患者に寄り添い続ける
ステップアップの訪問歯科診療
やまもとファミリー歯科医院
(八幡市/樟葉駅)
最終更新日:2023/07/03
- 保険診療
「長年お世話になってきた歯科医院に最期までお世話になりたい」。そう考えていても高齢になるにつれ足腰が弱ったり病気になったり、認知症の発症や介護施設への入所など、通院し続けられない状況になる人も多い。家族に付き添ってもらえても、待ち時間や診療台への移動などは体に負担がかかる……。そんなときに利用したいのが訪問歯科診療だ。「やまもとファミリー歯科医院」の山本貴信院長は、自身が施した治療に対し、最後まで責任を持ちたいと訪問歯科診療をスタート。口腔機能訓練にも長けた歯科医師を迎え入れ「妥協ではなくステップアップの診療」に取り組んできた。「高齢患者さんにモテる」と笑う山本院長と、現在の訪問診療の中心メンバーである宮武麗子先生に、訪問診療について聞いた。
(取材日2021年7月13日/再取材日2023年6月14日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q訪問歯科診療の対象者と、受けられる診療内容を教えてください。
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A
【山本院長】訪問歯科診療をご利用いただいている患者さんは、ご高齢になり歩くのが困難になった方、認知症が進み来院が難しくなった方、ご病気などで寝たきりとなってしまった方、車いすを利用されている方が中心です。また障害がある方は全年代が対象となります。 【宮武先生】診療内容については、虫歯や歯周病の治療、口腔内のクリーニング、口腔機能訓練など、クリニックにお越しいただいた際に受けられる保険診療のほとんどが可能です。一部、保険外診療にも対応しています。虫歯ができたら治療をしていきますが、歯周病については治療だけでなく、日頃からの口腔内ケアが重要です。ご家族の方のご協力も必要となりますね。
- Q訪問歯科診療に来てもらう前に準備することはありますか?
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A
【宮武先生】特別に患者さんにご準備いただくことはありません。寝たきりの方でしたらベッドに横になったまま、座ることができればリビングの椅子に腰をかけてなど、患者さんにとって楽な体勢で診療をさせていただいています。治療道具を広げられるスペースだけ、お借りさせていただきます。 【山本院長】ご家族にお願いしているのは歯磨きなどのお口のケアのサポートです。訪問時には普段のお掃除の内容など、こちらからの質問にお答えいただけるとたいへんありがたいですね。また日常生活の中で患者さんが痛がっている場所や気にしている症状のほか、患者さんのお食事のときの様子や摂取量なども教えていただけると助かります。
- Q外来ではなく訪問歯科診療を選択するメリットを教えてください。
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A
【宮武先生】ご高齢で体が弱くなっていたり、ご病気をされていたりする患者さんにとって、来院し待合室で診療を待つ、車いすユーザーの方であれば車いすから診療チェアに移動するといったことは、大きな負担となります。もちろん付き添う方もとても大変なことですから、ご家族からも「来てくださって助かります」とのお声をいただくこともありますね。先ほども申し上げましたが、訪問にあたりご準備していただくことはありません。ご自宅でリラックスして待っていてください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1訪問診療についての相談・申し込み
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通院が困難な患者を対象とした訪問歯科診療を受けたい場合、まずは電話等で相談を。患者の状態やどんなことに悩んでいるのかを伝え、初回訪問日を決める。訪問可能地域は八幡市・枚方市・京田辺市・京都市伏見区一部で、同院では訪問のための交通費は不要だそう。本人や家族からの依頼はもちろん、地域のケアマネジャーからの相談も多いといい、大半は介護保険も利用して訪問歯科診療を受診しているという。
- 2初回訪問、診療方針の決定
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まずは口の状態の確認からスタート。残る天然歯の数や入れ歯の状況、虫歯の有無、歯周病の進行レベルを丁寧に診断する。検診の結果から治療計画を立て、患者本人や家族に説明。患者一人ひとりの症状、健康状態、家庭の都合などを考慮して治療・ケアの方針を決めていく。現在の歯磨きなど口腔ケアの状況、食事内容や摂取量、食事の際に気になることなど、歯や口に関することは何でも伝えて、より適切な診療方針を立ててもらおう。
- 3訪問歯科診療
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患者の状態によって異なるが、虫歯などの治療の場合はおおよそ30分程度、口腔内の清掃は20分が目安。長時間の施術による患者の負担を避けるため、治療と清掃は別日に設定されている。清掃には歯科衛生士が単独で訪問することもあるという。訪問頻度は、治療内容や口腔状態に合わせて週1回から可能。診療期間は考慮してくれるので相談を。
- 4口腔機能訓練
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口腔機能が低下すると誤嚥性肺炎などのリスクも上がるため、まずは舌の汚れや口腔の潤いレベル、舌の筋肉量、食事の際のむせの有無、どれだけ噛めるか、話し方などを検査。患者一人ひとりに合った訓練プログラムを検討した上で、口腔機能訓練の専門家でもある宮武先生が舌や頬、首などを動かす嚥下体操を指導している。1回のプログラムは2~3分程度、普段の生活の中でも、毎食事前に取り組んでいくのがいいそうだ。
- 5口腔ケアの継続
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虫歯は短期間で治療を行っていくことが可能だが、歯茎の傷みは一朝一夕に改善させるのは難しい。歯周病治療は歯科衛生士によるクリーニングと継続的なホームケアが必要となる。そのため患者本人や家族に歯ブラシの当て方や歯間ブラシの使い方など丁寧に指導してくれる。だんだんと歯磨きレベルを上げていく、歯の清掃状況に応じて訪問期間を変えるなど、ケアへのモチベーション維持も考えてくれる。