更年期障害のつらい症状は
ホルモン補充療法と漢方でアプローチ
青葉レディースクリニック
(福岡市東区/千早駅)
最終更新日:2022/03/15
- 保険診療
多くの女性が50歳前後で月経が止まり閉経を迎える。その前後5年の約10年間を「更年期」と呼び、卵巣機能の低下から女性ホルモンの分泌量が減少することで、「のぼせ」「ほてり」「発汗」「抑うつ」「不眠」といった症状が現れる。「なんとなく体調が悪い状態が続くものの、症状には波があり一定ではありません」と、「青葉レディースクリニック」の小松一院長は話す。症状の中でも生活の質に最も影響するのが「抑うつ」と「不眠」で、ホルモン補充療法や漢方で改善が期待できるため、正しい知識を持ち、更年期障害であることを受け入れるのが大切だという。日常生活に影響が出ている場合は、早急に医師の診断を受けて治療を行ってほしいと呼びかける小松院長に、更年期障害が起こるメカニズムや治療法について解説してもらった。
(取材日2022年2月8日)
目次
更年期は自分の体を見つめ直す良い機会。予防や検診など総合的に相談できる婦人科のかかりつけを
- Q更年期障害とは何ですか?
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A
一般的に閉経前後の5年間、つまり合計10年間で現れる女性ホルモンの低下が原因による不調を指します。閉経の年齢は個人差が大きく、「のぼせ」「ほてり」「発汗」「抑うつ」「不眠」といった症状の度合いも人それぞれ。また気持ちの浮き沈みもあり、検査を行っても特に異常のないものを更年期症状、さらに日常生活に支障を来す状態を更年期障害といいます。女性ホルモンが減少してくるのと同時に、無月経や月経不順になってきますので、その時点で受診される方も多くいらっしゃいますね。女性ホルモンは自律神経のバランスにも影響があるため、自律神経失調症を中心とした不定愁訴で悩まれる方が多くなるのが特徴です。
- Qこちらで受けられる治療について教えてください。
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A
まずSMI(簡略更年期指数)といって、更年期症状の有無や程度を把握するためのチェック表への記入を行っていただきます。それをもとにヒアリングをし、採血やエコー検査などを実施。症状が複数ある場合はどの症状を一番に改善すべきかの優先順位もしっかり見極めます。基本的に更年期の症状であれば、服用や貼り薬などによるホルモン補充療法を行います。あとは漢方薬の処方。飲みづらさを感じられる方もいらっしゃいますが、気にならない方には漢方薬で改善をめざすことも。体が更年期の状態に慣れてくれば症状も落ち着いてくるケースがほとんどですので、最終的には薬による治療も必要なくなることが多いです。
- Qホルモン補充療法における副作用はありますか?
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A
代表的なものとして不正出血、乳房の張り、頭痛、吐き気などが挙げられます。しかし、これらは1ヵ月から3ヵ月程度で治まることがほとんど。万が一、出血が続く場合は薬の投与方法を変えるか、子宮体がんなどほかの病気が隠れていないか調べます。また、まれに血栓症を引き起こすことがあるので、リスクの高い喫煙者や肥満の方は注意が必要です。なお、乳がんや脳卒中、心筋梗塞の既往歴がある方はホルモン補充療法を受けることができませんので事前にお伝えください。以前チョコレート嚢胞がある方へのホルモン治療の副作用で更年期症状を訴える方もいましたが、今は薬が改善され、そのようなケースも少なくなっています。
- Q婦人科には通いづらいという方も多いのでは?
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A
内診が大きな理由だと思うのですが、確かに通いづらい印象を持たれている方は多いように感じます。しかし、すべての婦人科クリニックがそのイメージを払拭したいと思っているはずです。つらい症状で困っているのに受診をためらってしまうのは残念なこと。更年期の不調はPMS(月経前症候群)の症状にも似ているため、特に40代前後の方は迷うこともあるかと思いますが、検査をすれば更年期症状かPMSであるか判断がつきます。また、甲状腺の病気や子宮内膜症などそのほかの病気の有無もチェックしますので、体の状態を知るためにも受診していただきたいですね。リラックスできる雰囲気づくりに努めていますので気軽に来院ください。
- Q更年期とうまく付き合っていくにはどうしたら良いでしょう。
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A
更年期というと後ろ向きな気持ちになる方もいらっしゃると思いますが、自分の体を見つめ直す良い機会と捉えると楽になるのではないでしょうか。規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠は自律神経のバランスを整えてくれます。そして頑張りすぎないこと。更年期であることを受け入れ、自分を優しく労わりながら過ごしていただきたいですね。それと同時に相談しやすい婦人科のかかりつけを持つこともお勧めします。女性は40歳を過ぎると子宮体がんや卵巣がんのリスクも上がってきますし、更年期と思っていたら甲状腺の病気や関節リウマチ、貧血だったということも。定期的に検診を受けることが重要です。