口は予防の最前線
より良い栄養摂取で「なりたい自分」に
わたなべ歯科
(春日部市/春日部駅)
最終更新日:2025/02/14


- 保険診療
歯科医院で栄養に関する話をする、というとまだまだなじみがない人も多いだろう。春日部にある「わたなべ歯科」の渡辺勝院長は、歯科から患者の健康にアプローチすべくさまざまな角度からトライしており、栄養相談もその一環。そもそもの始まりは、「同じような疾患の程度・年齢の患者なのに、どうして治療した後の経過が異なるのだろう」という疑問から。どの患者も同じようにきちんと治したいと渡辺院長が思った時、歯科の観点を踏まえた栄養面からのアプローチに行きついたという。今では管理栄養士1人、栄養士2人という充実の布陣で患者からの栄養相談に対応している。詳しい話を管理栄養士の古澤安奈(ふるさわ・あんな)さん、栄養士の北國友彩(ほっこく・とあ)さんと橋本水葵(はしもと・みずき)さんに聞いた。
(取材日2024年10月21日)
目次
栄養状態が変われば口の中も精神状態も変わる可能性が
- Q歯科と栄養の話がどう関係するのですか?
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A
▲左から橋本さん、古澤さん、北國さん
【古澤さん】たしかに歯科と栄養の話の関係性はまだまだ一般的なことではないかもしれません。でも体はすべて食べたものでできていますので、実は密接に関係しています。例えば、歯が削れてしまうほど食いしばりが強い方の多くは鉄分が足りていないことが多いのです。また歯茎の状態が良くない方も栄養状態に偏りがあり鉄分不足の方が多くいらっしゃいます。歯科での治療と並行して、お食事の内容を見直して栄養状態の改善を図ることもお口の健康を考える上で大切なのです。栄養状態が良くなると、お口の中の汚れがねばねばから、掃除がしやすいサラサラに変わったり、歯茎の赤みの軽減につながったりもするんですよ。
- Qこちらではどのように栄養に関するアプローチをするのですか?
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A
▲スタッフ自身が作成した資料なども用いて、改善策を提案
【北國さん】いずれすべての患者さんに関われるようにしたいと考えていますが、今は歯科医師や歯科衛生士が問診や治療を行った際などに、患者さんの栄養状態をより良くする必要があると判断した場合、患者さんに栄養相談をご提案し私たちに声がかかります。そしてお話を伺います。栄養状態の良し悪しは、お口の中の状態とも関連しており、すぐに見て取れるのです。ここで気をつけているのは、患者さんが今後どのような生活を望まれているかということ。患者さんの考える「なりたい姿」をくみ取り、それをどう実現するかを患者さんと一緒に考えていきたいと思っています。
- Q子どもにも対応されているのですか?
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A
▲子どもから大人まで、年齢を問わずサポートを行っている
【橋本さん】栄養状態は、お子さんのほうがお口の中やさまざまなところにダイレクトに表れます。一番顕著なのが糖分摂取。これは大人も同様ですが、甘いものを食べると含まれている糖分により血糖値が上がり、体内でインスリンが分泌され、体は血糖値を下げようとします。すると人は眠くなります。眠くなると体の動きが鈍くなりますが、そうなると本能的に人間は危機感を感じるので、今度は体を動かすためにアドレナリンなどのホルモン物質を出します。これは興奮作用がありイライラしたり癇癪を起こしたりということにつながる場合も。糖分摂取はお口の健康面でも気をつけたいですが、お子さんの行動面にも関わる場合があるのです。
- Q私たちがより良く生きるためにも栄養に関する知識が必要ですね。
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A
▲一人ひとりに合った栄養の摂取方法をアドバイス
【古澤さん】そうなんです。アドレナリン関係でいうと、大人の場合はイライラを鎮めるために強く噛みしめて我慢する方もおられますが、長年その状態でいると、歯が欠けたり割れたりすることもあります。理想的な栄養摂取をするというより、さまざまな知識を持って、できるところから意識していただけるといいと思いますし、私たちも栄養「指導」ではなく、栄養「相談」ということで、話し合い、一緒に歩んでいくことができたらと思っています。お食事内容の話、特に甘いものに関する話は皆さん敏感です。どうして甘いものを欲してしまうのかというメカニズムからお話しし、患者さんが嫌な気持ちにならず、前向きに取り組めるよう配慮しています。
- Qコミュニケーションも大切にされているのですね。
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A
▲スタッフが毎月作成している「栄養新聞」
【古澤さん】歯のためにも全身の健康や精神状態のためにも、糖分摂取を制限したほうが良いとなった時、いきなり今日から甘いものは駄目です、と言っても無理ですよね。一回に食べる量を減らしてみたり、食べる回数を見直したり、代替品を考えてみたり、少しづつやっていくと案外人はすぐに慣れていきますので、ストレスがかからないよう患者さんと話し合いながら患者さんの「なりたい姿」に向かって進めていきます。大切なのは小さな成功体験の積み重ね。患者さんのモチベーション維持につなげられるようお声がけしています。当院では栄養に関することもきちんと記録を残し、数値で成果を実感できるようにしています。
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。