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自覚症状の少ない緑内障
かかりつけ医による検査と治療が重要

すずき眼科クリニック

(四国中央市/川之江駅)

最終更新日:2021/10/12

すずき眼科クリニック 自覚症状の少ない緑内障 かかりつけ医による検査と治療が重要 すずき眼科クリニック 自覚症状の少ない緑内障 かかりつけ医による検査と治療が重要
  • 保険診療

目の疾患としてよく耳にする緑内障。40歳を過ぎると20人に1人が緑内障を罹患しているというデータもあるが、次第に視野が欠けていくため自覚症状のないままま進行していることが多いそうだ。視神経の減少が原因だが一度失った神経を回復させることはできないため、病気の進行を遅らせることが治療の目的となる。治療法は目薬の投薬から始まり、レーザーで眼圧を下げる方法や手術などの選択肢があるが、早期発見できれば目薬だけで長期間、視野を維持することも期待できるという。緑内障の多様な症状や、診断に必要な検査、さらに早期発見の秘訣について、専門的に緑内障治療の研鑽を積んだ「すずき眼科クリニック」の鈴木正和院長に話を聞いた。

(取材日2021年3月11日)

失明原因となりうる緑内障を早期発見し、患者ごとの適切な治療で進行を遅らせる

Q緑内障というのはどのような疾患なのですか?
A
すずき眼科クリニック 緑内障の初期症状の段階で、自ら気づける人は非常に少ないという

▲緑内障の初期症状の段階で、自ら気づける人は非常に少ないという

視神経の病気で視野が狭くなってしまう疾患です。一般的には、眼圧が急激に上がり目が痛くなったりかすんで見えたりするイメージがあるかもしれませんが、そのような症状が起こるケースはごく一部です。ほとんどがゆっくりした進行で視野が狭くなっていくので自覚症状がないことが多いのです。片方の目の視野が欠けていても、もう一方の目で見えていれば脳が自然に調整するため気づくことができず、異常を感じた時には進行していたという患者さんもいらっしゃいます。失明原因のトップなので早期発見・早期治療が肝心です。40歳を超えて老眼の症状が出始めた時が一つの合図だと思って、念のために一度検査しておくとよいと思います。

Q原因と早期発見のポイントについて詳しく教えてください。
A
すずき眼科クリニック OCT検査で視神経の断面を画像化。早期発見や経過観察に有用だ

▲OCT検査で視神経の断面を画像化。早期発見や経過観察に有用だ

視神経はケーブル線の束みたいなもので、生まれた時には120万本くらいあり、それが年齢とともに年間5000本ずつ減っていくといわれています。もし100歳まで生きれば50万本減って70万本残る計算ですが、緑内障の場合は減るスピードが速くなるため、残りの本数はさらに少なくなります。そして、見るために必要な本数に足りなくなって日常生活に支障がでるというわけです。視神経を元に戻すことは今の医療ではできませんので、減り方を正常に戻し進行を遅らせることが治療の目標になります。活字が見づらい、物干し竿に気づかずぶつかった、車の運転時にヒヤッとした、などを機に受診し緑内障と診断された方もいらっしゃいました。

Qどのような検査で調べるのですか?
A
すずき眼科クリニック 患者の状況に配慮し、手動・自動視野計を使い分け検査を実施

▲患者の状況に配慮し、手動・自動視野計を使い分け検査を実施

まず視力・眼圧・眼底の検査を行いOCT検査で視神経乳頭を撮影します。検査結果に異常箇所が見つかれば視野検査を行います。半円形のドーム状の機器の中に顔を置き、真っすぐ前を向いた状態で片目ずつ、光が見えたらボタンを押すというコンピューター機器による検査です。通常は片目で5分ほどかかるのですが、当院では大学病院にあるのと同等の性能の機器を入れ、さらに短時間でできるよう配慮しています。それでも集中力がもたず疲れてしまう小さいお子さんや高齢の患者さんには検査員による手動式の視野検査を行います。こちらは対話しながら患者さんのペースに合わせられ、コンピューターよりも広い範囲の視野を調べられます。

Q緑内障と診断されたら、どのように治療を進めるのですか?
A
すずき眼科クリニック 症状の進行に応じて眼圧を下げるためのレーザー治療を行う

▲症状の進行に応じて眼圧を下げるためのレーザー治療を行う

最初は目薬の投薬で眼圧を下げていきます。眼圧は季節によって、また1日の時間帯によっても差があるため、まずは片目だけ目薬を差してもらって反応を確認。患者さんに合う薬が見つかれば、目標眼圧を設定して両目への投薬を始めます。これで病気の進行を抑えていくわけですが、目薬で限界になるとレーザー治療や手術が必要になります。当院にもSLTという眼圧を下げるレーザー治療の機器があるので、日帰りで受けていただくことができます。個人差がありますが、患者さんによっては投薬を減らすことも期待でき、コスト的にも良い場合もあります。手術が必要となる場合には、入院設備のある病院をご紹介させていただくことになります。

Q緑内障治療で心がけていることはありますか?
A
すずき眼科クリニック 患者一人ひとりの眼圧を精密さにこだわって検査する院長

▲患者一人ひとりの眼圧を精密さにこだわって検査する院長

緑内障は無症状のことが多く、罹患してしまうと回復が不可能で失明の恐れがある病気です。人が外から得る情報のうち8割が視覚によるものだといわれています。それを失うことなく人生を全うできるように、患者さんの「視覚の質」を守っていきたい。ただ、必要性や費用面を考えると患者さん全員に視野検査はできません。なので、初診で視神経を診た時の見極めを絶対に間違えないように心がけています。そして早期発見できれば、その方の生活状況に合った治療法をチョイスし、少しでも病気の進行を遅らせるように尽力します。1ヵ月ごとに眼圧を測り、その方に合う治療法を見つける手間を惜しまない、それが緑内障治療における私のポリシーです。

ドクターからのメッセージ

鈴木 正和院長

人生100年時代といわれる今、体の健康寿命を延ばしQOL(生活の質)を保つように、視力の維持にも関心を持ってほしいと思っています。見る能力がしっかりしていれば車の運転もより長く続けられます。早期発見が肝心の緑内障はタイプが多様で、中心に視野欠損が出ると気づきやすいのですが、片方の目の一部分が見えにくくなっていても脳が修正するので気づきません。また、中には急激に眼圧が上がってしまう急性発作を起こすタイプもあり、頭痛・眼痛・嘔吐などの症状から脳外科を受診する方もいらっしゃいます。脳には異常がないと言われたけれど、実は緑内障だったということもあるので、気になる症状があればぜひ眼科を受診してください。

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