小西 公麿 院長の独自取材記事
小西醫院
(目黒区/学芸大学駅)
最終更新日:2024/10/25

「小西醫院」の小西公麿院長は、日本産科婦人科学会の産婦人科専門医。産婦人科に加え、内科、小児科、リハビリテーション科、漢方内科も診るベテランドクターだ。じっくりと患者の話を聞きながら丁寧に診療する姿勢は、地元富山県の無医村で医師として地域のために奮闘していた父の姿が手本となっている。産婦人科では、胎児の様子がリアルタイムで見られる4D超音波検査機器を導入。診察に同行した家族にも喜びを共有できるよう、胎児の顔が見えないときは、時間の許す限り胎児の向きが変わるのを待つという人情味あふれる一面も。年齢を重ねてもなお、診察に情熱を注ぐ小西院長に、同院に課せられた使命や患者に伝えたい思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2021年8月27日/再取材日2024年9月20日)
一人ひとりの患者としっかり向き合い丁寧な診療を
こちらにはどのような患者さんがいらっしゃいますか?

近所の方が多いですね。診療科目でいうと、内科、小児科、産婦人科の順です。乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層の方が来院されます。親子3代で当院に通ってくださる方もいらっしゃいます。当院では子どもたちの待ち時間がなるべくゲーム一辺倒にならないように、手を使って遊ぶおもちゃや絵本を置いています。それに加えて、先日、キッズエリアに、自由に触ったり、線を描いたりできるタッチスクリーンを設置したところ、お子さんはもちろん、ご高齢の方たちも楽しんでくださっているようです。タップ一つとっても強さで事象が異なってくる、「病院から帰りたくない」と声にするお子さんもいらっしゃるくらい、面白くて飽きないみたいです。
2000年に開院されて、20年以上がたちました。開院のときはどんな思いを抱いていたのでしょうか。
私は産婦人科の医師ですが、妊婦さんから赤ちゃん、高齢の方まで全世代の方を診せていただきたいという思いがありました。その思いで、当院では産婦人科、小児科、内科、疼痛ケアや漢方薬の処方なども行っております。お母さんが妊婦健診で来られて、その後、そのお子さんがと、代々当院に通われるというケースも少なくありません。また、患者さん一人ひとりに寄り添って、ホームドクターとして長くご家族の健康を支えていきたいという思いもありました。
先生が医師を志したきっかけは、お父さまの存在も大きいと伺いました。

父は、戦後の医師不足の時代に富山の無医村で奮闘しておりました。幼い頃からその姿を見ていた私も医師をめざし、また、病だけではなく、新しい命の誕生に関わることに魅力を感じて産科の道を選びました。大学卒業後は日本医科大学産婦人科で勤務医として働き、20年ほど後、父が病に倒れた折に、非勤務日を利用して富山の父の医院を手伝いました。この時に、大学病院での患者さんへの向き合い方と地域に密着した患者さん一人ひとりに接する距離感の違いを実感し、私の医療に対する大きな転換期を迎えたと思います。父が他界する少し前から、父の患者さんたちそれぞれが今後通える病院の選択と紹介を経て閉院の手続きをし、同時に自分のめざす医療を見つめ直しました。東京に戻り、高校時代から住んでいてなじみのあるこの場所に「小西醫院」の名を引き継ぎ開院したのにはこのような背景があります。
4D超音波検査で妊娠期間中の思い出をパッケージ
小西醫院では、早くから4D超音波検査機器を導入されていますね。

4D超音波検査というのは、従来の超音波検査と同じようにおなかに機械を当てて行うのですが、胎児の様子がリアルタイムかつ立体的に見ることができます。30週近くなると赤ちゃんの表情やしぐさが鮮明に映るんですよ。おなかの中の赤ちゃんにお母さんが出会える時間なので、診察のときに胎児が後ろや下を向いて表情が見えない場合は、時間の許す限り、胎児の向きが変わるのを待ちたいと思っています。このような柔軟な診察は個人医院ならではだと思いますね。さらに4D超音波検査では、撮りながらおなかの中の様子を説明している私の声のみならず、ご両親の感嘆の声なども記録されるため、特別な思い出になります。
4D超音波検査を積極的に導入するに至ったきっかけは何ですか?
勤務医時代にも4D超音波検査機器は使っていたのですが、当時の大学病院では胎児のサイズを測ったり、障害がないかどうかを確認するためだけに使用していました。私はおなかの中の赤ちゃんの様子を見ることが好きだったので、その使い方に物足りなさを感じていました。その思いがより強くなったのは自分も子どもを持ってからですね。4D超音波検査の映像は、出産まで撮りためると60分くらいあり、これは絶対に妊娠期間中の良い記念になるに違いないと思いましたので、当院では映像をUSBメモリに収めて、最後の健診時に患者さんにお渡ししています。より鮮明に赤ちゃんの様子をお見せしたいので、4D超音波検査機器は5年ごとに新しいものと交換をしています。
先生が診療の際に大切にしていることは?

患者さんの話にしっかり耳を傾けるということと、正しい情報を伝えるということです。当院で出産することはできないので、32週から34週くらいで出産する病院へ妊婦さんを送り出します。都内なのか里帰り出産なのか、どのようなバースプランなのか患者さんの要望を聞いて、最適な病院をご紹介したいと思っています。また、うわさや間違った知識に惑わされないように、正しい情報や知識を伝えるということも心がけています。インターネットの情報は手軽ですが、玉石混交ですから。正しい知識を持って出産に臨むということが大切だと思いますので、私のことを専門知識を持った相談相手として考えてもらえたらうれしいですね。
一人ひとりに丁寧に寄り添い、正しい情報を伝えていく
お休みの日はどのようにして過ごされていますか?

乗馬を趣味にしていましたが、新型コロナウイルスの流行を機に足が遠のいてしまい、最近ではわが家の保護犬たちと遊んでいます。休みの日でもインターネットで医療のことを調べたり、録画した医療関係のテレビ番組を見たりしていますね。患者さんから話題を振られることもありますし、知識として最低限持っておかないといけないと思っています。医療技術は日進月歩で進化しますから、新しい医療情報や検査機器の知識を取り入れるように努めています。
今後の小西醫院の役割をどうお考えですか?
これからも変わらず、乳幼児から高齢者まで全世代を診ていきたいと願っています。総合内科に産婦人科がついている医院と考えていただいて、何かあったら駆け込んでもらえる医院でありたいですし、気軽に相談してもらえる窓口でもありたいと思っています。長年医師をやっていると、ともすれば自分の考えに固執してしまいがちです。新しい知識や幅広く知識を持つことによって、多角的に対応していきたいです。いいと思うものは積極的に取り入れて、地域の方々の健康をこれからも支えていくことが当院の役割だと思っています。当院には酸素ルームもあるんですよ。個人の医院としては珍しいのではないかと思いますね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

今はさまざまな情報が手軽に得られる便利な時代である一方で、間違った情報に翻弄されてしまっている方も少なくないように思われます。私自身も診察の際に、お話をしっかり伺うことで、患者さんが見逃してしまっているような不調を見つけたいですし、柔軟に対応できるように心がけています。インフルエンザや新型コロナウイルスの検査も一般の患者さんと場所を分けて対応しています。気になることや不安なことがあれば、お気軽にお尋ねください。