花粉症やアレルギー性鼻炎の根治をめざす
舌下免疫療法
みやざわ耳鼻咽喉科
(春日部市/春日部駅)
最終更新日:2024/07/24


- 保険診療
鼻のムズムズから季節の変化を敏感に感じ取る人も多いのではないだろうか。また、ハウスダストやダニが原因によるアレルギー性鼻炎に悩んでいる人も多いだろう。そんなスギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎の治療で注目を集めているのが舌下免疫療法だ。舌下免疫療法に力を入れている「みやざわ耳鼻咽喉科」の宮澤哲夫院長は、「従来の薬物療法が対症療法だったのに対して、舌下免疫療法はアレルギー症状を根治をめざせる治療方法として期待されています」と話す。どのような治療方法なのか、宮澤院長に話を聞いた。
(取材日2022年8月5日)
目次
3年後の受験や妊娠を予定している人にも適した治療法
- Q舌下免疫療法とはどんな治療法なのですか?
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A
▲丁寧に取材に答えてくれた宮澤院長
舌下免疫療法は、アレルギーの原因となるスギやダニのエキスが含まれた薬を毎日服用することでアレルギーの症状の改善を図る目的の治療法です。スギやダニが原因のアレルギーの根治をめざせる治療法として期待されており、スギ花粉症に対する舌下免疫療法は2014年から、ダニアレルギーに対する舌下免疫療法は2015年から保険適用となっています。このようにアレルゲンを体内に取り入れる治療法は減感作療法と呼ばれていて、これまでは医療機関に通院してダニやスギのアレルゲンを定期的に注射する方法が行われてきました。しかし、この舌下免疫療法は自宅で治療を継続できる点も利点の一つです。
- Qほかの治療法との違いを教えてください。
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A
▲待合室もゆったり設計で安心
アレルギー性鼻炎の治療法としては、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬などを使用する薬物療法があります。ただ、内服薬は眠くなるなどの副作用が出る場合もあります。このほかレーザーによって鼻の粘膜を焼いてアレルギーを起こしにくくする治療法もあります。これらの治療は一時的な効果が望め症状の緩和が期待できますが、あくまでも対症療法にすぎません。その点、舌下免疫療法は、アレルギー反応を起こしにくくする目的の根本的な治療法として期待されています。
- Q治療期間や副作用、費用などについて教えてください。
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A
▲診察室。保険適用で受けられるのもひとつのポイント
舌下免疫療法の治療期間は3年から5年が目安です。長いと感じるかどうかは人それぞれですが、その後、つらい花粉症の症状から解放されるためだと考えれば、長期間の治療も意義があると思います。治療の開始時期は、ダニアレルギーの場合はいつでも始められます。スギアレルギーの場合は花粉が飛散している時期は開始できませんので、6月から12月の間に始めて、翌年からはスギ花粉が飛散している時期も続けていきます。副作用として口腔内の腫れや喉のかゆみ、耳のかゆみなどが出る場合があります。
- Qこの治療法が適している人はどんな人ですか?
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A
▲これまでの対処療法とは異なり根本的な改善をめざす
従来の治療で効果が不充分な方、薬の服用で眠気が気になる方などにお勧めです。また3年後に高校や大学の受験が控えている方、将来妊娠を予定している方にも適しています。舌下免疫療法は妊娠中に始めることはできませんが、治療中に妊娠した場合はそのまま治療を継続することが可能です。治療は5歳以上から可能ですが、安全性を考慮して当院での初回開始は中学生以上とさせていただいています。それ以下の年齢の場合は、初期の導入を獨協大学埼玉医療センターまたは自治医科大学附属さいたま医療センターにお願いしています。設備の整った大学病院で治療を開始していただき、安定して続けられることが確認された上で当院で引き継ぎます。
- Qアレルギー鼻炎で悩んでいる人にアドバイスをお願いします。
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A
▲悩んでいる方は来院して相談してほしい
アレルギー性鼻炎で悩んでいる場合は、まずそのアレルギー症状を起こしている原因が何か調べることが大切です。花粉の種類がわかれば飛散する時期もわかり、飛散する前から適切に対処すれば症状の軽減につながります。ダニやハウスダストによるアレルギーの場合は、室内の清掃や換気、乾燥、寝具の洗濯などをこまめに行い、ダニやハウスダストがたまらないように注意してください。保育園や幼稚園などに通っているお子さんで鼻の症状が出る場合、感染症が原因であることも考えられますので、何が原因なのかはっきりさせるためにも早めに受診するようにしましょう。