森山 幹浩 院長の独自取材記事
みどりクリニック内科消化器科
(松山市/萱町六丁目駅)
最終更新日:2021/10/12
松山市中央一丁目にある「みどりクリニック内科消化器科」。森山幹浩院長は、やわらかな物腰と優しさに満ちた声が印象的なドクター。森山院長の雰囲気に地域の人や患者から「みどクリ」の愛称で親しまれているクリニックの魅力の一端が見えた。松山赤十字病院や大洲中央病院で研鑽を積んで得た知識と経験を生かした内科全般の診療で、地域医療に貢献し続けている。内視鏡などの検査機器やクリニックの空間づくりへのこだわり、地域のクリニックとして心がけていることなどを聞いた。「命」を守ることに熱い思いを持ち、人に対して温かい目を向ける森山院長の人柄がうかがえる取材となった。
(取材日2020年7月8日)
地域の人に「私のクリニック」と思われる医院をめざす
開院して20年以上とのことですが、開院までの経緯を教えてください。
1991年に愛媛大学医学部を卒業した後、愛媛大学医学部付属病院、松山赤十字病院と大洲中央病院に勤めました。大洲で6年間勤務した後、自分が思うかたちで診療をしたいという気持ちになりましてね。患者さんに対して自分はどういうことができるのか、自分が学んできたことを生かし、考えてきたことを取り入れ、病気で悩む人のお役に立ちたいという気持ちで開院しました。この地を選んだのは、「ここに住みたい」と思ったからです。リサーチ会社の方からは「他にも多くの医院があるエリアだし、お勧めしない」とアドバイスを受けたのですが、来院してくれた患者さんに喜んでもらえれば、徐々に患者さんは増えていくだろうと考え、ここに決めました。コンセプトは、『地域の人にとっての私のクリニック』です。
建物が松山市都市景観賞を受賞されています。空間づくりにも随分こだわられたそうですね。
第2回松山市都市景観賞の選考委員特別賞をいただきました。開院前にクリニックの構想を考える際、ダンボールを使って自分で建物の模型を作り、それを設計事務所の方に見せて設計してもらいました。診察室のデスクや、採血や注射をする際に使うテーブルも既製品から選ぶのではなく、オーダーメイドにしたんですよ。ゆったりとしているほうが患者さんも落ち着けますし、付き添いのご家族が一緒に入ってくることもありますから、どのスペースも少し広めにしています。患者さんの快適性だけでなく、看護師の動きやすさにも考慮してアイデアを出しました。
開院当初から日曜診療を行っておられますね。
開院前に勤務していた大洲中央病院は土曜日・日曜日も診療をしていましたので、日曜日の診療ニーズはよくわかっていました。仕事の関係で平日は病院に行けないという方もおられますから、そういう方のために日曜診療を行おうと、決めていました。開院当初は日曜診療をしているクリニックは珍しかったようで、北条エリアなど地域外からも患者さんが多く来られていました。救急車を呼ぶほどではないけれど、明日まで我慢するにはつらくて、不安であると心配して来院される方が多く、一次救急のような役割があったように思います。心筋梗塞や脳出血で救急病院へ搬送したこともありました。2年ほど前までは日曜日の診療受付を17時までにしていましたが、日曜診療を行うクリニックも増えてきましたので、現在は13時までの受付にしています。
どのような患者さんが多いのでしょうか。
肝臓や胃腸等の消化器疾患、喘息等の呼吸器疾患、糖尿病、高血圧、高脂血症等の慢性疾患など内科全般にわたって来院されています。流行期にはインフルエンザや嘔吐下痢などの感染症の患者さんも多く来院されます。この辺りの土地柄だと思うのですが、ご高齢の方よりも、お勤めされている方、会社帰りに寄られるという中年層の方が多いですね。すべてを当院だけで対応するというのではなく、他の病院と協力し合い、患者さんに最も必要なものを提供してあげられるようにするのが役割だと考えています。
患者の不安に心を配り、さまざまな症状に対応
幅広い分野の治療に携わった経験をお持ちだと聞きました。
大学では肝疾患を主とした消化器疾患、糖尿病、内分泌疾患を扱う医局に在籍しておりました。松山赤十字病院では、内科に籍を置きながら、胃腸センター、肝胆膵センターでお世話になり、消化器疾患を中心に勉強させていただきました。大洲中央病院に勤務していた時は、木・金・土・日と週4日が救急当番でしたので、一般診療と平行して救急患者さんに対応する必要がありました。脳外科、外科、整形外科・循環器科・呼吸器科・泌尿器科など他科の先生とコミュニケーションを取りながら、診療方針を決め、連携して治療を行いました。そうした経験を通じて、内科の範疇だけでなく、いろいろな分野のことが学べました。また、さまざまな患者さんを診る経験を積むことができ、診ることのできる範囲が広がりました。
診療の際にどういったことを心がけておられますか。
病棟に入院中のさまざまな患者さんを診察する中で、医師の診療スタイルが患者さんの気持ちに大きな影響を及ぼしていることに気づきました。不安な夜を過ごしている患者さんに対して、私は早朝回診をして不安や疑問を朝一番で聞いて対応するように心がけました。現在の外来診療においても、治療を前向きに進められるように、患者さんの不安を和らげることを頭におき、解決策や病気との向き合い方をわかりやすくお話しするようにしています。
クリニックではどんな検査を受けられるのでしょうか?
上部消化管内視鏡(胃カメラ)、下部消化管内視鏡(大腸カメラ)、腹部超音波、それから動脈硬化検査や骨量測定のための機器を導入しています。また、インフルエンザウイルス抗原を高感度に検出する目的の機器も備えていますので、インフルエンザの発症初期においても高い精度での診断を図ることができます。炎症の有無や糖尿病に関する血液検査結果はすぐに出ます。検査においては、機器の充実に加え、リラックスして受けていただける雰囲気づくりや声がけなども重要だと考えています。また、感染予防も大事ですから、例えば内視鏡については上部・下部それぞれに専用の洗浄機を設置しています。
不安を和らげる役割を果たしたい
医師をめざされた動機を聞かせてください。
私が他大学の経済学部に在籍していた時、友人が病気で亡くなりました。青春真っ只中で死を受け入れざるを得なかった友人の無念さ、家族の悲しみを思うと、何か助ける手段があったのではないかという思いがあり、医師をめざすきっかけとなりました。
医師の仕事のどんなところにやりがいを感じていますか。
「痛い」「苦しい」「つらい」と言って来院される方に対して、自分がしてあげられることがあるという点にやりがいを感じます。患者さんの心を和ませ、不安を和らげるのも医師の役割だと考えていますので、その役割を果たせた時の喜びは大きいですね。
プライベートタイムの過ごし方を教えてください。
広々とした所に行くのが好きなので、休日には友達とゴルフに出かけます。春から秋の天気の良い日には、朝4時半に起きて松山総合公園の頂上まで歩いています。日が昇るのを見たり、体操したり。そこで仲間もできました。夜は1時間くらい犬の散歩です。この犬がわんぱくで散歩から帰ったら私はヘトヘトです(笑)。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
体調に不安があると暗い気持ちになってしまいます。不安を抱え込まず、気軽に相談してください。治療を受けるにも、生活を充実させるにも、前向きな気持ちが大事です。当院の壁には、気持ちを和ませ、前向きに変えてくれるような言葉を貼っています。来院された際には、それらも読んでみてください。