澤田 元幸 院長、沖田 啓介 さん、坂本 達哉 さんの独自取材記事
さわだ整形外科
(尼崎市/塚口駅)
最終更新日:2021/10/12
コミュニケーションを大切にした診療をモットーに、理学療法士が1対1で行う運動器リハビリテーションに力を入れる「さわだ整形外科」。健康は弾む会話と笑顔から。朝礼で唱和されるその言葉を裏づけるように、リハビリ室には「調子はどうですか?」「今日はよく頑張っていますね」といった会話が弾み、スタッフだけでなく、患者の表情からも活気が感じられる。チームが一丸となり、患者を支える同院の診療スタンスについて、院長の澤田元幸先生、チーフ理学療法士の沖田啓介氏、理学療法士の坂本達哉氏の3人に話を聞いた。
(取材日2019年3月12日)
気持ちに寄り添う運動器リハビリテーションを実践
まずは、クリニックの特徴についてお聞かせください。
【澤田院長】当院には、理学療法士とマンツーマンで行う運動器リハビリに力を入れています。機械を使った物理療法も併用しますが、主軸はあくまで人の手による運動器リハビリで、患者さんの気持ちに寄り添い、一人ひとりの状態に合わせて、痛みの緩和や関節機能の改善を図り、運動機能の回復をめざします。また、30人以上の人員を配置して、きめ細かな対応ができる環境を整えているのも特徴です。夜7時半まで診療しているので、ライフスタイルや仕事の時間に合わせて予約が取りやすく、切れ目なく通院を続けやすいことは患者さんにとって大きなメリットと言えます。
運動器リハビリはどのように行われるのですか?
【沖田さん】患者さんをベッドまでご案内したら、「調子はいかがですか?」と声かけをすることから始めます。私たちは当然、その方の診断内容や身体評価を把握していますが、その日の体調や患者さんの様子を確認するためにも、会話を通じてのコミュニケーションは欠かせません。当院では担当制を採用しており、理学療法士と患者さんが密に携わることで、痛みのある箇所だけでなく、生活の中で無意識のうちに負担をかけている姿勢や動作など丁寧に確認して、きめ細かなリハビリを提供しています。また、リハビリによって症状の緩和をめざすことも大切ですが、患者さんが主体となって機能回復をめざしていくことが重要なので、モチベーションを高め、ご自宅でできる簡単な自主トレーニングやストレッチ法をお伝えするなど、その方のライフスタイルに合ったリハビリ指導を行っています。
質の高いリハビリを提供するために、大切にされていることは何でしょうか?
【坂本さん】例えば、原因がはっきりしない痛みに対しては、どんな時に痛みを感じるか、どんな動作がつらいかなど、患者さんにしっかり伺って探る必要があります。しかし、患者さんとの信頼関係が築けていないと、痛みや違和感があっても言い出しにくいものです。中には我慢してしまう方もおられますので、この人なら自分の弱みを話してもいいと、患者さんに信頼してもらえるような関係づくりを心がけています。
チームが一丸となり地域の患者をサポート
開院当初から、朝礼を欠かさず続けているそうですね。
【澤田院長】朝礼を行う意味は2つあります。まず1つはその日のスケジュール共有と、勉強会などで得た新しい情報のフィードバック。もう1つは、スタッフの顔色や体調を僕自身が確認するためです。われわれの仕事は患者さんが健康になる手助けをすることですが、同時にスタッフの体も気遣い、働きやすい環境をつくることが良質の医療を提供する上で重要です。ほんの数分間ですが、毎朝のすり合わせによって気持ちが引き締まり、また継続してきたことで、「各パートの垣根を超えてチームで支え合う医療」という当院の理念が、スタッフ全員に共有できているように思います。任されている仕事を一生懸命やるのはもちろんですが、自分が担当ではない業務も人任せにせず、チーム一丸となり患者さんを支えることが、当院のモットーです。
理学療法士としてやりがいを感じるのはどんな時ですか?
【坂本さん】やはり、患者さんの生活の質が変化したと実感したときですね。患者さんに感謝してもらえると充実した気持ちになります。また、いつも通院につき添われているご家族の方の安心した顔を見た時は、本当にうれしく感じますね。患者さんご本人をサポートするのはもちろんですが、患者さんを支えておられるご家族の方に対しても、リハビリの内容や進捗状況を細かく説明するなど、丁寧な接し方を心がけています。今後の目標としては、周りでリハビリを必要とされる方がおられる時に、「さわだ整形外科に行けば、充実したリハビリが受けられる」と言ってもらえるような、頼りにされる存在になりたいですね。
訪問リハビリについてお聞かせください。
【沖田さん】年齢が高くなると通院が困難になり、中にはリハビリを断念せざるを得ない方も出てきます。そこで昨年9月から、介護保険で受けられる訪問リハビリを開始しました。患者さんが実際に生活されている環境で、立ち上がりや歩行の練習など、日常生活に即したトレーニングを行っていきます。例えば、髪を洗いたいが腕が上がらない、デイサービスの送迎車への乗り降りがしにくいといったような具体的な悩みを一つ一つ改善しながら、家庭での自立生活に向けたリハビリを行っています。今後、高齢化が進むにつれ、訪問リハビリの需要はますます高まってくると思われます。通院ができなくなった患者さんにも充実したリハビリを提供し、地域貢献につなげていきたいです。
心のこもった診療で、患者を笑顔に
澤田院長の診療スタンスについてお聞かせください。
【澤田院長】患者さんが元気になるというのは、ただ悪いところが治るだけでなく、診療を通じて不安が和らぎ、笑顔になることです。その方の希望や治療に対する考え方をより深く理解して安心の医療を提供するためにも、患者さんの話にはじっくり耳を傾けるようにしています。また、症状や起こっていることをわかりやすくするために、模型やパンフレットなどを見せながら視覚的に説明し、「わからないことがあれば遠慮せず、またいつでも聞いてください」といったような声かけをします。検査を受けてもらう意味や検査結果の説明も丁寧に行います。そうした会話を通じてのコミュニケーションは医療に限らず、人と人との関係性を築く上でとても大切であり、上からものを言うのではなく、また逆にこちらがへりくだることなく、患者さんとは同じ目線に立ち接するようにしています。
骨粗しょう症の治療に注力されていますね。
【澤田院長】高齢になって大腿骨頸部骨折をしてしまうと、その後5年間の生存率が下がってしまうといわれています。そのため、骨粗しょう症の治療には特に力を入れています。治療に関しては、骨密度と骨代謝マーカー、カルシウムなどを測定し、エックス線検査で背骨などに既存の骨折がないかを確認した上で、病態にもとづいた治療薬を選択します。骨粗しょう症の治療は継続することが重要なので、患者さんご自身にも数値の変化を確認してもらい、モチベーションにつなげていくようにしています。骨粗しょう症は病気だと思っていない人も多いですが、5年後、10年後に骨折を起こすことで生命の危険を脅かすリスクがあることを、啓発していく必要があると感じています。
ところで、澤田院長は休日どのようにお過ごしですか?
【澤田院長】学生時代はアメリカンフットボール部に所属していました。今は息子が母校の大学でアメリカンフットボールをやっていて、チームでけが人が出ると僕の出番です(笑)。僕自身はフラッグフットボールといって、接触プレーが禁止された5人対5人で対戦する競技で汗を流しています。宝塚ポラリスというチームに所属し、キャプテンに次ぐ相談役的な存在として、勝ちにこだわりチームを引っ張っています。
今後、力を入れていきたいのはどんなことですか?
【澤田院長】理学療法士の技術水準を保ち、底上げしていくために、月に2回、講師を招いて講義と実技講習を実施しています。学会にも参加し、技術のみならず知識の底上げも行っています。また、神戸学院大学や神戸国際大学の理学療法士の実習生や、兵庫医科大学の医学生の受け入れも行っており、若手の育成に積極的に取り組んでいます。ここで学んでほしいのは、知識やスキルもそうですが、むしろ人間性ですね。イエス・ノーがはっきり言えて、思いやりのある人でなければ、患者さんを笑顔にすることはできません。僕自身の信念もぶれることなく、今後も志を同じくするスタッフと力を合わせ、地域の人々に役立つ医療を提供していきたいですね。