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山下 誠夫 院長の独自取材記事

山下小児科クリニック

(横浜市港北区/綱島駅)

最終更新日:2020/04/01

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綱島の子どもたちの健康を守っている「山下小児科クリニック」の待合室には、連日、多くの子どもと母親たちの顔が並ぶ。「先生やスタッフが本当に丁寧」「待ってもいいから、診てもらいたい」。そんなクチコミが人を呼び、山下誠夫院長はほとんど趣味の時間も持てないそうだ。「大変なこともありますが、患者さんから感謝の言葉をいただくと、また頑張れるんです」と語る院長。少子化・核家族化の今、母親たちの抱える不安や孤独をつぶさに見ている。だからこそ、昔ながらの信頼関係を大事にした小児科医院は、いっそうの存在感を増すのだろう。
(再取材日2016年11月17日)

少子化の今もなお、待つ人の絶えない人気のクリニック

綱島の町にしっかり根付いた小児科医院ですね。

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今でこそ綱島に小児科医院はたくさんありますが、当院が開院した頃は2軒だけでした。古い分だけお子さんも成長され、本来小児科は15才までなのですがその後も引き続き通ってきてもらったり、中には結婚をして自分のお子さんを連れてくる方もいます。大人が通う内科と違って、小児科の場合、ご近所に住むお母さんとお子さんがほとんどです。でも、中には、わざわざ遠方から通ってこられる患者さんもいます。市営地下鉄が延びていない頃は、自転車やバスを乗り継いで来られる親子もいました。ありがたい事です。もともと私はこの近所にあった総合病院の小児科に勤務していました。しかしご存知のように、少子化が急激に進行しました。大学病院や公立病院をのぞいて、小児科や産婦人科は一般の総合病院にとって、経営上必要性はないと考えられる時代になってしまったのです。そこで、患者さんが多く住んでおられた綱島の町に当院を開院しました。

先生はなぜ小児科の医師を選んだのですか?

私は子どもの頃病弱だったせいもあり、なんとなく医師になりたかったですね。医師の家系ではなかった分、いっそう憧れが強かったのかもしれません。私が描いていた医師のイメージは、実に単純で患者さんにちゃんと聴診器を当て、そして生死を左右するような状況にかかわる様な姿。そのような診療スタイルが可能なのは、内科、外科あるいは小児科だろうと漠然と考えていました。日本医科大学に進学しましたが、たまたまそのとき私を厳しく指導してくださった教授が小児科を専門にしていました。そこで私も小児科のドクターをめざすようになったのです。

小児科はかなりの激務だと聞きますが。

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小児科の医師になった当初は、「ここまで大変な仕事だったとは」と思うことの連続でした。当院以外に、休日診療所や夜間救急センターで診察を行っていて、救急でやって来られる患者さんの約7割は小児科です。季節によっては8割がお子さんの事もあり、夜間救急センターで診察をしていると、小児科は一息つく暇もありません。現在の日本の世相や価値観、家族関係の変容までもが、じつによく見えてきます。夜間救急センターは、文字通り救急の患者さんを診察する場です。ごく稀には一刻を争う状態の子が運ばれてくることもあります。多くは緊急性のない患者さんばかりです。しかしそのような方を責めることもできないんです。なぜなら、お母さんたちの迷いがよくわかるからです。

スタッフ全員が、子育て・小児医療のエキスパート

お母さんたちは何に迷っているのでしょうか?

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迷うというよりも、不安、そして自信がないのでしょう。子育ての相談をしたくても、周りに頼る人のいないお母さんがたくさんいます。世の中には子育てに関するたくさんのマニュアル本や情報があふれ、少しでもマニュアルからずれてしまうと、どう対処すればいいのかわからない人も多いのでしょう。当院では電話を私の携帯に転送しているのですが、深夜に「高熱だけど、解熱剤は使ってもいいですか?」と質問してきた人や、「病院に行った方がいいですか? 行かなくてもいいですか?」と聞いてきた人もいました。もしその場に経験豊富なおばあちゃんがいたら、冷静で当たり前のアドバイスをくれたと思います。ところが、現実問題として核家族化が進んでいる。身近に相談相手がいないのです。このような不安を抱えたお母さんたちのフォローも、小児科のドクターにとって、仕事のひとつだと思います。

具体的にどのようなフォローをなさってますか?

お母さんたちの不安を解消できるよう、適切な対処法をわかりやすくアドバイスすることです。知ってもらいたいことや覚えてほしいことなどを、じっくりと時間をかけて説明し、お母さんたちからの疑問にも答えるように努力しています。しかし多くの患者さんが待ってますから、なかなか時間が足りません。そこで大きな力を発揮してくれるのが、当院のスタッフです。当院の看護師も事務スタッフも、みんな子どもが大好き。そして、子どもの対応だけでなく、しっかりと親の立場に立って、お子さんの病気や怪我への不安を取り除いてあげる気配りもできるしっかり者。本来は私が説明して差し上げるべきなんですが、やはり時間に限りがあります。看護師さんがいるのは、本当に助かります。患者さんもスタッフの力強さをよくご存知です。「ここの看護師さん、スタッフさんは頼りになるなあ」と私以上に好評ですから(笑)。

クリニックの温かなムードも、ママたちの不安を解消しているのでは?

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そうかもしれません。孤立しがちなお母さんたちにとって、気軽に相談しやすい環境があることは大きな意味を持つでしょう。そのためにも、やはりかかりつけ医を持ってもらいたいです。信頼関係の問題だけでなく、医師がお子さんの成長をしっかりと把握することで、何らかの変化や異常を見つけやすくなります。予防注射を打つにしても、お子さんの体質をわかったうえで注射する場合と、そうでない場合とでは、やはり違いがあると思います。

かつて診察した子どもの中には、医学の道を選んだ子も

患者さんとのエピソードも豊富にお持ちでしょうね。

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このエリアは転勤族と呼ばれるファミリーが比較的多く、患者さんの中には引っ越し時にわざわざ挨拶に来てくださる人がいます。「先生のおかげで助かりました」とか「あのとき、ここに来なかったらどうなっていたか……」などの言葉をかけてくださいます。こういうお母さんの一言があるだけで、私もまた頑張れるんです。これからも地道に続けていこうと。町中で開業している小児科医院の場合、ほとんどの患者さんが風邪です。ところがごくまれですが、大きな病気が潜んでいる可能性があります。それを決して見逃さず、然るべき医療機関に速やかに紹介することも私の役目。医師としては当たり前のことをしているだけなんです。けれどそんな私の仕事に対していただく、患者さんからの心のこもった「ありがとう」の言葉。これは本当にうれしいものです。

ハードな毎日ですが、どのように気分転換なさっているのですか?

私は時間の配分が下手でほとんど無趣味に等しいです。趣味を持つ前に、時間を持つことができませんでしたから(笑)。でも唯一といってもいい息抜きは旅行です。冬はインフルエンザなどの患者さんが多いため、長い休暇を取ることはできません。そこで夏には少しまとまった時間をもらい、ハワイに行くことが多いです。マウイ島でただのんびりと過ごすだけなんですけどね。医師は自分の体や精神状態が疲弊しきると、必ず治療にも影響します。私が無理をすると、結局患者さんに不利益を生じさせてしまう。そこで夏はハワイでのんびりして、エネルギーをチャージして帰って来ます。

先生の夢は何ですか?

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私にとって一番の励みは、患者さんに信頼されることです。多くの患者さんに通って来ていただいてますが、この信頼をできるかぎり維持していきたいです。小児科の医師として長年のキャリアを築いてきましたが、予期せぬ大きな喜びにも出会いました。私が昔、診察していた子どもたちの中に、医師になった子が何人かいます。うち一人は東大の医学部に進学しています。びっくりしています。彼らがどのような経緯で医者の道をめざしたのかはわかりませんが、私の小児医療に携わる姿を見て、「僕も私も、お医者さんになりたいな」と思ってくれる子がいたのなら、本当に光栄です。そのためには、いつまでもお母さん、そして子どもたちから慕われる医師であり続けることです。それが私の最大の夢かもしれません。

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