林 敬次 院長の独自取材記事
はやし小児科
(大阪市城東区/深江橋駅)
最終更新日:2026/09/30
深江橋駅から徒歩5分、公園に隣接するマンションの1階に「はやし小児科」はある。ジュゴンの親子のロゴマークが出迎える広々とした院内は、メダカが泳ぐ水槽やスタッフ手作りの壁飾りに彩られ、親子がリラックスして過ごせる温かな空間となっている。院長の林敬次先生は、高槻赤十字病院で小児科部長を務めるなど、50年以上のキャリアを持つベテラン医師。自身の子どもたちが育った愛着あるこの地で、2007年に開業した。穏やかな笑顔と気さくな語り口が印象的な先生だが、既存の治療法について改めて科学的に確認する世界的な研究団体にも参画するなど、科学的根拠への姿勢は真剣そのものだ。「効果が証明されている薬は使い、証明されていないものは使わない」という信念のもと診療を続ける林院長に、その哲学や同院の特徴について聞いた。
(取材日2026年9月11日)
恩師との出会いに導かれ、愛着ある地元で小児医療を
医師を志し、小児科の道に進まれたきっかけを教えてください。

幼い頃から父親がいなかったのですが、友人のお父さんがとてもかわいがってくださいました。その方がお医者さんで、食事に招いてくださったり、いろいろなお話を聞かせてくださったりと、私にとっては父親代わりのような存在だったんです。その交流を通じて、医師という仕事に自然と惹かれていきました。小児科を選んだのは、大学時代に出会った恩師の影響ですね。病理に基づいた臨床をされる方で、適切な診断を行っていらっしゃいました。この先生についていけば先端の小児科を学べると確信しました。高槻赤十字病院でも臨床に優れた上司に恵まれ、2人の恩師にしっかり教えていただいたことが今の土台になっています。小児科の魅力は、いつまでたってもお子さんがかわいいこと。若い親御さんとの関わりにもやりがいを感じますね。
こちらの地域で開業された経緯をお聞かせください。
病院勤務の定年が近づいてきた頃、小児科を開業するならあまり年を取ってからでは大変だろうと考え、少し早めに退職しました。実はうちの娘が、2人ともすぐ近くの中学校を卒業していましてね。私たち夫婦が長年暮らし、子どもたちが育った愛着のある地域で、ちょうどこの場所に空きが出たのが開業のきっかけでした。自分がそれまで積み重ねてきた小児医療の経験を、地域の皆さんに還元できたらいいなと思ったんです。薬の効果や安全性に関する知見を日々の診療を通じてお伝えしながら世界の医学の常識を実行したいという思いもありました。とりわけ抗生物質の使い方の是正、クループという病気のステロイド剤適応の周知については、しっかり取り組んできたつもりです。この地域は親しみやすい方が多くて、距離感が近い、とても温かいところなんですよ。
温かみのある院内ですが、環境づくりで工夫された点を教えてください。

お子さんが楽しく過ごせるようにと考えて院内をつくりました。内装は妻と一緒に考えたかわいらしい雰囲気で、診察室にはスタッフ手作りの壁飾りがあり、子どもたちに人気なんですよ。一方で、小児科には発熱や咳のお子さんが多くいらっしゃいますので、感染対策にも気を配っています。新型コロナウイルスの流行以降はパーティションを設置して、感染の可能性がある場合は別室にご案内するようにしました。感染症に弱い6ヵ月以内の赤ちゃんも、他の患者さんとは別のお部屋で待っていただいています。院内には血液検査の機器も備えていますので、その場で結果を確認して迅速に対応できます。元気なお子さんは目の前の公園で診察前後に遊んでいただけるのも、当院の特徴ですね。
科学的根拠に基づき、子どもに本当に必要な医療を
こちらのクリニックには、どのような患者さんが多いですか?

開業した当初は赤ちゃんの患者さんが圧倒的に多かったんですが、その子たちが成長して、小学生や中学生になった今も通い続けてくれています。症状としては、発熱や咳、下痢や嘔吐の他、発疹やアトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー疾患まで幅広いですね。診療科目は小児科とアレルギー科で、特定の分野に偏らず、さまざまな病気に対応するようにしています。ただ、私の判断だけでは難しいと感じた場合や、専門的な設備が必要な場合には、速やかに専門の病院にご紹介しています。ワクチン接種にも対応していますが、効果と副作用をきちんとご説明して、親御さんに納得していただいた上で判断していただくことを大切にしています。
診療において大切にされていることをお聞かせください。
私の診療の基本は、科学的に効果が証明されている薬はしっかり使い、証明されていないものは使わないということです。本当に効果があり、できるだけ副作用を出さない医療を提供したいという信念のもと、長年小児医療に取り組んできました。若い頃の経験がきっかけで、科学的に認められる治療に徹しようと決意したことがこの考えの原点です。既存の治療法について改めて科学的に確認する世界的な研究団体にも参画し、その知見を日々の診療に生かしています。
お子さんの診察ではどのような工夫をされていますか?

お子さんの検査や治療では、できるだけ痛みが少なくなるよう工夫しています。例えばインフルエンザの検査では、まず鼻水を少し出してもらうことで、必要以上に鼻の奥まで綿棒を入れる必要がなくなるんです。ちょっとした工夫ですが、お子さんの負担はだいぶ変わりますからね。診察で何より大切にしているのは、しっかり丁寧に診ることです。お子さんが中心ではありますが、付き添いの親御さんにもできるだけ負担が少なくなるよう心がけています。どのような症状であっても、世界的なガイドラインや新しい文献に目を通しながら、その子に合った判断をするようにしています。
気になったらまず相談を。地域とともに歩む小児科
お子さんの体調が気になったとき、受診の目安はありますか?

お母さんはよくお子さんのことを見ておられるんですよ。お母さんが「いつもと違う」「なんだか元気がない」と感じた時は、実際に状態が良くないことが多いです。ですから、心配だなと思った時には遠慮なく受診してください。親御さんの直感は大事にしていただきたいですね。ただ、特に小さなお子さんは症状がわかりにくく、親御さんでも気づけないことがあります。6ヵ月までの赤ちゃんは十分な注意が必要で、ぐったりしている、元気がないと感じたら早めに診せてください。中でも3ヵ月以下の赤ちゃんの発熱は、私たち小児科医が診察しても原因の判断がつかないことがあり、血液検査をして初めて原因がわかるケースも少なくありません。何か気になることがあれば、迷わず相談していただければと思います。
スタッフの皆さんの雰囲気や、今後についてお聞かせください。
スタッフは皆さんとても優しくて、子ども好きな方ばかりなんです。日々の診療でいろいろな面で私を支えてくれていて、私にも優しいんですよ。もし私に直接は聞きにくいなということがありましたら、スタッフの誰にでも気軽に声をかけてください。お話しいただいた内容は私にも共有されて、一緒に対応することができますので、どんなことでも気兼ねなく相談していただければと思います。今後の展望としては、特別に新しいことを始めるというよりは、世界的なガイドラインや文献に基づいた科学的な診療を、これまでと変わらず丁寧に続けていきたいと考えています。また、火曜日の午後の診療も再開しましたので、これまで以上にお役に立てるのではないかと思っています。
最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。

正直なところ、開業した当初はかなり心配していたんです。私の診療は、科学的に効果が認められた薬はしっかり使う一方で、必要のないものは出さないという方針ですから、処方は少なめになることもあります。薬が多いほうが安心されるという声も耳にしていましたので、受け入れていただけるだろうかと不安でした。でも、多くの方が私の考えを理解して通い続けてくださり、本当に支えていただいたなと感謝しています。開業当初に赤ちゃんだったお子さんが小学生、中学生になっても来てくれているのは、何よりうれしいことですね。これからも、お子さん一人ひとりにとって本当に必要な医療を丁寧に届けていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

