宮光 世裕 院長の独自取材記事
みやみつ整形外科リハビリクリニック
(西宮市/西宮駅)
最終更新日:2025/02/14

「みやみつ整形外科リハビリクリニック」は、阪神本線・西宮駅の南側バスターミナル正面にある大型スーパーマーケットの2階にある。1階がスーパー、2階が医療フロアで、地下駐車場から雨に濡れずアクセスできるのも便利だ。宮光世裕院長がこの地で開業したのは利便性の良さだけでなく、阪神淡路大震災を経験した立場から「西宮市の復興に関わりたい」と考えたためだという。20年前、復興事業の一つとして建てられたビルであることに後押しされたのだ。宮光院長は、リハビリテーションを特に大切にし、明るい気持ちでリハビリに取り組んでもらうことをモットーに、充実した設備に加え、スペシャリストが勢ぞろいしたチーム体制を整えている。小児の整形外科診療や筋膜リリース注射などの新しい治療法にも注力する宮光院長に話を聞いた。
(取材日2024年9月25日)
楽しい気持ちで通えるリハビリ設備を整えたい
まるでフィットネスルームのような、広くて明るいリハビリ室を備えていますね。

リハビリ室は100平米以上あり、フィットネスマシンやフィットネスバイクなどの運動器具も備えています。理学療法士が常駐していることはもちろん、マッサージのほか、スポーツトレーナーによる運動指導も受けていただけますよ。リハビリ室の充実は20年前の開業当初から私がこだわっていた点で、勤務医時代にアメリカの整形外科クリニックで見たジムのような明るいリハビリルームに衝撃を受けたことが大きいですね。いつか開業するならこんな雰囲気の中で回復をめざしていただきたいと思いました。つらいイメージを持たれがちな整形外科のリハビリですが、少しでも楽しい時間にしていただきたいというのが当院の思いです。
待合室の雰囲気もすてきですが、こだわった点をお聞かせください。
待合室は、患者さんをお迎えしてお待ちいただく大切な場所です。開業当初から木目を基調としたぬくもりのある雰囲気を大切にしていましたが、2020年に改装を行った際も自然素材が持つ温かさや明るさを重視しました。地下駐車場から完全バリアフリー設計ですから車いすを利用される方もアクセスしやすいですし、銀イオン加湿器やオゾン発生装置、観葉植物も配置するなど、快適に過ごしていただけるよう工夫しました。ドリンクサーバーも設置していますので、待ち時間にご利用くださいね。現在は新型コロナウイルス感染症の影響で撤去していますが、通常はお子さん向けの図書も置いています。小児から高齢者まで、どなたにも気持ち良く過ごしていただきたいとこだわり、妻のアイデアも取り入れて改装しました。
西宮市で開業された理由をお聞かせください。

京都の大学病院の医局出身ではあるものの、同じ関西とはいえ、実は西宮には特に縁はなかったんです。ですが、近隣の関連病院で勤め、いつか開業するならこの辺りもいいなと思っていたところに、この医療フロアができる話を聞きました。阪神淡路大震災後の西宮の復興事業として建てられるとのことで、当時の震災は僕も経験していて心を痛めていましたから、この地域の復興に少しでも参加したいと開業を決めました。今は近代的な雰囲気で落ち着いたエリアですが、少し前までは商店街もたいへんにぎわっていたそうです。皆さんお人柄が良くて、住みやすくクリニックも運営しやすいと感じます。
幅広い年齢層の患者とその家族にも誠実に寄り添いたい
先生は特に外傷や手の治療が得意分野だそうですね。

はい。整形外科の中でも特に外傷と手の外科分野を専攻しました。手の機能は、生活する上でとても重要です。手に特化している医師というとやや珍しいかもしれませんが、時に非常に必要とされる分野です。とはいえ、私が大切にしている診療スタイルは常に整形外科の医師として広域な診療をすることです。専門性も大事ですが、それ以前に整形外科クリニックとして体の運動機能に関することは何でもご相談いただきたいですね。
小児股関節健診で来院される方も多いそうですね。
4ヵ月健診で指摘された方のほか、おむつ替えの時に足が開きにくいなどと感じて、受診される親御さんも多いですね。赤ちゃんの骨はまだ発達していないので、エックス線検査で写りにくいため、昔は股関節が脱臼していても見逃されがちでした。しかし、超音波検査機器を用いることで股関節の状態がはっきりと見え、適切に診断できるようになりました。当院では股関節健診のほか、小児の整形外科疾患にも力を入れています。
なぜ、小児の診療に力を入れようと思われたのですか?

実は子どもが大好きで、小児科の医師をめざしていた時期もあったのですが、苦しんでいる子どもを見るのがつらくて自分には耐えられないのではないかと諦めてしまったんですね。しかし、今一度子どもたちの役に立ちたいと思うようになり、友人の小児整形外科の医師に相談したら、小児専門の整形外科は少ないので喜ばれると聞きました。お子さんの診療を通じて、これまで以上に地域のお役に立ちたいと思っています。私個人としましても、診療に赤ちゃんがやってきてくれたらとても癒やされます。
先進の治療法も取り入れていると聞きました。
痛みの緩和を図る筋膜リリースや、患部に空気を当てることで細胞の修復や血管の新生を促す体外衝撃波治療などを取り入れています。いずれも既存の治療法では効果が見られなかった慢性的な痛みに対応します。特に筋膜リリースは1回の治療で効果が見込めるケースもあります。新しい治療法を学ぶのは楽しいですし、患者さんの笑顔を見られるとうれしいので、今後も学び続けフィードバックしていきたいですね。
失われた機能再建のための診療に注力
医師をめざしたきっかけや原点を教えていただけますか?

私は子どもの頃から好奇心や探求心が旺盛で、難しければ難しいほど調べることにのめりこむタイプでした。その興味が人体の不思議に向いて、「なんでこんなふうに心臓が動くんだろう」「なんでこんな病気になるんだろう」と調べるうちに、医療の道をめざすようになりました。やがて学びや臨床経験を積んでいくうちに、自分の手で治療したいという熱意があふれ出てきて外科に進み、整形外科を専門としました。スポーツが大好きなので、失われてしまった運動機能の再建をめざすことに意義を感じたこともあります。患者さんの日常を取り戻すための治療は私にとってとてもやりがいがありますね。
印象に残っている診療のエピソードはありますか?
京都府や滋賀県での勤務医を経て今に至りますが、患者さんと向き合って本当の意味でマンツーマンのお付き合いができた時、さまざまな気づきがありました。勤務医時代に出会った腰部脊柱管狭窄症に悩む患者さんが、急に腰痛と足のしびれに見舞われて動けなくなってしまい、多くの臨床経験から判断して手術をお勧めしたことがありました。しかし、対話を重ねる中で「絶対に手術はしたくない」というご意向を伺い、神経ブロック療法やリハビリで根気強く治療を行っていったのですね。手術をして早期に治療を行うことも適切な道でしたが、患者さんのお気持ちを尊重して経過を見ながら治療方針をつくり上げ、可能性を見極めていく方法を取れたことに、医師としてのやりがいを強く感じました。
診療で心がけていることをお聞かせください。

まずは患者さんのお話をよく聞いて、しっかり説明して、納得していただいてから治療を受けていただくという当たり前のことを誠実に行うことです。できないことはできないとはっきりお伝えすることも、誠実な対応の一つですね。リハビリ室の充実は肝いりの部分でもあるので、今後も先進の機器を導入していくつもりですが、同時に人の手と心による治療や対応も大切にしています。開業当初からこだわってきたように理学療法士や柔道整復師、スポーツトレーナーと結束し、設備と合わせたマンパワーで親身に対応するのが当院の方針です。また、ケアマネジャーさんにも来ていただいて少人数のデイケアも行っています。治療だけでなく介護面にも関わり、患者さんとご家族のお役に立てることを探して実行しています。
最後に、プライベートの時間の過ごし方を教えてください。
昔からスポーツが大好きで、野球、サッカー、テニス、ハンドボールなどをやってきました。医師になってからもスキーやゴルフ、クライミングなどをしています。今はサーフィンに夢中で、時間があれば和歌山や三重、四国にも出かけますよ。スポーツへの思いはこれからも持ち続け、趣味として取り組みながら医師の仕事にも生かしていきたいですね。