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上條 隆司 院長の独自取材記事

なごやかこども成長クリニック

(名古屋市北区/平安通駅)

最終更新日:2023/11/14

上條隆司院長 なごやかこども成長クリニック main

平安通駅からすぐの場所にある「なごやかこども成長クリニック」。午前中は一般小児科の診察を、午後は低身長など内分泌疾患や夜尿症、思春期、肥満・糖尿病など専門の診療を行っていることが特徴だ。上條隆司院長は、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医。中でも子どもの内分泌を専門としている。「低身長でも治療をきちんとすれば身長を伸ばすことが望めます。小学1年生、遅くとも3年生までに相談にいらしてください」と呼びかける。特に男子の治療に注力しており、ホルモン異常ではなく体質的な低身長に対しても睡眠や運動、食事の指導、漢方薬の処方など親身に対応する。院長はじめ女性の医師やスタッフがおり、話しやすいのも同院の魅力だろう。子ども好きで目尻の下がったまなざしが優しい上條院長に、治療や診療時の心がけなどを聞いた。

(取材日2023年6月22日)

低身長をメインに専門的な診断と治療の提供を

まずクリニックの特徴を教えてください。

上條隆司院長 なごやかこども成長クリニック1

当院は、午前は風邪や腹痛など通常の小児科診察を行っていますが、私は小児内分泌、つまり子どものホルモンの病気の専門家です。日本内分泌学会内分泌代謝科専門医の中でも子どもを専門とする医師は東海3県でも少なく、かなり特殊だと思います。当院では低身長や甲状腺の病気、肥満、糖尿病、思春期の体の悩みなどに対し専門的な治療を行っており、愛知県内はもちろん三重や岐阜、現在は和歌山から通ってくださる患者さんもいらっしゃいます。

どのような患者さんが多いのでしょうか?

一番多いのは低身長のお子さんです。しかし検査をすると多くは病気ではなく、1~2割ほどのお子さんが病気という診断になります。低身長の原因として成長ホルモンが出ていない場合は、定期的にホルモン注射をしていく治療となります。だいたい4~5歳で始めて1ヵ月から数ヵ月に1回の割合で通院してもらい、15~16歳まで続きます。成長ホルモン以外の原因としては先天的な軟骨無形成症などの骨の病気や、女性では染色体異常で起こるターナー症候群の場合も。骨の病気はまず成長ホルモン治療を行い、小学校高学年ぐらいで下腿骨を切断し、器具を使って少しずつ伸ばしていくことをめざす脚延長術という方法があります。半年から1年ほどの入院が必要で名古屋大学医学部附属病院の整形外科へご紹介します。

先生は男子の低身長の治療に注力されていると伺いました。

上條隆司院長 なごやかこども成長クリニック2

はい。低身長のお子さんは思春期が遅くなる傾向にありますが、男子でまれに11歳以前という早い時期に発来することがあります。思春期では骨の成熟が進むので、早いうちに身長の伸びが止まってしまう恐れがあります。近年では男子の場合、タンパク質を合成するためのホルモンの内服によって治療ができるのではないかという研究も進んでいます。また、低身長が病気ではなく体質による場合、つまり食も細く体重も少ないという虚弱なお子さんには、ご希望に応じて胃や腸の働きの改善を図り、食欲や気力の充実をめざす漢方薬を処方します。低身長というのは私自身もそうだったのですが、男子にとっては深刻な悩みで自己肯定感の低下にもつながりかねません。病気はもちろん治療しますが、当院では病気でなくとも親身になって、睡眠、食事、運動、漢方薬を4本柱に、少しでも身長が伸びるための方法を提案していきます。

患者が通いやすく話しやすい場づくりを

女子の低身長についても教えてください。

上條隆司院長 なごやかこども成長クリニック3

低身長の女の子でも思春期早発症で小学校3年生ぐらいから胸が膨らんでくることがあります。この場合も早い段階で身長の伸びが止まってしまわないように早期の治療開始が必要です。低身長の治療は小学校高学年になるとできないこともあるため、できれば小学校1年生ぐらいまでに、遅くとも3年生には治療を始めることが望ましいです。女の子の場合はお母さんに、一緒にお風呂に入った時などに早めに気づいていただきたいですね。当院では私のほかにも、女性で小児の内分泌専門の多賀谷亜実先生が火曜日午後に診療を担当しています。ですから女子の初診の患者さんは火曜日に来られる方も多いですね。特に思春期の女子中学生にとっては私よりも多賀谷先生のほうが話しやすいでしょう(笑)。ほかの曜日にも女性の医師がおり、頼りにしています。

多賀谷先生はどんな方なのでしょうか?

非常に優秀で、かつ気さくな先生です。数年前から一般小児科の外来をお願いしているのですが、内分泌疾患にも興味を持って勉強されるようになりました。一般小児科もやりがいはあるのですが、お子さんとは体調の悪い時しか会えません。内分泌疾患は体調が悪いときに来られるわけではなく定期的に何年間も通院されますので徐々に信頼関係もできて、病気のこと以外にも部活や好きなアニメなどについて話をするようになりますね。多賀谷先生自身が中学生の子育て中なので、親御さんには自分の体験談を話したり、逆にお子さんの患者さんには思春期特有の気持ちを聞いたりすることもあるようです(笑)。ここは患者さんが長く通う場所なので、いつでも話しやすく親しみやすい医師がいることはとても大事だと思っています。

診療時の心がけを教えてください。

上條隆司院長 なごやかこども成長クリニック4

先にお話ししたように、子どもの内分泌疾患を専門とする医師は少なく、通常の小児科で専門的な診断、治療を受けられることは難しいといえます。特に初診の方は、これまで複数のクリニックにかかってきた方、インターネットで調べて情報がありすぎて何が正しいのかわからなくなってしまった方、思いがあふれて泣いてしまわれる方など皆さん、大きな不安を抱えて来院されます。病気でない場合も多いので、まずは検査結果をわかりやすく説明し、病気であったときはどんな治療がいつまで必要なのか、できるだけ見通しを明らかにして差し上げるように心がけています。これは当院のどの医師も同じで、「わからないことは何でも聞いてもらって不安をなくしてほしい」というスタンスで診療しています。

子どもを見守り支えるのは大人の役目

数年続く治療が多く、ご家族も大変だと思います。

上條隆司院長 なごやかこども成長クリニック5

そうですね。お母さんは、自分のせいだろうかと一人で悩んでいる方が多いので、私は「そうではなくて、あなたのせいではなく生まれつきの体質ですよ」と励ますようにしています。長年にわたり通院されるのでもう家族みたいなものですね。ホルモンが原因の場合は、その子が大人になっても当院で診させていただきます。性腺機能低下の症状も同時に出る場合があり、生涯注射が必要になるのです。ですから当院には30~50代、中には還暦を迎えた方もいらっしゃいます。平日は木曜以外、20時まで診療していますので、大人の患者さんも働くお母さんも来ていただきやすいと思います。

スタッフの方々についても教えてください。

当院には総勢20人ほどのスタッフがおり、5年10年と勤務が長い人が多いです。みんな私より患者さんに親切なくらいで気配りが行き届いていると思います。よく声をかけてくれるし、兄弟で来院されると自然に下の子を抱っこしたり、子どもが同じ年代の親御さんとは子育て談義をしたりと和んだ雰囲気にしてくれます。聞き上手なので、例えば患者さんが医師に言いにくいことを待合室で聞いてくれたり、お子さんには採血の時にさりげなく聞いたりした場合には、それらをきちんとカルテに記入してくれるので情報共有もできます。低身長は人によって捉え方がさまざま。多賀谷先生や私もですが、デリケートな問題ですので患者さんに合わせて、深入りし過ぎないよう、また距離を置き過ぎないよう、言葉を選んで話すようにしています。

今後の展望についてお聞かせください。

上條隆司院長 なごやかこども成長クリニック6

小児の内分泌疾患については、名古屋大学医学部附属病院の小児科の私の師匠が1963年頃から研究を始めており、低身長の臨床研究において名古屋は進んでいるといえます。繰り返しになりますが、治療は長く続くため1人の医師が診ていくには限界があります。今、多賀谷先生がいて、2年くらい後に某大学医学部から私より数年若い男性の医師が来てくれる予定です。私は80歳くらいになってもできるだけ頑張るつもりですが、若い先生が名古屋の歴史と実績を引き継いでくれることは心強くうれしいですね。小児科の医師として、これまでお子さんからはたくさんのパワーをもらってきました。ありがたいことで、普通の内科だったらこうはいかないと思います(笑)。いつも言っているのですが、子どもは未来からの贈り物。たとえ病気であったとしても、お子さんが前向きに生きられるよう、私たち大人は見守り支えていくことが大切だと思っています。

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