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根拠に基づく適切な対応が肝心
子どもに多い急性中耳炎の治療

たかはし耳鼻咽喉科クリニック

(豊中市/少路駅)

最終更新日:2021/03/17

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  • 保険診療

急性中耳炎は、乳・幼児期における代表的な感染症の一つだ。「子どもに多い病気だから」と放っておくと、難聴の原因になり得るばかりでなく、聞こえが悪くなることにより子どもの言語発達にも影響を与えかねないという。「たかはし耳鼻咽喉科クリニック」の高橋佳文院長は、これまで大学病院や市立病院で、中耳炎の鼓室形成術を中心に数多くの手術を手がけてきた。そんな高橋院長から、中耳炎が子どもに多い理由や、診療ガイドラインに沿った治療・投薬について詳しく話を聞いた。 (取材日2021年2月2日)

中耳炎の種類や特徴、発症の仕組みを正しく理解し、診療ガイドラインに則った適切な治療を

Q小児に多い中耳炎の種類を教えてください。
A
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▲少路駅からすぐのクリニックモール内にあり、通院に便利

中耳炎は経過によって、急性中耳炎、遷延性中耳炎、慢性中耳炎に分類されます。また、急性の炎症や鼓膜穿孔といった所見がないにもかかわらず、鼓膜の内側の鼓室と呼ばれる空間(中耳)に滲出液がたまり、聞こえが悪くなることがあります。これは滲出性中耳炎と呼ばれ、急性中耳炎発症後に相応の期間、中耳貯留液がまん延する場合も滲出性中耳炎に属します。約50%は急性中耳炎に継続して生ずると考えられています。過去6ヵ月以内に3回以上、12ヵ月以内に4回以上の急性中耳炎に罹患する場合を反復性中耳炎と定義することもあります。手術加療が必要となる中耳炎として、癒着性中耳炎や先天性、後天性の真珠腫性中耳炎がまれにあります。

Q急性中耳炎が起こる原因は何ですか?
A
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▲大学病院や市立病院で、数多くの手術を手がけてきた院長

鼻の奥の突きあたり辺り、咽頭扁桃(アデノイド)がある上咽頭を鼻咽腔とも呼びます。ここには生後1歳頃までに鼻やのどなど上気道に感染を引き起こす肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなどの細菌が常在菌として定着し、鼻咽腔細菌叢(そう)を形成します。かぜ症候群(感冒)にかかると、ウイルスの感染に続き、好中球減少による免疫力の低下などを生じ、結果として鼻咽腔細菌叢の細菌が増加します。咽頭扁桃を中心に鼻咽腔に膿性分泌物が増加し、鼻咽腔と中耳をつなぐ耳管を介して中耳腔(鼓室)に感染が進展することによって急性中耳炎を引き起こします。かぜ症候群の後によく中耳炎にかかるのはこのためです。

Q小児はなぜ中耳炎に罹患しやすいのですか?
A
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▲院内感染防止にも注力し、通いやすいクリニックづくりに尽力

小児は、かぜ症候群の代表的な原因ウイルスであるライノウイルス、コロナウイルスのほか、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルスなどによるウイルス性上気道感染症に罹患する機会が多くあります。保育所や幼稚園などの集団生活では、感染のリスクが増えます。また上気道感染症のうち、細菌性感染症の代表であるA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)感染症は扁桃組織である咽頭扁桃が感染の標的となり、細菌が増殖します。小児は咽頭扁桃が大きく、鼻咽腔細菌叢の細菌増加が起こると、鼻咽腔はすぐに膿性分泌物で満たされます。耳管が短いなどの形態学的な要素も加わり、耳管を介しての中耳への炎症が波及しやすいと考えられます。

Q小児の中耳炎の治療についてお聞かせください。
A
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▲同院では予約制を導入し、待ち時間軽減に努めている

中耳炎の原因となる細菌として、薬剤耐性の肺炎球菌やインフルエンザ菌が増加し問題となりました。抗菌薬(抗生剤)が効かないかぜ症候群に対する、不必要な抗菌薬の処方が原因の一つといわれています。主な治療として「小児急性中耳炎診療ガイドライン」に沿った適正な抗菌薬の投薬、鼓膜切開術などが行われます。すぐに治癒、軽快せず遷延する難治性の中耳炎に対しては3ヵ月程度経過を観察し、鼓膜チューブ留置術を行うことが「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン」で推奨されています。以前は、急性中耳炎に点耳薬を使っていた時代もありましたが、現在、鼓膜に穿孔のない中耳炎には抗菌薬の点耳液の使用は推奨されていません。

Q中耳炎の治療の際の注意点などを教えてください。
A
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▲不必要な検査、投薬はしないなど適正な診療の提供を大切にする

中耳炎の診断は、まず耳あかを除去し、顕微鏡を用い、鼓膜および鼓膜を透かして見える鼓室を詳細に観察することによって行います。その際、お子さまが動かないようにしっかりと保持していただくなど保護者の方の協力が必要です。治療に用いる抗菌薬は、医師の指示通りに内服させてください。1日3回毎食後服用の場合は、きちんと内服し血液中の薬物濃度を有効な濃度に一定時間上げないと効果が期待できない(時間依存性)ばかりか、薬の効かない耐性菌を生じる原因ともなります。痛み等を訴えなくなっても、鼓室内の貯留液が消えず、遷延性の中耳炎に進展する可能性もありますので、処方された内服が終わった際に、必ず再度受診してください。

ドクターからのメッセージ

高橋 佳文院長

大阪大学医学部附属病院や市立豊中病院において、小児から成人の慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術や、滲出性中耳炎に対する鼓膜チューブ留置術を行い、クリニック開院後は多くの小児の急性・滲出性中耳炎を診てまいりました。その間、中耳炎を取り巻く状況は大きく変わってきました。ガイドラインに沿った適正な抗菌薬の使用と、経過観察の重要性が説かれ、カルバペネム系とキノロン系の抗菌薬が小児の中耳炎に適用となり、滲出性中耳炎は鼓膜チューブ留置までの経過観察期間について3ヵ月が推奨の目安と示されました。ガイドラインに準拠したスタンダードな治療を心がけ、難治症例には手術経験も生かした対応をいたします。

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