上條 隆司 院長、多賀谷 亜実 先生、鬼形 和道 副院長の独自取材記事
なごやかこども成長クリニック
(名古屋市北区/平安通駅)
最終更新日:2025/10/23
 
            子どもの幅広い疾患に対応する「なごやかこども成長クリニック」。院長を務める上條隆司先生は、日本小児科学会小児科専門医と日本内分泌学会内分泌代謝科専門医の資格を持つ、小児内分泌のスペシャリスト。特に低身長の治療に注力し、ホルモン異常だけではなく体質的な低身長の子どもにも寄り添う。また多賀谷亜実先生は女性医師として、特に思春期の女性患者が相談しやすいよう環境を整えている。今年2025年の春からは小児内分泌分野のエキスパートである鬼形和道先生も副院長として加入。さらに専門性の高い小児医療の提供をめざす3人に、医師としてのモットーや診療時の心がけなどを聞いた。
(取材日2025年8月23日)
幅広くかつ専門的な高い小児医療の提供をめざす
クリニックの特徴を教えてください。

【上條院長】午前は風邪や腹痛など一般小児科の診察を行っており、午後は低身長・甲状腺の病気・夜尿症・肥満・糖尿病・思春期の体の悩みといった専門的な診療を行っています。患者さんは私の専門である低身長の方が多いですね。内分泌代謝科専門医の中でも、子ども専門の医師が在籍するクリニックは東海地区に限らず全国的にも少なく、かなり特殊だと思います。愛知県内はもちろん三重や岐阜、金沢市などから通ってくださる患者さんもいらっしゃいます。オンライン診療では北海道や九州、千葉県の方も受診されています。
内分泌の診療が新体制となったそうですね。
【上條院長】これまで私と多賀谷先生が診療していましたが、今年4月から鬼形副院長にも来てもらっています。鬼形副院長はアメリカで甲状腺ホルモンに精通する世界的に有名な方のもとで研究をされた経験を持つ、小児内分泌分野の専門家です。現在は母校である島根大学医学部の名誉教授として多忙な毎日を過ごされていますが、月に1度、出雲市から飛行機で通ってくれています。3人とも小児科専門医の資格を持っていますので、子どもの悩みはほぼすべてカバーできます。私は低身長、鬼形副院長は甲状腺、多賀谷先生は思春期の悩みをメインに診療しています。
鬼形副院長がこちらで診療されるようになった理由について、お聞かせください。

【鬼形副院長】上條院長の人柄に惹かれたからです。上條院長との出会いはもう30年ほど前になりますが、医療に対する姿勢が素晴らしく、共感できる部分が多々ありました。また、子どもの内分泌分野でここまで専門性の高いクリニックは、全国的にも珍しいと思います。受け皿が少ない分野で、多くの患者さんが頼りにされているので、私が役に立てるのなら、医師としてこれほどうれしいことはないと思いました。
多賀谷先生はどんな方でしょうか?
【上條院長】非常に優秀で、気さくな先生です。多賀谷先生は名古屋大学小児科医局出身で、数年前から一般小児科の外来をお願いしているのですが、内分泌疾患にも精通しています。内分泌疾患は体調が悪いときだけでなく、何年間も通院が必要となる患者さんが多いので、信頼関係が大切です。多賀谷先生には中学生と高校生のお子さんがいるので、患者さんの親御さんの気持ちもよく理解されています。相談しやすいと感じる方も多いでしょうし、親御さんにとっても心強い存在でしょう。実際に診療で、多賀谷先生ご自身の体験談を話したり、思春期の患者さんから悩みを相談されたりすることも多いようです。
悩みの多い患者と家族の思いに寄り添う
医師としてのモットーを教えてください。

【上條院長】お子さんの「かかりつけ医」であることです。私自身、かつては低身長がコンプレックスでした。特に思春期は、背が低いことで自分の評価を下げてしまうこともあります。もし私が高身長だったら、低身長の患者さんの気持ちはわからないと思います。適切な治療と会話で低身長の子どもたちをサポートしたいです。
【多賀谷先生】内分泌の分野は情報が氾濫しており、過度に心配される患者さんや親御さんも多いです。少しでも安心してもらえるよう、将来的な見通しを明らかにし、正しい情報を正しい時期にわかりやすく伝えるように努めています。
【鬼形副院長】信頼関係が大切なので、「会話を大事にすること」「話に耳を傾けること」の2つです。子どもだからといって「〇〇ちゃん」とは呼ばないようにしています。年齢相応の感性を重視し、一人の人間として尊重する。そして「あなたは大事な存在」ということを伝えていきたいです。
診療時に心がけていることはありますか?
【上條院長】情報が多すぎて何が正しいのかわからず混乱している方、思いがあふれて泣いてしまう方など、皆さん大きな不安を抱えて来院されます。だから「何でも聞いてもらって不安をなくしてほしい」というスタンスです。そして何よりも大切なのが「患者さんへの愛」です。
【鬼形副院長】小児科では子どもの思いだけでなく、保護者の思いもあります。ですから医師は全体を俯瞰することが重要です。そして、もう一工夫・もう一手を常に考える。それが伝わり「そういうことだったんですね、先生」と言ってもらえたらうれしいですね。
【多賀谷先生】現代は女の子だけでなく、ナイーブな悩みを持つ男の子も増えています。デリケートな問題も多いので、距離を置きすぎず、また深入りしすぎないよう、状況に合わせて接しています。そして「他院の意見を聞きたい」など、言いにくいことも言えるような関係を築きたいです。
長年続く治療が多く、ご家族も大変そうです。

【上條院長】子どもの病気について「自分のせいだ」と悩んでいる親御さんが多いので、私は「あなたのせいではなく、生まれつきの体質ですよ」とお伝えしています。長年にわたって通院されるので、もう家族みたいなものですね。ホルモンが原因の場合は、その子が大人になっても当院で診ています。例えば、性腺機能低下の症状も出るケースなどは、生涯注射での治療が必要です。ですから当院には30~50代、中には還暦を迎えた方もいらっしゃいます。平日は木曜以外、20時まで診療していますので、大人の患者さんも働く親御さんも、通いやすいと思います。
子どもを見守り支えるのは大人の役目
スタッフさんについて教えてください。

【上條院長】当院には総勢20人ほどのスタッフがおり、勤務歴が長い人が多いです。私より患者さんに親切で、気配りが行き届いた対応をしてくれるスタッフばかりです。よく声をかけてくれるし、子どもが同じ年代の親御さんとは子育て談義をしたりと、患者さんも安心されているのではないでしょうか。聞き上手なので、例えば患者さんが医師に言いにくいことを聞いてくれますし、採血時にお子さんの話を聞いた時はきちんとカルテに記入してくれるので、情報共有もできます。クリニックの良い雰囲気はスタッフがつくってくれているおかげですし、感謝しかありません。
今後の展望についてお聞かせください。
【上條院長】当院が閉業すると困ってしまう患者さんがたくさんいらっしゃるので、なんとか継続できるよう頑張っていきます。私は生涯現役をめざしていますが、3年後には75歳になりますので、鬼形副院長と多賀谷先生に期待しています。若い先生がクリニックの歴史と実績を引き継いでくれるのは心強く、うれしいですね。小児科の医師になり、ありがたいことに、これまでお子さんからたくさんのパワーをもらってきました。一般的な内科だったらこうはいかないと思います。「子どもは未来からの贈り物」だと思っています。病気だったとしても、お子さんが前向きに生きられるよう、私たち大人は見守り、支えていくことが大切だと思っています。
読者にメッセージをお願いします。

【上條院長】低身長は深刻な悩みで、自己肯定感の低下にもつながりかねません。病気はもちろん、病気でなくとも親身になって、睡眠・食事・運動・漢方薬の4本柱で、適宜体質の改善や身長の伸びを促すための方法をご提案いたします。
【多賀谷先生】各家庭にはいろいろな考え方があります。私は患者さん親子で出された解答を応援するスタンスです。心配があれば一緒になって考えますので、気軽にご相談ください。
【鬼形副院長】われわれ医師の仕事は、単に薬を処方するだけではありません。ご家族がお子さんの病気や治療を深く理解し、日々の生活で主体的にケアできるようにサポートしたいと考えています。例えば診療が月に1度の場合、その日以外はご家族が医師の役割を担っているといえます。だからこそ「なるほど、こうすれば良いのか」と気づき、前向きに行動できるよう一緒に考えていきたいです。疑問に思ったことは遠慮なくご質問ください。

 
             
             
             
             
            
 
                 
                 
                