心療内科併設だからできる
心と体をトータルに考える内視鏡検査
佐藤内科診療所
(横浜市神奈川区/反町駅)
最終更新日:2022/12/27
- 保険診療
胃の痛み、不快感、胸焼け、喉や胸がつかえた感じなどの症状を起こす原因として、最初に疑われるのはがんを含む消化器の病気だ。しかし消化器内科と心療内科を併設し、心と体をトータルに診療する「佐藤内科診療所」の佐藤泰弘院長は、「さまざまな検査や問診で体の病気が見つからない場合、メンタルの関与も考えられます」と話す。「ストレスが関連する胃潰瘍などはよく知られていますが、それ以外にも喉がつかえるような感覚はうつ病の患者さんに多いなどの報告があるのです」と語り、心と体を一体的に診ることの重要性を強調する。大学病院や地域の基幹病院で30年以上近く内視鏡検査を行い、心療内科でも診療経験を持つ佐藤院長に、胃の内視鏡検査からわかる病気や心療内科の診療について詳しく聞いた。
(取材日2021年12月1日/更新日2022年12月9日)
目次
内視鏡検査で「異常なし」の結果でも改善しない体の症状に、メンタル面からもアプローチする
- Q胃の内視鏡検査でどのような病気がわかるのですか?
-
A
胃の内視鏡検査は、食道、胃、十二指腸を含む上部消化管に対する内視鏡検査の一部です。一般的に胃の痛みや不快感、胸焼け、喉や胸がつかえる感じなどの症状に対する検査として行われ、胃がん検診ではがんの疑いがある方を拾い出すスクリーニングにも使われます。胃の内視鏡検査でわかる病気の代表例は胃がん、胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった消化性潰瘍、逆流性食道炎など。このほか胃がんになるリスクを高めるとされるヘリコバクターピロリ菌の有無を確認するためにも用いられます。ファイバースコープを口から通す経口内視鏡と鼻から通す経鼻内視鏡があり、当院ではより精緻な検査にこだわってほぼ100%経口で行っています。
- Q検査で病気が見当たらない場合はどうなりますか?
-
A
内視鏡検査以外にも問診、触診などで患者さんの状態を十分に確認して、症状はあっても体の病気が認められない場合、メンタルの不調が関与している可能性も考えられます。「胃は心の鏡」という言葉は、私が内視鏡を学んだ恩師から受けた助言ですが、一般的に人間はストレスを感じるなどの緊張状態が続くと交感神経が刺激され、胃痛や胃炎、胃潰瘍をはじめ消化器の不調や病気が起きやすいとされます。もちろんストレスの影響は消化器以外にも、呼吸器、循環器、内分泌代謝系、皮膚など体全体に及び、狭心症や心筋梗塞のような心臓の症状との関連も指摘されています。また、喉がつかえたような感覚はうつ病の患者さんによく見られる症状です。
- Qメンタルの関与が考えられる患者への対応を教えてください。
-
A
一般的には内視鏡検査を行った医師が「病気はありません」と診断するか、症状によっては心療内科や精神科を紹介すると思います。ただ、当院では心療内科を併設しており、院内で継続してメンタル面の診療が可能です。当院で診る場合は、うつ病、不安神経症、統合失調症に代表される精神症状を念頭に置いてスクリーニングし、うつ病や不安神経症なら抗うつ薬などを中心とした薬物治療を行い、休養をお勧めするといった生活の改善にも取り組みます。うつ病は適切な治療を行えば回復が見込める病気ですが、それには生活環境を整えることも非常に重要なのです。なお、必要に応じて当院から精神科を専門とする医療機関へのご紹介も行います。
- Qうつ病の診断ではどんな点が重視されますか?
-
A
精神疾患の国際的な診断基準などでは、うつ病の診断基準の基本として「抑うつ気分」あるいは「興味や喜びの喪失」のいずれか一つがある場合となっています。うつ病は誰にでも起こる病気で、特に「真面目」「几帳面」「責任感が強い」といった性格の方はなりやすいといわれます。しかも、胃痛など消化器系の不調、食欲の低下といった体の症状を気にして受診されて、うつ病と診断された場合、「自分がうつ病とは思わなかった」と驚かれる患者さんがなおさら多いはずです。気分の落ち込みだけでなく、「大好きだったことがおっくうになった」「以前ほど興味が持てるものがない」などの場合も心療内科で相談されたほうがいいでしょう。