っている

「物忘れ相談」は認知症を早期発見し、患者さん本人はもちろんご家族を含めたサポートを行うことを目的としています。これは、社会の高齢化に伴い増加する認知症患者さんを、地域みんなで支えるための取り組みです。患者さん本人からの相談ももちろんですが、ご家族の相談や他院からの紹介も受けつけています。必要があればしっかりと検査できる病院を紹介し、検査結果をもとにしたアドバイスや投薬などを行いますので、気軽に相談に来てください。また、在宅医療・介護連携支援センターという市の組織にも所属しているので、日々の暮らしで助けが必要な場合にはこちらも相談いただければ、適切な支援へとつなげます。

Qどのような相談が多いですか?
A
みずのや医院 家族などの身近な人からの相談が多い認知症

▲家族などの身近な人からの相談が多い認知症

ご本人からの相談よりも、ご家族の方からの相談が多いですね。「同じことを何度も聞くようになった」とか「突然怒り出すなど感情の起伏が激しい」「外出すると迷子になってしまう」など、認知症の記憶障害に付随する症状が多いです。ただ、ご本人に病識があることは少なく、家族がいくら心配しても本人は受診を拒否されることも。そのため、ご家族だけで相談に来られるようなケースも多いです。また、当院は内科ですので、健康診断を口実に連れてきていただくこともありますよ。お一人暮らしの場合には、近所の方が異変に気づいて受診につなげてくださることもあり、「身近な人が気づくこと」が大切な病気だとあらためて感じることも多いです。

Qご家族がサポートする上で心がけるポイントはありますか?
A
みずのや医院 一人で抱え込まず、気軽に相談にきてほしいと話す水谷院長

▲一人で抱え込まず、気軽に相談にきてほしいと話す水谷院長

認知症は家族のサポートが必要な病気ですが、家族のサポートだけではいずれ限界がやってきます。なぜなら認知症はサポートが大変な病気だからです。そのため、頼れるべきところに頼ること、訪問診療や介護保険などを適切に利用して家族が安心して暮らせる体制をつくることが最大のポイントになります。また、認知症を正しく受け止めることも大切です。大好きだった家族が変わっていく様子を見るのは、とてもつらいと思います。しかし、そのつらさを患者さん本人にぶつけてもどうにもなりません。ご家族の悲しみや苦しみには、私たちをはじめとする地域のサポーターがしっかりと寄り添います。無理をし過ぎず、しっかり周りを頼ってください。

ドクターからのメッセージ

水谷 正太院長

例えばがんや循環器疾患であれば、一番つらいのは患者さん本人ではないかと思います。しかし認知症はその逆で、大変なのはほとんどの場合「介護者」です。大好きな家族のことだから「自分がなんとかしなくては」と思う気持ちは当然ですが、介護者が倒れてしまっては意味がありません。適切な支援を受け、認知症と上手に暮らすことをめざしましょう。適切な支援の受け方がわからなければ、そのことも私たち認知症サポート医にどんどん聞いてください。私たちが持つ経験や知識を生かして、できる限りサポートします。認知症は大変な病気だけれど、つらいだけではありません。大変な時こそ、私たちがそばにいることをどうか忘れないでください。

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