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原之村 博 院長の独自取材記事

はらのむらクリニック

(大阪市天王寺区/四天王寺前夕陽ヶ丘駅)

最終更新日:2022/02/09

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天王寺区役所にほど近い静かな住宅街。そんな街の風景に溶け込むように「はらのむらクリニック」はたたずんでいる。2005年6月に天王寺区生玉前町で「はらのむら外科胃腸科クリニック」を開業。2016年10月下旬にクリニック兼自宅をここ真法町に新築移転。2021年の今年は、開業15周年、クリニック移転から5周年の年になる。内科、外科をはじめ在宅医療にも情熱を注ぐ『かかりつけ医』として近隣に暮らす人たちにとって、もはやなくてはならない存在になっている。クリニックの名称も「はらのむらクリニック」と改め、「患者さんと同じ目線で、真摯に向かい合う」をモットーに、日常診療を続ける原之村博院長に話を聞いた。

(取材日2017年6月1日/更新日2021年9月29日)

コンビニのように、街に普通にある安心感を

以前の谷町九丁目から2016年11月1日に真法院町に移転し新規開業されたんですよね?

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谷町九丁目で開業して12年間は豊中から電車で片道1時間15分程かけて通勤していました。開業当初から在宅診療にも力を入れていましたが、家が遠いため、患者さんが急変された時や最期を看取る時が大変でした。深夜に呼ばれても自宅からでは短時間で患者さんのもとに行けず、「今夜が山かな?」と思う時は遅い時間まで患者さん宅でご家族と一緒に見守りますが、さすがに午前3時を過ぎると翌日の診療を考え「一旦自宅に戻ります」とお伝えして豊中にタクシーで帰ります。ところが帰宅した直後に「今、呼吸が止まりました!」とご連絡があり、とんぼ返りで駆けつける。そのようなことが何度もあり、在宅診療を頑張るならば自宅とクリニック併設にしようと決意しました。患者さんもご家族もきっと安心いただけ、また自分自身精神的にも肉体的にも今よりずっと楽になるだろうと考え、5年程前からクリニック兼自宅での新規開業に適した場所を探していました。

自宅とクリニックが同じだと、クリニックに行けばいつも先生がいるという安心感がありますよね。

木曜日、外来診療はお休みで朝から在宅診療に出かけています。私がまさに今から自転車で出ようとしているところに、時々曜日を間違えて患者さんが薬を取りに来られたり、急な発熱や腹痛で診察を希望されて来院されます。もちろんそんな時は臨機応変に対応させていただきます。開業医としてそれほど大したことはできていませんが、患者さんの求めに応じて必要とされる医療がその時その時に提供できれば、ちょうどコンビニのように24時間そこに存在する安心感を持っていただけるのではと考えています。

大学、研修医時代を鹿児島で過ごされています。当時の思い出を聞かせてください。

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鹿児島大学を卒業する際に今後の進路を迷っていて、呼吸循環器系を中心とした術後の全身管理にも関心があったので、先輩から誘われて初期研修は麻酔科で受けました。学生時代を含めて11年ほど鹿児島で過ごしましたが、今振り返ると鹿児島での日々が私の医師としての礎になっています。研修医時代に往診に同行しましたが、それまで経験したことがなかった往診は自分にとって驚きの世界でした。医師として大したことをしているわけではありませんが、患者さんがとても喜んでくださるんです。まずごあいさつをして患者さんにその日の体調を伺い、体温と血圧を測って、胸の音を聞き、定期処方のお薬を手渡す。その後しばらくの間、ご家族を交えて世間話をする。ごく自然な感じでコミュニケーションを取れることがとても大切なんだなと感じました。患者さんのご自宅を訪れてみて初めてわかるようなこともあり、研修医時代の経験としてたいへん意義深いものでした。

「人と接することが好きだから」在宅医療にも力を注ぐ

診療を行う上での、先生の方針を教えてください。

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私の方針は、「患者さんが訴えることを拾い上げ、おかしいなと思ったことは突き詰めていく」です。例えば、こんなことがありました。首に違和感があるから診てほしいという患者さんがいらっしゃいました。触診をしても異常を感じないので、エコーをしてみると、5mmくらいの気になるしこりを見つけました。すぐに専門の医師を紹介して受診していただくと、甲状腺のがんだったのです。甲状腺のがんを早期に見つけるのはなかなか難しいのですが、それができたのは患者さんの言うことに耳を傾け、それを拾い上げて検査してみたからだと思います。最初の触診だけで「大丈夫ですよ」と放置していたら、見つからなかったのではないでしょうか。患者さんの言うことは、真摯に受け止めないといけない。それができないと、ちゃんとした医療は行えないと思います。

数多くの訪問診療を行うなど、在宅医療にも力を入れていらっしゃいますね。

医師の中には、在宅に興味がないという人もいます。適材適所で、私がそこを埋めていけばいいと思っています。私が関わる患者さんやご家族の中には、住み慣れたわが家で最期を迎えたいと、在宅医療を選ばれる方もいらっしゃいます。しかし、そのつもりでがんの終末期医療に入っても、吐血や下血を見るとご家族も見ているのがつらいでしょうし、夜間せん妄が表れてくると寝られなくなります。「やっぱり、大変だから病院に戻してください」という方もおられます。私は最初から「無理しないでいいですよ。できるところまでで。無理だったら言ってくださいね」と申し上げています。必要になれば、病院の紹介もします。開業医には、そんな役割分担のようなものがあると思っています。個人の開業医として在宅医療を行うのは正直、難しい部分もあります。それでもそこに向かうモチベーションになるのは、やはり人と接することが好きだからですね。

在宅医療に携わっていると、患者さんが亡くなる場面にも接しますよね。

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私は、患者さんの最期をどうやって迎えさせてあげるかということが大事だと思います。患者さんと家族の絆を、大切にしてあげないといけないと考えています。例えば息子さんが離れたところに住んでいて、すぐには来られない。あと半日か数時間で亡くなるというときに連絡すると、「明日の朝には必ず行くので、それまでなんとかもたせてください」と言われます。ご家族は、やはり死に目に会いたいという思いがあります。最期の瞬間は患者さん自身のセレモニーでもありますが、ご家族にとってもひとつのセレモニーです。私はそこを、大事にしたいと思っています。

今後も同じ目線で、より患者に寄り添っていきたい

お忙しいでしょうが、お休みの日はどんなことをされていますか?

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今は休みがほぼないです。しかし、もともと体を動かすことが好きで、47歳くらいまでは琵琶湖を一周する180kmのサイクルロードレースや、ミニトライアスロンに出場することもありました。格闘技も好きで、大学では空手をやっていました。医学部の空手部なので本学の空手部と比べると厳しさが違いますが、一応黒帯を頂きました。医科学生大会などの前には、鹿児島大学の全学の空手部と合同練習をします。しかし彼らは実力や迫力が全然違います。回し蹴りも上段の蹴りも素晴らしいです。私にはあんなこと、できません。大会よりもその人たちとする組み手の方が、よっぽど怖かったです。空手も47歳くらいまでやっていました。肋骨にヒビが入ったこともあるのですが、妻には言えなくて黙っていましたね(笑)。

こちらでは、どんな診療に力を入れていますか?

開業するまでは関連病院を異動することが多かったので、5年や10年の単位で患者さんを診られることがあまりありませんでした。一人の患者さんを長いスパンで診ていくことができるのは、開業医だからこそできることですね。私が病気を発見した患者さんを、天王寺区や大阪府の基幹病院に紹介して手術してもらい、普段はこちらで診るという病診連携を大事にしています。日常から患者さんを見ていることも大切だと思っています。ある患者さんとお話ししていて普段と全然違う感じがしたので、おかしいと思って脳神経外科を受診するようにアドバイスしたことがあります。すぐにMRIを撮ってもらったところ、脳に出血があり、即入院してことなきを得たそうです。それも普段の様子を知っていたから、いつもと違うことに気づけました。

このクリニックでめざす、今後の方向性を教えてください。

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患者さんあっての医療だと考えています。患者さんとちゃんと向き合っていれば、病気や状態のことを含め、すべてを患者さんが教えてくれます。なので、今後も同じ目線で、より患者さんに寄り添っていきたいと思っています。

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