片山 啓 院長の独自取材記事
片山キッズクリニック
(神戸市灘区/岩屋駅)
最終更新日:2026/01/21
2004年の開業以来、地域に根差した小児医療を提供し続ける「片山キッズクリニック」。総スタッフ48人という大所帯を率いるのは、「お子さんの病気だけでなく、保護者の不安という病にも寄り添うのが小児科医です」と真摯に語る片山啓院長。神経・アレルギー・腎臓・心臓など多様な専門分野を持つ医師9人が在籍する同院では、症例に応じて主な担当医を切り替える体制を取っている。健診・予防接種専用室や感染症専用の陰圧室を含む5つの診察室は、完全に動線を分離した設計となっている。専門スタッフ3人による発達支援をはじめ、英語での対応が可能な医師5人による外国人対応の診療など、地域のニーズに幅広く応えている。同院の小児医療と保護者支援について、片山院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2025年10月23日)
多様な専門性を生かし、総合的な小児医療を提供
クリニックを開業した経緯についてお聞かせください。

2004年11月20日に開業しました。それまで東京の山王病院で小児科部長をしていたのですが、妻の故郷である神戸市灘区で開業の話があり、これまでの経験を生かしてクリニックをつくりたいなという気持ちもあり、神戸に来ました。開業するにあたってめざしたのは「親御さんたちのニーズにきっちり応えていけるようなクリニック」です。小児科医は、単に子どもたちの病気を診るだけではなく、保護者からいろいろな不安を気楽に相談してもらい、それを解決につなげることも仕事だと考えています。そのため、子育て支援や予防接種、発達障害のサポートなど、それぞれのニーズに対応できるように専門性のあるスタッフを増やしながら、今の体制をつくってきました。
主にどのような主訴の方がいますか?
最近は一般的な小児科の中でも、予防接種の患者さんと発達障害のお子さんを診ることがライフワークになっています。1歳児健診や3歳児健診などで自閉スペクトラム症の評価を受けたお子さんが来られるケースが増えていますね。ADHD(注意欠如・多動症)の6歳以上のお子さん、起立性調節障害の症状で朝起きられず学校に行くのが困難なお子さんなど、同じ病名でも一人ひとり症状や経過は異なるため、個別に説明しながら長期的に伴走する姿勢を大切にしています。それから、自宅で保育を続けている保護者の方からのご相談もあります。病気のときは親子で不安が増幅してしまい、どうしても四六時中お子さんとにらめっこ状態になってしまうんですよね。どんどん気持ちが落ち込んでいってしまうこともありますので、そうなる前に早めに話を聞かせてほしいと思っています。
体だけではなく、心の領域の症状も診ているのですね。

当院では常勤・非常勤の医師9人が交代で診察しています。それぞれに神経やアレルギー、腎臓、公認心理師などサブスペシャリティー領域を持っていますので、症状に応じて主担当の医師を切り替えることも可能です。小児神経が専門の医師もいますので、発達障害に関しては小児神経専門の医師と私、3人の専門スタッフで対応しています。療育的なトレーニングは当院ではできませんが、検査・判定・診断までは可能です。親子双方にカウンセリングが必要と判断した場合は、バイアスを避けるため、親子それぞれ別のスタッフが担当する体制を整えています。また、起立性調節障害に伴う不登校など、詳細な傾聴が必要なケースに対しては専用の時間を設けました。30分を基本単位として、個々に合わせて60分まで時間を確保し、じっくりお話を伺います。
安心できる環境づくりへのこだわり
動線設計にはどのような工夫がありますか?

山王病院にいた時は院内感染や感染予防の対策を任されていたので、開業の際はその時に身につけたノウハウを生かそうと考えていました。小児科を受診して別の病気をもらってしまったなどといった交差接触を避けるため、健診・予防接種、一般診療、感染症の各区域で入り口とトイレを完全に分離した設計としています。水ぼうそうなど感染症やその疑いがあるお子さんは、専用の待合・診療エリアに入っていただき、感染症専用診療室は陰圧換気を常時行っています。一方で、健診・予防接種では「逆隔離」の考えで非感染者を守るための動線を確保。一般待合室のトイレは親子で入れるようにし、おむつ替え室、授乳室も設置しました。隔離診察室・病児保育施設の感染症用の隔離保育室などには、病原体が外に漏れ出るのを防ぐための陰圧換気システムを導入しています。徹底して配慮して「安心して行ける」と言っていただけるような環境づくりを心がけています。
外国人の患者さんも多く、開業当初から受け入れていると伺いました。
外国人の患者さんが来院されることが多く、英語を話せる5人の医師でカバーしています。医師の出勤スケジュール表に英語対応可能な医師に印をつけ、予約時に選択できる体制を整えました。患者さんのコミュニティーの中で「あのクリニックだったら英語が話せる医師がいる」と人づてで広めてくださっているのかもしれませんね。特別な対応ではなく、通常の診療の中で誠実な対応をめざしています。
予防接種について教えてください。

健康診断・予防接種専用エリアを設け、医師と看護師を配置することで、診療時間内で患者さん側の都合で時間を選んでもらえるようにしています。そういった通いやすさもあり、年間多くの方が予防接種に訪れます。基本的に、予防接種で予防できる病気は予防したほうが良いと考えているんです。よく副反応を心配する声がありますが、病気による合併症のほうがはるかにリスクは重大です。感染することで重い後遺症が残る可能性もありますので、まず予防が大切。当院では、任意の予防接種も受けつけています。お子さんに注射をする際は、事前に対話して心の準備をしてもらうことを心がけていますね。また、皮膚に刺す注射針とゴムなどの器具に使う針と可能な限り別にし、切れ味を保つよう配慮しています。お子さんが泣き出す前に皮膚に素早く刺すよう努めており、痛みを抑え安心して接種を受けてもらえるよう取り組んでいます。
地域に根差した医療提供と保護者の支援の両立をめざす
併設の病児保育施設では、どのようなケアが受けられるのでしょうか?

併設している病児保育施設「プエリ」は定員12人で、生後6ヵ月から小学6年生までが対象です。お子さんをお預かりする際には当番の医師が診察をし、鼻の吸引や喘息の吸入、処方された薬を飲ませる時間など、お子さんに合わせて必要な処置をスタッフに前もって指示します。その後、医師の回診時に午前中のお子さんの様子を聞き、必要に応じて検査や処置を行っています。感染症のお子さんのケアのために隔離保育室も用意しています。スタッフは病児保育を専門的に学んだ看護師、食事を作る管理栄養士などが在籍し、プロ集団がチーム体制でしっかりケアします。安心して皆さん預けてくだされば、と思います。
地域のクリニックとして、大切にされていることはありますか?
お子さんの病気を治療することはもちろん、保護者の方の不安という病も同時にケアし、安心して帰れることを最も重視しています。親子が楽しい時間を過ごせるよう、家庭を支える医療を心がけています。地域医療への貢献も大切に考えており、病児保育以外にも小学校2校の学校医、認定こども園2園と保育園2園の園医として活動しているほか、区の乳幼児健診も対応しています。在籍する医師の人数が多いため、非常勤医も各園の健診などに参加しています。チーム全体で地域の小児医療を今後も支え続けていきたいですね。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

小児科医の仕事は、お子さんだけではなく保護者の方の不安も一緒に診ていくことです。お母さん・お父さんたちがお子さんとともに楽しい時間を過ごせるように、それぞれの家庭を支えていくのが私たち小児科医の役割だと考えています。保護者向けのカウンセリングもご案内できますので、一人で抱え込まず、早めにご相談ください。地域の皆さんが安心して子育てできるよう、これからもチーム一丸となってサポートしてまいります。
自由診療費用の目安
自由診療とは特別予約(30分)/1000円~

