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社会への適応困難や周産期が起因に
心の不調と受診のタイミング

なかなみメンタルクリニック

(北九州市小倉南区/下曽根駅)

最終更新日:2022/10/13

なかなみメンタルクリニック 社会への適応困難や周産期が起因に 心の不調と受診のタイミング なかなみメンタルクリニック 社会への適応困難や周産期が起因に 心の不調と受診のタイミング
  • 保険診療

「心の健康」を意味するメンタルヘルス。自身でうまくコントロールしながら生活できるのが理想ではあるが、現代社会においてはそれが難しくもある。非常にデリケートな心の不調と向き合うためには「ストレスを感じる環境から距離を置く環境調整や、周囲の理解とサポートが重要です」と、「なかなみメンタルクリニック」の中並朋晶(なかなみ・ともあき)院長は話す。新型コロナウイルス流行により不眠症が増加したともいわれるが、メンタルヘルスを崩した際の代表的な疾患は「うつ病」「適応障害」「パニック障害・不安障害」「睡眠障害」「依存症」の5つ。また、女性は月経前症候群(PMS)や更年期症状といった女性ホルモンの影響で心身のバランスを崩してしまうことも。誰もがなり得る心の不調の特徴や、対処法などについて詳しく聞いた。

(取材日2022年9月27日)

現代社会のストレスや、女性ホルモンの変化を起因とする心の不調の特徴、受診タイミング、対処法とは

Q眠れずに困っている方への睡眠薬の処方について教えてください。
A
なかなみメンタルクリニック 最初のコンタクトは非常に大切にしている

▲最初のコンタクトは非常に大切にしている

薬の処方に関する医師の考え方はさまざまですが、私の場合は患者さんの意向を重視します。薬を飲みたい方もいれば、そうでない方もいますので、提示した治療法の中から患者さんご自身に選択してもらうのが私の基本的なスタンスです。ただ、薬を処方する場合は患者さんが薬に依存しないよう注意が必要。薬物依存症治療の経験も生かし、患者さんご自身に薬の使用法や特徴などをしっかりとご理解いただくところから始めます。また、女性は月経前などに不眠を訴えられる方がいますので、月経周期に合わせてピンポイントに策を講じることも。睡眠と食事は心にも体にも重要。「車で例えるとガソリンだよ」と、患者さんにはよくお伝えしています。

Q受診の目安となる症状やタイミングはあるのでしょうか。
A
なかなみメンタルクリニック 一人で悩みを抱え込まずに、気軽に相談を

▲一人で悩みを抱え込まずに、気軽に相談を

人には「食欲」「睡眠欲」「物欲」といったようにさまざまな欲があります。その欲が自分の中で満たされない状態になった時。例えば食べたいのに食べられない、眠りたいのに眠れないというように、自分の意志に反して行動できないことが続いたら、受診のタイミングだなと思ってください。そのような症状があると一般の方には「うつ病」だと思われがちですが、ある特定の環境の中だけで適応できない「適応障害」の場合もあります。例えば、職場に行くと強い不安を感じたり、やる気が出なかったりするけれど、職場を出ると普段どおりに生活できるというのが適応障害の特徴。理解してもらうのが難しく、怠けているなどと誤解されやすくもあります。

Qでは、うつ病にはどのような特徴があるのですか?
A
なかなみメンタルクリニック アドラー心理学や選択理論心理学を取り入れ診療を行っている

▲アドラー心理学や選択理論心理学を取り入れ診療を行っている

症状が出るのが特定の環境下であるのが適応障害に対し、ストレスのない場所でも症状が改善しない場合は「うつ病」の可能性があります。また似た疾患として「躁うつ病(双極性障害)」は、ハイテンションな躁状態と無気力な抑うつ状態を繰り返す病気です。適応障害は症状が出る環境から離れ環境調整をすることで、かなりの割合で改善が期待できますが、うつ病や躁うつ病に関しては環境調整だけでは難しいこともあります。また、よくメディアで取り上げられる「パニック障害・不安障害」。これは予期しない突然のタイミングで恐怖などの高まりが生じて、動悸、息苦しさといった発作を繰り返すのが特徴で、認知行動療法などで改善をめざします。

Q女性ホルモンの変化が心と体の不調に影響しやすいと耳にします。
A
なかなみメンタルクリニック 産婦人科の経験を生かし、女性のサポートを行う

▲産婦人科の経験を生かし、女性のサポートを行う

もともと私は産婦人科の医師だったことから女性特有のお悩みで来院される方が多いです。月経前症候群(PMS)や更年期症状も女性ホルモンの変化によるものですし、メンタル面への影響もある病気です。そして、今よく耳にされるであろう「産後うつ」。これは出産によるホルモンの急激な変化や育児による疲労などが起因です。この場合は育児から一旦離れるという環境調整を試みますが、育児中の母親がうつ病改善の3原則「食う」「寝る」「休む」を満たすには周りのサポートが不可欠です。今は親子関係も複雑なケースが多く、援助を得ることが難しい方も少なくありません。そのため自治体の支援など、とにかくサポーターの確保が重要です。

Qメンタルヘルスを良好に保つためにされていることはありますか?
A
なかなみメンタルクリニック 「親と子のこころのリビング」がコンセプトの親子に優しい医院

▲「親と子のこころのリビング」がコンセプトの親子に優しい医院

当院では、食事、睡眠、育児などについてのアドバイスなど、なるべく薬以外の方法も提示しています。完璧な人なんていません。人は皆不完全であるからこそ、少しずつ必要なものを身につけていこうという姿勢で、心理学を取り入れた勉強会も行っています。また、体を動かすのもリラックス効果が期待できることから、運動が苦手な方でも取り組みやすいヨガも導入しました。女性が中心ではありますが、10代から70代の方まで幅広い方が参加。呼吸法のアドバイスなども実施しています。あと、男性ホルモンと女性ホルモンの違いについての動画配信も準備中。男女の特徴に対する理解を深め、身近な人を思いやるきっかけになればいいなと思います。

ドクターからのメッセージ

中並 朋晶院長

解説したほかにも自閉症スペクトラム障害など発達障害による二次障害でうつ病を発症するケースもあります。本人の発達特性を近しい人も気づいておらず、十分な配慮と理解が得られないまま過ごしたことが起因。このように、心の病気に至るまでの背景もさまざまですし、それだけ誰でもなり得る身近な病気であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。今後の課題はより受診に対するハードルを低くすること。もしも一人で悩みを抱え込んでいる方がいらしたら、一度足を運んでみませんか。心の休息ができる場所があることを知っていただけたらなと思います。当院には授乳スペースもありますので、お子さん連れでも安心してご来院ください。

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