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上條 隆司 院長の独自取材記事

なごやかこどもクリニック

(名古屋市北区/平安通駅)

最終更新日:2020/04/01

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ラフなジャケット姿で迎えてくれる上條隆司院長。眼鏡の奥の目尻の下がったまなざしがやさしそうな雰囲気である。今年の5月で開院10周年を迎える「なごやかこどもクリニック」は名城線平安通駅4番出口から右へすぐ、ビルの階段を上ったところにある。一般小児の外来のほか、低身長や思春期、夜尿症、肥満・糖尿病など専門外来があるのが特徴だ。院長は愛知県でも数少ない小児科の日本内分泌学会内分泌代謝科専門医。「低身長でも治療をきちんとすれば身長を伸ばすことができます。悩んだら小学校低学年のうちに相談に来てください」と院長。待合室には子どもが喜ぶ水槽があり、授乳室も備える。子育て中のスタッフも多く、親子連れには頼もしい医院である。リラックスした雰囲気の中、さまざまな話を聞いた。
(取材日2016年8月25日)

低身長の治療がメイン、患者家族を身内のように診る

まずこちらのクリニックの特徴を教えてください。

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当院は普通の小児科として風邪や腹痛なども診ますが、僕は小児内分泌、つまり子どものホルモンの病気の専門家であり、かなり特殊だと思います。日本内分泌学会で認定された小児の内分泌代謝科専門医は愛知県内で僕を含め8人います。内分泌代謝科専門医でも10年ぐらいは経験がないと治療が難しい病気もあります。当院では低身長や甲状腺の病気、肥満、糖尿病、あるいは思春期の体の悩みなど、専門的な治療が必要な患者さんが全体の半分以上になります。愛知県内はもちろん三重や岐阜、以前には福井から、現在は和歌山から通ってくる患者さんもいます。この場所は、僕が長く勤めていた国立名古屋病院(現名古屋医療センター)と総合上飯田第一病院のちょうど中間地点に当たります。勤務医時代からの患者さんに引き続き通院していただきやすいと思い、ここに2006年開業しました。

どんな症状の患者さんが多いのでしょうか。

一番多いのは低身長です。でも検査をすると8割ほどが病気ではないので、その場合は睡眠や栄養、運動について指導しますが、あとの2割の中にいろいろな病気が隠れています。低身長の原因として成長ホルモンが出ていない場合は、ホルモン注射をします。大体4~5歳で治療を始めて月1回の通院で15~16歳まで、少なくとも10年ぐらいは続きます。中には180cmまで伸びた子もいますが、それはまれで、大体男の子なら160cmほど、女の子なら153cmほどを目標にします。成長ホルモン以外の原因としては、先天的な骨の病気や、女性では染色体異常で起こるターナー症候群という病気の場合もあります。骨の病気はまず成長ホルモン治療を行い、小学校高学年ぐらいで下腿骨を切断し、器具を使って1日1mmずつ伸ばしていく脚延長術があります。半年から1年ほどの入院が必要で、これは名古屋大学整形外科が行います。

治療は長くかかりますね。ご家族も大変なのでは?

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今やっている治療の効果がわかるのが短くて5年、大抵10~15年後というのは普通の小児科とは全然違う点ですね。お母さんは、自分のせいだろうかと1人で悩んでいる方が多いんです。僕は「そうじゃないよ、あなたが悪いわけではなくて、生まれつきの病気です。たまたまそういう体質なんだよ」と心をこめて話し、勇気づけるよう心がけています。10年の間毎月来院されるので、もう家族みたいなものですよ。ホルモンの病気の場合、その子が大人になっても当院で診ています。性腺機能低下の症状も同時に出る場合があり、生涯注射が必要になるんです。だから当院には30~40代、中には50代の人もいらっしゃいます。診療が20時までなので、大人も、また働くお母さんも来やすいと思います。

親子の交流の場を提供、スタッフも勉強熱心

先生は、子どもだけでなく家族もケアする、という理念をお持ちなのですね。

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都会で孤立して悩んでいるお母さん、お父さんの力になりたいと思い、2009年に子どもや親の交流の場としてNPO法人を設立しました。ここから歩いていける場所で、当院の患者さんに限らず、地域の親子が参加して活動をしています。僕には話しにくいことでも、NPOの場では親同士、子育ての悩みなど話せるようです。NPOと当院の両方に関わってくれるスタッフもいて、当院とは両輪のようですね。僕はミュージシャンの友人がいるのですが、待合室でコンサートも開催します。僕の趣味も兼ねて、子どもたちに本物の音楽を聞かせたいと始めましたが、お母さん方も大変喜んでくださいます

スタッフは子ども好きの方ばかりのようですね。

子育て中のスタッフが多いので、患者さんの目線になれることが強みですね。うちは託児をしているので子ども連れで出勤できます。おかげで優秀な人が集まります。また、当院のスタッフは僕より親切なくらいで、患者さんへの気配りが行き届いていると思います。患者さんによく声をかけるし、きょうだいで来院されるとスタッフが自然に下の子を抱っこしてあやすそうです。僕はそのことを、来院アンケートで感謝されているのを読んで初めて知ったのですが(笑)。スタッフは週半日勤務の人も含めて約25人、うち開業時からのスタッフが2人。通常は6人ぐらいの体制でやっています。月1回の勉強会でスタッフも医療知識の向上に努めています。

先生も、もともと子ども好きだったのですか?

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実は特別そうではなくて、当初は内科を考えていました。ですが研修医のとき、内科は検査が多くなりがちなのですが、余分な検査をせずにぴたっと診断した先生がいらっしゃいました。それが一番難しいことなんですが、その印象が強くて、患者さんときちんと向き合って話をする診察がしたいなと、子どもを相手にする小児科を選びました。大人は「薬は飲みました」とかうそをつきますが(笑)、子どもは基本的にうそをつきません。それに、子どもはすごいエネルギーを持っていますよね。病気であってもパワーを感じます。診察料をいただいて、パワーももらっているわけですね。

子どもの成長に留意し、早めに専門の医師に受診を

先生は愛知県のご出身ですが、弘前大学を卒業されたのですね。

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県外へ出て学んだのは貴重な経験でした。おもしろかったのは、実習が終わると、大体医局に酒が置いてあって飲み放題だったこと(笑)。でもあるとき冷蔵庫に「学生は5時までは飲むな」という紙が貼られました。つまり昼間から飲んでいるツワモノがいたんですね(笑)。その後名古屋大学に来たらお酒が置いてなくて、ジュースが置いてあった。環境が違うなあと思いましたね(笑)。僕は日本酒の味わいが好きで、週1回は錦に出かけています。

冒頭、内分泌代謝科専門医が少ないとおっしゃいましたが、若手の育成など現状は?

内分泌は命にかかわる病気であることが少ないこともあって、若い人には地味な分野に感じられるのかもしれません。でも最近は、心臓病や白血病など難病も治るような時代になってきました。ですから病気は治ったけど治療の影響などで背が伸びないとか、女の子だと生理が来ないとか問題も出てきており、これからは小児内分泌が重要な分野になってくると思います。僕は週1回、名古屋大学小児科で外来を行っているのですが、小児科の内分泌グループには若い人が3人いるんです。もともと名古屋大学小児科の僕の師匠が、1959年ぐらいに小児内分泌の研究を始めており、低身長の臨床研究では名古屋は進んでいるといえます。この歴史と実績を若手につないでいきたいと考えています。

最後に読者にメッセージをいただけますか。

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背が低くても、そのうち伸びると思っていると治療が難しくなることがあります。気になれば、小学校1年生、遅くとも3年生までに内分泌代謝科専門医に相談してほしいですね。中学生になってからでは骨が閉じてしまうんです。また女の子で小学校1~2年生で胸が膨らんできたら、それは思春期早発といって背が伸びるのも早いですが止まるのも早く、受診が必要です。2016年度からは学校健診で身長、体重を測ったとき成長曲線というグラフに当てはめるようになり、一定の範囲外だと「要注意」と出るようになりました。今はインターネットがあるので、調べて来院される方も多く、病気が早く見つかる時代になりました。困ったことがあれば、いつでも相談してください。また病気であったとしても、お子さんが前向きに生きることができるよう、僕たち大人は見守っていくことが大切だと思います。

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