重篤な疾患の原因となり得る高血圧について
正しい理解を
たけざわ循環器内科クリニック
(名古屋市昭和区/八事日赤駅)
最終更新日:2023/09/28


- 保険診療
日常生活の中でもよく耳にするほど、日本人に身近な高血圧。自覚症状がなく、突然命に関わる病気になる可能性があることから「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」ともいわれている。実際に喫煙と並び、日本人の生活習慣病の死亡要因として大きく影響しており、もし高血圧が完全に予防できれば、年間10万人以上の人が亡くならずに済むのではないかという推計もある。このように軽視すべきではない高血圧であるが、そもそも高血圧とはどのような状態なのか、血圧が高いとなぜいけないのかなどを知らずに、漠然と血圧を気にしている人も多いのではないだろうか。そこで循環器内科のエキスパートである「たけざわ循環器内科クリニック」の竹澤博人院長に、高血圧のリスクや予防法などについて話を聞いた。
(取材日2023年7月11日)
目次
定期的な測定で自身の血圧を把握し、重篤な疾患を未然に防ぐことをめざす
- Q高血圧とはどのような状態を指すのでしょうか?
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A
▲高血圧症について語る院長
日本高血圧学会より、高血圧に関する治療の指針などが記載してある「高血圧治療ガイドライン」が発行されているのですが、それによると診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上である場合を高血圧と評価します。自宅で測る家庭血圧の場合は収縮期が135mmHg以上、拡張期が85mmHg以上と、診察室血圧よりも基準が低くなるのでご注意ください。また、血圧は絶えず変動しているので、繰り返し測った平均的な数値で評価することが重要です。一時的に数値が高くても高血圧症とは診断しません。
- Qどのような人が高血圧になりやすいのでしょうか?
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A
▲特に塩分の摂取について注意してほしい
加齢に伴い高血圧症の割合は増える傾向にあります。40~60歳までは男性が多いのですが、閉経する頃から女性の患者さんが急増しがちです。これは女性ホルモンのバランスの変化が関係していると考えられています。また、高血圧の要因に遺伝や体質が挙げられますが、塩分の過剰摂取も影響することがあるのです。昔より日本人の塩分摂取量は減ってきていますが、欧米人と比べるとまだ多いでしょう。それから、過食や運動不足によって内臓脂肪が増加したメタボリックシンドロームの人も血圧が上昇しやすいです。ちなみにまだ若いのに血圧高値の場合は、二次的な原因により血圧が上昇する「二次性高血圧」を疑い、精密検査を受けていただきます。
- Q高血圧を放置するリスクについて教えてください。
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A
▲早期発見と治療が大切
高血圧を放置すると血管が傷つくことを繰り返し、動脈硬化が進行しやすくなります。すると血管の内側の細胞が張り出してきて血管内腔が細くなり、血流が低下。血栓が発生しやすく、血液が詰まりやすくなってしまうのです。その結果、狭心症・心筋梗塞・脳出血などの動脈硬化性疾患や、心臓や腎臓などの主要臓器に障害が起こる確率が上がってしまいます。放置のリスクが高い高血圧ですが、例えば脳出血であれば降圧薬が次々に開発されて血圧コントロールが望めるようになったのに加え、塩分摂取を控える習慣も浸透してきたこともあってか、統計上の患者数は減少しているんです。放置せず、正しく評価・治療していくことが重要ということですね。
- Q予防するためにはどうしたらいいのでしょうか。
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A
▲バランスのとれた生活習慣をしてほしい
健康診断をしっかりと受けましょう。もし血圧が高値なら家庭血圧の記録を始め、状態を把握した上で医師に相談してください。また、塩分を控えた食習慣を身につけましょう。特に若い方や一人暮らしの方は、塩分が高めである外食やコンビニ弁当を利用する傾向があるので塩分量のチェックを忘れずに。最近は塩分控えめのメニューが増えているので、それらを活用してみてはいかがでしょうか。メタボリックシンドロームの方は食事と運動のバランスが崩れていないかの確認も大切です。適度な運動は血圧を下げるといわれているので、必要に応じて早歩きなどの有酸素運動を取り入れてみてください。近年、筋力トレーニングの併用も良いとされていますよ。
- Qこちらで受けられる高血圧治療の特徴を教えてください。
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A
▲患者に寄り添った治療を提供している
私は25年以上循環器を専門としてきたので、病院レベルの診療を提供できると自負しています。当院ではすぐに治療を開始するのではなく、まず「高血圧治療ガイドライン」に則って本当に高血圧症なのかを判断。場合によっては1~2週間、ご家庭で血圧を測っていただきます。予防でも治療でも、血圧測定を習慣にして自身の血圧を把握することが重要だと考えてのことです。なぜ血圧測定が大切なのか、治療が必要なのかを詳しくご説明しているのでご安心ください。診断の後は生活習慣についてもお聞きし、問題があれば指導させていただくなど、単に血圧を下げることをめざすのではなく、合併症を防ぐ観点からのアドバイスを心がけています。