自分に合った方法で妊娠をめざす
不妊治療と妊活の基礎知識
菊名西口医院
(横浜市港北区/菊名駅)
最終更新日:2025/01/31


不妊治療を始める以前に、妊娠するためには何をすれば良いかわからない人も多いだろう。雑誌やインターネットなどにはさまざまな情報があふれているが、どれを信じればいいのかと混乱することもある。「菊名西口医院」の石田徳人院長は、35年以上、不妊治療に力を注いできた産婦人科専門の医師だ。長年患者に寄り添ってきた経験から、患者の抱く悩みや不安がよく理解できるという。そんな石田先生に、子どもが欲しいと思ったら、まず何をすべきなのかを聞いた。また、妊娠前に必要な検査、男性の不妊検査についても詳しく説明してもらった。
(取材日2024年12月16日)
目次
大切なのは自分の体をよく知ること。基礎体温の記録や、妊娠に影響する疾患の有無を検査
- Q子どもが欲しいと思ったら何をすれば良いのでしょうか?
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A
▲不妊治療を始める前に、まずは自身の体を知ることが重要
まずは自身の体を知ることが大切です。基礎体温や頸管粘液(おりもの)の状態を記録すると良いでしょう。頸管粘液が出ているか自分ではわからない月経周期もありますが、基礎体温は特に妊娠の可能性を把握する手がかりになりやすいので、つけられる人はつけてください。最近は便利なアプリもあるのでお勧めです。診察では、超音波検査で内膜の厚み、卵胞のサイズを調べ、自覚症状も加えて診断します。なお、基礎体温を測れない人には、尿でホルモンをチェックするキットを渡しています。また、クリニックでブライダルチェックをするのも有用です。
- Qブライダルチェックでは、どのような検査をするのでしょうか?
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A
▲妊娠に影響する疾患の有無を検査をしておくことが大切
ブライダルチェックは、血液検査、性感染症検査、女性ホルモン分泌検査、内診・超音波検査などがセットになった検査です。女性ホルモン分泌検査では、低温期には卵胞ホルモン(エストロゲン)、高温期には黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を調べます。超音波検査では、排卵の有無、子宮・卵巣の形状に異常がないか、子宮筋腫・卵巣腫瘍・チョコレート嚢胞がないかなどを見ます。腫大している場合は、手術が必要かどうか、悪性腫瘍の可能性はないかを確認するため、MRIで細かく診断します。また、頸管粘液の様子、性感染症の有無、貧血なども調べます。さらに患者さんからご希望があれば、卵管通水検査、子宮鏡下検査も可能です。
- Q性感染症の検査も必要なのですか?
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A
▲性感染症は感染していても自覚がないことが多いと話す石田院長
例えば、性器クラミジア感染症は10〜20代の10人に1人は感染しているといわれています。しかし、痛みや膿といった症状が出るのは2、3割なので、本人も気づいていないことが多いのです。そのため、培養検査をしないと感染の有無がわかりません。淋病や腟トリコモナス症も同様です。ただ、こうした性感染症の検査については、ブライダルチェックで必要に応じて行っています。というのも、胎児に悪影響を及ぼす可能性を考慮し、妊娠した時点で肝炎、風疹、エイズ、性感染症などの検査を行いますので、そのタイミングでも問題ないからです。
- Q男性側の検査についても教えてください。
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A
▲同院にて精子検査を受けることもできる
世界保健機関(WHO)の不妊症原因調査では、男性にのみ原因があるケースが24%、夫婦ともに原因があるケースが24%と報告されています。男性不妊の原因は、勃起障害、精索静脈瘤、精路閉塞などのほか、精子を作る機能の低下もあります。当院では精子検査を行い、もし必要があれば信頼のおける男性不妊症専門の泌尿器科を紹介しています。無精子症でも、顕微鏡下精巣精子採取術によって精子を採取することができます。精子は凍結して保存することができるため、当院に輸送して体外受精を受けることも可能です。