早期発見に役立つ乳がん検診
マンモグラフィと超音波検査の併用を
さきたクリニック
(西宮市/西宮駅)
最終更新日:2021/10/12
- 自由診療
欧米では多くの女性が定期的に乳がん検診を受ける国もあるのに対し、日本ではまだ受診率が高いとはいえない。この現状に心を痛める「さきたクリニック」の院長、先田功先生。「国から乳がん検診の無料クーポンが配布され、爆発的に受診者が増えることを期待したのですが、あまり動きがなかった」と残念そうに話す。クリニックのホームページや西宮市の情報誌で、新しい話題を発信し、西宮市や兵庫県から講演依頼があれば駆けつけるなど、乳がん検診の啓発に日々努力を重ねるが、「まだまだ足りていない」と話す。乳がんは早期に発見すれば完治も見込める病気になってきているからこそ、検診に足を運んでもらいたいと話す先田院長に、乳がん検診の必要性、検査方法、乳がんが見つかった時の対応について聞いた。
(取材日2019年5月16日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q乳がん検診は何歳から、また頻度はどのぐらいがよいでしょう?
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A
西宮市の乳がん検診は40歳から受けられますが、私の個人的な意見としては、30歳になったら乳がん検診を受けていただきたいですね。検診の頻度は、1年に1回が良いと思います。毎年、お誕生月に乳がん検診を受けると決めておくと、忘れずに済みます。気になる症状がある方や、遺伝的に乳がんになるリスクの高い方は3ヵ月、半年に1回というスパンでもいいと思います。乳がん検診をして異常がなければ安心、となると思いますが、検査自体ががんを予防しているわけではありません。1年1回の検診とがんの予防は、分けて考えていただく必要があります。
- Qマンモグラフィと超音波検査はどう違いますか?
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A
一長一短ですし、どちらの検査にも得手不得手があります。一般的に、マンモグラフィ検査は石灰化したがんや早期のがんを見つけやすく、超音波検査ではしこりが見つけやすいといわれます。マンモグラフィでわかるがんもあれば、超音波検査でわかるがんもありますから、両方の検査を行うほうが、ベターだと言えます。また、乳腺がしっかりと残っている若い方や、高濃度乳房といって、もともと乳腺組織の多い方は、マンモグラフィに乳房全体が白く映ります。その中でしこりは白い塊として、石灰化は白い点として映りますから、それはもう「雪原で白ウサギを探すようなもの」。判別がたいへん難しいため、こういう方には超音波検査が役立ちます。
- Q検診で、もし異常が見つかった場合はどうなるのでしょうか?
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A
もし腫瘍が見つかれば、その場で乳房細胞診や針生検などの精密検査を行い、腫瘍が良性なのか悪性なのかの診断まで、きちんとさせていただきます。良性腫瘍の場合ですと、基本的には急いで病院へかかる必要がないので、引き続き経過観察となります。腫瘍が悪性で手術が必要になった場合は、その方の希望をよく伺い、相談を重ねた上で適切な病院へご紹介します。術後にホルモン治療や抗がん剤治療などが必要となった場合でも、フォローアップさせていただける体制を整えております。乳がんは早期に発見できれば、決して恐ろしい病気ではないと考えています。そういう意味でも、30歳からの検診をお勧めしますね。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1事前予約し、来院。問診票記入
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電話で予約を入れる。平日の午後や土曜日も検査を実施しているため、働く女性もスケジュールが立てやすい。来院後、まずは問診票を記入する。名前や住所といった基本的な内容から、既往歴、出産の有無、親類縁者の乳がん歴、自覚症状、月経症状、しこりや痛みの有無についても記入していく。妊娠や授乳中はマンモグラフィ検査は受けられない。また更年期に差しかかるとホルモン代謝も関係するため、こういった情報が必要となる。
- 2マンモグラフィによる検査へ
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検査室内の更衣室で検査着に着替え、検査へ。女性の放射線技師が優しい声かけで、緊張をほぐしてくれる。個人差はあるが、リラックス状態だと体が硬くなりにくく、痛みも感じにくいそうだ。検査台で乳房を平たく圧迫していく間も、技師が励ましながら患者を見守り、これ以上圧迫すると痛みが出る、というポイントを見定める。乳房を薄く圧迫できればできるほど、写真の精度や被ばく量の低減に期待できるという。検査は数分で終了。
- 3ベッドで休みながら視診、触診
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検査着のまま奥の通路を通り、人目に触れることなく診察室へ移動できる。診察ベッドに体を仰向けにすることで、乳房が平均的な状態になり視診、触診がしやすくなるそう。乳房が赤く変化する炎症性乳がんや、希少ではあるがパジェット病(乳頭にできるがん)などは、マンモグラフィや超音波検査での発見は期待できず、視診、触診が有用だそう。先田院長と女性医師が行っており、検査日によっては女性医師に依頼することも可能。
- 4エラストグラフィ搭載機器による超音波検査
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ベッド上で乳房から脇の下のリンパ節までの広範囲を超音波で検査していく。医師と一緒にモニターを観ることができるため、気になる症状や聞きたいことがあれば、ここで質問も可能。異常が見つかれば乳房細胞診や針生検を実施する。超音波ガイド下で行うことで正確性、安全性の向上を図り、細胞診については採血に使うものと同等、もしくはもっと細い針を使用することもあるため、麻酔の必要もない。
- 5モニターに画像を映しながら診察、検査結果説明
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検査着から着替えている間に、検査の結果がそろう。2台並んだモニターに、左右それぞれの乳房の画像を映しながら説明を受ける。照明を少し落としてくれるので画像が見やすく、検査前から不安だったことや、今後どのように対応していけばいいかなども、じっくりと聞くことができる。検査当日に結果説明が受けられるため、余計なストレスも少ない。来院からここまで、トータル30分程度で終了する。
自由診療費用の目安
自由診療とは乳がん検診(助成の対象外の場合)〔標準検診〕問診+視触診+マンモグラフィ+超音波検査/8640円(税込)〔セレクト検診〕問診+視触診+マンモグラフィか超音波検査のどちらか/4320円(税込)