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日高 啓量 院長の独自取材記事

ひだかこどもクリニック

(知多郡東浦町/緒川駅)

最終更新日:2019/08/28

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「私は結構はっきりと言いますよ」とにこやかに話す「ひだかこどもクリニック」の日高啓量(ひろかず)院長。病気の子どもたちを数多く診てきた経験から、「取り返しのつかないことになっては絶対にいけない」という思いで、日々真摯に診療を行っている。院長の気持ちは子どもたちに確実に届いているようで、「先生だいすき」「ありがとう」という言葉や手紙も届く。院長の顔がほころぶ瞬間だ。各種検査に重点を置き、薬は最小限、根拠のある治療と正しい診断を心がけるという日高院長。広くアットホームな院内で、同院の特徴や小児医療にかける思いなどを聞いた。
(取材日2017年7月20日)

感染予防など子どもが安心して過ごせる場所を実現

開業までの経緯やこの地域について教えてください。

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私は筑波大学卒業後、総合病院に勤務する中で名古屋大学大学院に入学、博士号を取得しました。その後も勤務を続け、2008年に生まれ育ったここ緒川地区に開院したんです。母校である緒川小学校は子どもの自主性を重んじる学級や学年などの間仕切りのないオープン・スクールで、私はその二期生。その独特の教育方針に魅力があるのでしょう、卒業生が結構、家庭を持って戻ってきているのです。ですからこの辺りは昔から住んでいる人も新しい若い世帯もいるバランスの良い地域ですね。私は昨年、小学校のPTA会長でしたので、私が知らなくても患者さんや親御さんのほうが私をご存じだったり、初診の子が知り合いのお子さんやお孫さんだったり、何かとつながりがあります(笑)。

クリニックの建物でこだわった点はどんなことでしょうか?

小さなお子さん、特に1歳未満のお子さんも安心して過ごせるクリニックにしたいと考えました。まず玄関を入ってすぐ、受付から待合室、診察室が感染症の方と非感染症の方とに分かれる設計になっています。完全隔離が必要な病気の方には別の入口もあり、そこから別の診察室に入っていただけます。待合室はすべてがキッズスペースというコンセプトでスリッパをなくし、子どもが寝ころんだり赤ちゃんがハイハイしたりしても大丈夫なよう、床暖房を入れたフローリングとしました。もちろん掃除はまんべんなく行っています。院内の風船の飾りは、総合病院時代の患者さんご家族が中心となった団体が作ってくださったものです。季節によって変わるので、楽しんでいただきたいですね。患者さんとの間に壁を作りたくなくて私は白衣を着ていませんし、スタッフも保育士さんのようにかわいいエプロンですので、おうちのように、くつろいでいただけたらと思います。

どんな患者が来院されますか?

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感染症やアレルギー疾患、喘息、それから予防接種の方が多いでしょうか。年齢では3歳未満のお子さん、次に6歳ぐらいまでのお子さんが多く、慢性疾患の方は継続して小学生になっても診ています。中には高校生になっても来てくれる女の子もいますよ。あとは「赤ちゃんが風邪を引いたから自分も一緒に見てほしい」という親御さんやおじいちゃん、おばあちゃんも結構いらっしゃいますね。

しっかりとした検査と診察、的確な判断が大事

保護者への説明では、どのようなことを心がけておられますか?

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割と、はっきりものを言うようにしています。「どちらでもいいです」とか「何とも言えないですね」とはあまり言いません。「お風呂に入っていいですか」「週末、旅行していいですか」と聞かれたら「いいです」「だめです」と、そしてなぜだめなのか、どういう状態になればOKなのか、きちんと伝えるようにしています。私は子どもが3人いるのですが、もし自分の子だったら、と考えてお答えすることもあります。はっきり言うのは、しっかりした診察と検査に基づいた判断をしているからです。アトピーも喘息も治りません、と最初に言います。でもそれは目が悪い人が眼鏡やコンタクトレンズをするのと同じで、肌が弱いのであれば常に保湿を心がけたりしてくださいということです。喘息でもプロ野球選手になれる人もいます。気休めを言うのではなく、長く上手に、気を付けて病気と付き合えるよう事実を伝えています。

薬を院内調剤にされているのはなぜですか?

私の目の届く範囲で、患者さんそれぞれに合わせた薬の調合をしたいと考えたからです。当院は検査が多いと思うのですが、それは根拠を明らかにして正しい診断をするためで、本当に必要な薬を最小限で出したいと思っているのです。抗生物質もあまり出すことはしませんが、体がつらいということであれば、もちろん解熱剤など必要な薬を出します。また子どもによって「粉薬は飲める」「シロップがいい」「この味しか飲めない」など違いがあるので、それを診察の中で聞き取り、同じ薬でもその子が飲めるように工夫して出しています。漢方薬なら飲めるという子もいるんですよ。院外薬局より少し時間がかかり申し訳ないのですが、ちゃんと飲める薬を出したいと思い、院内で調剤しています。

こちらには特徴的な相談の時間があるようですね。

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診察していると、もっと話を聞いてほしいというお母さんもいらっしゃいます。日常の診療時間の中ではなかなか難しいので、改めて昼休みに時間を取り、「じっくり」相談に乗っています。内容は、発達やアレルギーのことから不登校、いじめなどいろいろですよ。専門以外のお話もあるので私がお答えできる範囲内になるのですが。「栄養相談」は、私の妹が管理栄養士で、1~2ヵ月に1回、日を決めて行っています。最近では新しく「母乳」の相談の時間を設け、助産師さんによるアドバイスを行っています。

「未来ある子どもの病気を治したい」と小児医療の道へ

これまでのご経験で印象に残ったことがあれば教えてください。

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勤務医時代は、白血病や小児がんの治療、骨髄移植の研究、臨床に携わっていました。中には生後2ヵ月で発症し、懸命に治療をしたのですが、1歳で亡くなった赤ちゃんもいました。大変つらい思いをしたのですが、お母さんは最後に「先生にも抱っこしてほしい」と赤ちゃんを抱かせてくれて「ありがとうございました」とも言ってくれました。私が小児医療の道を選んだのは、自分の命をかけて仕事をするのであれば、未来のある子どもの病気を治したいと思ったから。今は白血病の子も約8割は治りますが、それでもいい加減な治療だったり、気づかず治療が遅れたりすると病気が進行して亡くなってしまうわけです。そう考えると、例え風邪でもいい加減な治療はできません。私が予防接種を勧めるのも、ときに厳しく言うのも、取り返しのつかない事態にならないようにするためです。私が一度でも診た子は、後遺症が残ったり命を落としたりしてほしくないと強く思います。

先生の真剣な思いが伝わってきます。そんな日々で喜びを感じられることは?

やはり子どもたちから「ありがとう」と言われたり、お母さんから「子どもが日高先生のところに行きたいと言うから来ました」というお話を伺ったりすることですね。子どもたちとはよくハイタッチをするんですよ。私はもともと子ども好きで、4人兄弟の長男として下の子の面倒を見ならが育ちましたし、今では甥や姪もたくさんいます。患者さんの中には手紙をくれる子もいて「日高先生だいすき」とか「やさしくしてくれてありがとう」など、恥ずかしいけれどありがたい言葉が書いてあります。大きくなって、「大学に受かりました」と報告に来てくれる子もいて、とてもうれしいですね。病気をした経験からでしょうか、看護師や医師をめざす子が多いんです。

クリニックの今後についてお聞かせください。

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当院のスタッフは私と違って(笑)、みんな優しく、私の説明をフォローしてくれるなど患者さんに常に気を配ってくれており、非常に助かっています。ですからいつでも気軽にご相談に来ていただければと思います。理想は、この地域で長く診療を続け、自分の診ていた子が親になって、その赤ちゃんを連れてきてくれること。先輩の先生が「孫を連れてきてくれると、うれしいよ」とおっしゃっていて、そんなふうになれたらいいなと思いました。そしてそのお子さんに「お母さんの小さい頃はね……」と話してあげたいですね。クリニック以外のことでは、私は現在、愛知県小児科医会の理事をしているので、その活動を通じて県全体の医療体制のレベル向上に貢献したいと思います。また、この緒川のまちづくり活動にも参加しているので、医療面からだけでなく地域の大人としても日頃から子どもたちを見守り、コミュニケーションを図っていきたいと思っています。

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