自分の歯を残せる可能性が高まる
マイクロスコープによる根管治療
井上歯科医院
(藤沢市/藤沢駅)
最終更新日:2025/05/19


- 自由診療
虫歯が進行するなどで歯の内部の神経まで損傷したとき、歯を抜いて入れ歯治療やインプラント治療を行う以外に、自分の歯を残せる可能性が高い「根管治療」も選択肢となる。ただ、最初の根管治療から数年後に再発し、再治療が必要になるケースも少なくないという。その原因を「肉眼では治療する部分を隅々まで見ることができず、必要な処置が不十分だったからではないか」と推測するのは、根管治療の経験が豊富な「井上歯科医院」の井上宏一院長と宇都宮舞衣先生だ。「治療する部分を拡大して確認できるマイクロスコープなしに、根管治療を適切に行うのは難しいと感じる」と話す2人の先生に、根管治療の目的や治療の手順、同院でのマイクロスコープを使った治療などを詳しく聞いた。
(取材日2025年3月28日)
目次
肉眼では見えない根管の内部までマイクロスコープで確認可能。精度の高い根管治療をめざす
- Q根管治療の目的や、どんな方に必要なのかを教えてください。
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A
▲根管治療において、設備と医師の技術が十分にそろう同院
【井上院長】虫歯の進行などで歯の内部の神経まで細菌に感染し、深刻なダメージを受けた場合、一般的に「抜歯」、または神経や血管を抜く「抜髄」が治療の選択肢になります。根管治療は抜髄による治療のことで「歯の根の治療」とも呼ばれ、歯を丸ごと失う抜歯とは異なり、歯を残せる可能性が高いことが特徴です。神経が損傷していても、なるべく歯を残したいと希望される患者さんに適した治療だと思います。
【宇都宮先生】ただし根管治療は必要な手順を丁寧に行わないと、根管に取り残した細菌などが原因で再発しやすく、再治療では成功率もかなり低くなる可能性があります。そのため最初に質の高い治療を受けることがとても重要といえます。
- Q根管治療の流れや、治療で注意している点をお聞かせください。
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A
▲再治療のないよう、すべての工程を高い技術で丁寧に行う
【井上院長】まず歯の内側を深く削って抜髄を行いますが、細菌に感染した神経や血管を取り残しがないよう丁寧に除去することが大切。次は神経や血管が入っていた歯の中の空洞部分=根管の清掃です。患者さんごとに形状も大きさも違う根管の先端まで、徹底して細菌を清掃・消毒します。さらに根管を充填剤で埋めるときも、先端まですき間なく埋めないと再発の原因になりやすいのです。最後にかぶせ物を装着して治療は終了。いずれも「どこまで精緻に作業できるか」が成功の鍵となります。肉眼のままか、眼鏡型のルーペで見るか、当院のようにマイクロスコープで十数倍にも拡大して治療するかによって違いが出やすいため、判断は慎重に行います。
- Qマイクロスコープを使った治療はどのような点が違うのでしょう?
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A
▲これまでの経験を生かし、今も志高く根管治療を極める宇都宮先生
【宇都宮先生】当院で行う根管治療はマイクロスコープを用いた自由診療のみですが、「肉眼では見えなかったものが見える」マイクロスコープは治療の精度を高めるのに非常に役立っています。治療部分を自在に拡大して確認しながら治療でき、先端につけた照明は口腔内を明瞭に照らしてくれます。しかも肉眼やルーペでは見えない根の奥まで見え、勘だけに頼らず治療できるのです。特に再治療の場合は先端に充填剤などが詰まっているので、除去にはマイクロスコープによる確認が欠かせません。加えて治療を記録した動画を患者さんに見ていただけば、「どんな治療で現状はどうか」を説明しやすく、安心して治療を続けていただきやすいと感じています。
- Q根管治療後の定期検診や、自宅での注意点はありますか?
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A
▲医師はもちろん、歯科衛生士もマイクロスコープを使いこなす
【井上院長】歯周病などがない場合、当院の一般的な定期検診と同様に3ヵ月おきに来ていただくことになります。治療後しばらくたてば、ご自宅での食事なども普段どおりで構いません。なお当院の定期検診では歯科衛生士もマイクロスコープを用いて、歯周ポケットの状態など口腔内を詳細に確認しているのも特徴でしょう。必要に応じて虫歯の進行度を数値化する検査装置、口腔内スキャナーなども使い、噛み合わせもチェックして、患者さんの変化を見逃さないよう努めています。
【宇都宮先生】地道な作業が続く根管治療後の状態を維持できるよう、定期検診や患者さんへの適切なブラッシング指導でサポートするのはとても重要だと思います。
- Q根管治療で、先生方が特に重視されていることを教えてください。
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A
▲高い治療レベルを保ち、今後も地域の患者の歯を守っていきたい
【井上院長】一つは患者さんの歯茎の痛みや炎症に対して「根管治療が適しているか」を適切に診査診断することです。歯に入ったひびや歯周病が症状に関係していれば選ぶ治療法も違ってきます。さらに患者さんの唾液が治療部分に入って感染源にならないよう、当院ではラバーダムという防護具も使います。マイクロスコープの使用も含め「根管治療を再治療にしない」ことをめざしています。
【宇都宮先生】抜歯を伴う入れ歯やインプラント治療とは違い、根管治療なら歯を残せる可能性があります。マイクロスコープを使った根管治療を専門とする私の知識・経験を生かし、「自分の歯を残したい」という患者さんの気持ちに応えていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはマイクロスコープを用いた根管治療/25万3000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。