西村 百合香 院長の独自取材記事
ゆうてんじ皮ふ科
(目黒区/祐天寺駅)
最終更新日:2025/10/06
祐天寺駅から徒歩約1分のところにある「ゆうてんじ皮ふ科」。2006年の開業以来、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者が足を運ぶクリニックだ。優しい笑顔が印象的な西村院長は、毎日昼休みに自転車で患者宅などへ往診に向かうパワフルな女性医師。開業当初から続けている往診を頼りにする患者や介護関係者も多いという。診療においては、混雑状況がわかる受付システムの導入や院内の壁や床を明るくリニューアルするなど、患者が利用しやすい環境整備も注力する。医院のロゴマークは、西村院長の子どもが保育園の時にチューリップ組だったことに由来し、「子どもを保育園に預けながら働いていた時の感謝の気持ちを忘れないように」という思いを込めたのだそう。そんな西村院長に、同院の診療や往診、肌のケアについてなど話を聞いた。
(取材日2021年10月7日)
在宅医療への思いをきっかけに開業して15年
開業から10年以上とお聞きしました。

今年で開業15年目を迎えました。開業当初に診ていた小さなお子さんが高校生になるなど、いろんな方々の人生を見守ってきたなと実感しています。患者さんは、大人と子どもが半分ずつくらいいらっしゃっていて、お子さんの場合、皮膚疾患は季節によって傾向があるのが特徴です。夏はアトピー性皮膚炎や水イボ、冬は乾燥肌や皮膚炎寸前の肌のトラブルが増えますね。しかし、同じ疾患でも、まったく同じ症状ではありません。一人ひとりの生活も違いますので、それぞれに合った治療法でアプローチしていきます。患者さんや親御さんの負担を減らしていくために、何度も通院しなくていいように配慮することも意識しています。また、今年の9月には院内の床下に通っている水道管の工事をきっかけに、壁や床などもリニューアルしました。ロゴマークに合わせたピンク色の受付の壁で、明るい印象になったのではないかと思います。
開業までの経緯を教えてください。
開業前は金沢文庫病院の皮膚科に勤務していたのですが、ご高齢の患者さんがとても多い病院でした。患者さんたちが病院に通う大変さを目の当たりにしましたね。また、長期にわたる寝たきりの状態で床ずれができてしまった患者さんのケアもよく行っていました。そんな経験を積み重ねていくうちに、寝たきりの方や外出が困難なご高齢の方のために、これまでの知識と経験を生かして在宅医療に応えていきたいと考えるようになり、開業を決意しました。皮膚科の往診はあまりないですし、15年続けてきたこともあって、地域の内科の先生やケアマネジャーさん、患者さんのご家族からも直接問い合わせをいただくことがあります。
在宅医療への対応としては、どのような診療をされていますか?

床ずれや巻き爪、爪切り、真菌症、おむつかぶれなどです。緊急性が高いものではありませんが、生活の質を上げるために欠かせない分野ですね。今は週に2~3回、昼休みを長めに設定して、その時間帯で往診しています。訪問エリアは電動自転車で15分程度の範囲が中心です。患者さんはご高齢者や外出が困難な方々が中心ですね。往診の際には、患者さんが生活する空間でテレビの向きや寝ている体勢などを確認し、日常生活へのアドバイスなども行っています。また、訪問看護師さんにスマホで患部の写真を撮り送ってもらい、必要を感じたときに往診するといったケースもあります。皮膚科の疾患は目に見えるものですが、原因がつかみにくいことが多々ありますので、これまでの経験や知識を生かして適切な薬を選び、その症状の再発防止にも努めていきたいですね。
一人ひとりに合わせたニキビ治療と生活習慣を提案
ニキビケアにも力を入れていると聞いています。

今、ニキビに悩む20〜30代の女性の患者さんがすごく多いんです。軽い吹き出物から重症化したニキビまでさまざまですが、同じ女性としてつらいお気持ちはよくわかります。そのため、女性が気軽に来院できるクリニックでもありたいなと思っているんですよ。当院にはお化粧直しができるパウダールームやくつろげる雰囲気のピーリングルームなどもありますので、緊張せずいらしてください。なかなか良くならないニキビの方、抗生物質の薬に抵抗がある方、ニキビ痕や毛穴の開き、脂性肌が気になる方、男性でニキビに悩まれたり、肌にコンプレックスを抱えておられる方もぜひご相談ください。一人ひとりに合った生活の中でできる工夫などもお話しさせていただきます。
ニキビで悩む患者さんに、どのようなアドバイスをするのですか?
例えば、よく睡眠を取ることですね。きちんと睡眠できているかそうでないかは顔に出るんですよ。理想は夜12時には寝て、6〜7時間睡眠を取ること。あとは洗顔は、よく石鹸を泡立てて、肌をこすらずに洗うのも大切です。また、肌に疾患がある方は無添加や低刺激の石鹸を選びがちですが、すべての症状に適しているというわけではありません。洗浄力が弱過ぎてきちんと汚れが落とせていないこともありますので、気をつけてください。当院でも、私が良いと思った石鹸や基礎化粧品をご紹介させていただくこともあります。
最近増えていると感じる疾患などはありますか?

ここ1~2年で帯状疱疹が増えていますね。新型コロナウイルス感染症流行によるストレスやワクチンが誘発する可能性も指摘されています。帯状疱疹は最初に痛みの症状があるので、顔にできると頭痛がひどかったり、お腹にできると胸や心臓に痛みがきますから内科へ行かれる方が多いと思います。筋肉痛や坐骨神経痛のような痛みで整形外科へ行かれる患者さんもいらっしゃいます。できる部位によって痛む場所は異なりますが、痛み止めなどを飲んでいるうちに発疹が出て皮膚科に来院するというケースが多いですね。帯状疱疹は体の片側にだけ症状が出ます。片側だけの痛みが1週間ほど続いた後に発疹が出て、初めて帯状疱疹だと診断することができます。治療の基本は飲み薬ですが、重症化すると入院して点滴が必要になることもあります。発疹が出て3日以内に治療を始めるのが良いと言われていますから、早めの受診を心がけていただけるといいでしょう。
地域全体で患者を見守る医療体制をめざして
先生が皮膚科の医師を志されたきっかけを教えてください。

幼稚園の頃から人間の体に興味があったんです。当時、足がしもやけになったことがあったのですが、自分の足はどうなっているんだろうと不思議に思ったことを覚えています。輪切りにしてみたらどうなっているんだろうとか(笑)。あと外科の先生が主人公の漫画が好きでよく読んでいたので、その影響もあるかもしれませんね。医療が身近にあったわけではありませんが、医師になりたいという思いはずっと変わらず、医学部へ進学しました。でも、最初から皮膚科一筋というわけではなく、実は小児科志望だったんです。実際に研修をしていくうちに、子どもも多く診ることができて、検査に頼らずに自分の目で見て診察できる皮膚科に魅力を感じるようになりました。通っていた大学がアトピー性皮膚炎治療の研究に力を入れていたので、特にアトピー性皮膚炎については専門的に学びましたね。
診療で大切にしていることは何でしょう。
皮膚科の医師になり、20年以上が経過しました。皮膚科は治療薬の種類は多くありませんが、どのような症状にどの薬を使うのが良いかなどについては、やはり専門家だという自負はありますね。特に、外用剤の使い方は得意分野です。また、これまでの診療では、患者さんがなんでも気軽に話せるような雰囲気づくりを心がけてきました。ただ、中にはあまり話したくないという方もいらっしゃいますので、一人ひとりに合わせた診療を行うようにしています。アトピー性皮膚炎など長引く疾患の場合、何度か診察をしていく中で徐々に打ち解けていければいいなと思っています。
最後に、今後の展望をお聞かせください。

他科の先生や患者さんに関わる他職種の方たちとも連携しながら、地域全体で患者さんを見守っていきたいです。私が元気な限り、往診も頑張っていきたいですね。また、小さなお子さんがいるお母さん方に向けた治療や施術なども周知していきたいと考えています。私自身も母親という立場ですので、働いているお母さんの大変さなどがよくわかります。限られた時間や家計のやりくりの中で、気軽に来ていただけたらうれしいですね。また、皮膚疾患の原因の判断には、生活環境を知ることがとても重要なので、遠慮なく生活のことを話していただけると参考になります。お困りのことがあったら気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみのケア/3mm以内 2750円~
ピーリング/ケミカルピーリングのみ(顔面)5500円、ケミカルピーリング+イオン導入(顔面)7700円

