怠ると全身疾患に関わるリスクも
定期的に受けたい口腔ケア

問題がないうちから定期検診を受けることで、将来的な医療費や治療の痛みなどの負担軽減を図ってほしい

Q口腔環境を整えるために歯科医院で行うことを教えてください。

A

▲「口腔内環境を整える重要性」を語る時任院長

当院では患者さんの状態を知るため、複数の検査を準備しています。医科で治療やオペの前に必ず検査をするように、検査を行い根本原因を解明・対処すべきと考えているからです。初期虫歯の場合、視診、エックス線検査やレーザーを使って虫歯の状態を数値化して判断するほか、採取した歯垢に含まれる細菌を位相差顕微鏡で直接見ることも。個人の口腔内の特徴や傾向、食生活による口臭の発生リスクなどを知り、必要な治療・予防を検討します。また、保険外ですが、唾液検査で虫歯菌の量や唾液の性状、歯周病の程度などをチェックし、虫歯、歯周病になった原因をある程度把握できます。効果的な対策につながりますのでぜひ受けていただきたいですね。

Qどのような症状が出たら受診すべきでしょうか？

A

▲定期的な口腔ケアが大切

症状のない段階で受診するのが一番お勧めです。というのも、歯周病は症状が出る頃にはかなり重症化している可能性が高く、抜歯しなければならないケースも少なくありません。虫歯も同様で、大きな痛みが出てからだと神経を除去したりと治療が大がかりになってしまうんです。無症状の初期のうちから歯科医院でチェックを受けていれば、処置も簡単なもので済みます。幼少期の私もそうでしたが、痛みを我慢できなくなってから受診した場合は、どうしても治療負担が大きくなってしまうため、歯科医院が怖い方にこそ定期的に通ってほしいですね。治療が不要であれば生涯の医療費削減にもつながりますので、美容院に行く感覚で検診にお越しください。

Q口腔疾患は全身疾患にも関連していると聞きました。

A

▲「口は健康の入口」と考えている時任院長

例えば歯周病によって歯茎から出血した場合、そこから歯周病菌が直接血管を通って体内に侵入します。脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病や高血圧、認知症などは、口腔内細菌が一因ではないかといわれているんです。また、なかなか口腔内環境が改善しない場合、胃の中のピロリ菌が口の中に悪影響をもたらしているのではないかという議論もなされています。近年の医科・歯科業界では口腔ケアが重視されており、大きな手術をする前には歯科で必ず口腔内をチェックしようという方針の医療機関が増えています。ぜひ患者さんたちにも、「口の中をきれいにすることが全身疾患の予防につながる」という意識を持っていただけたらいいなと思います。

Q歯科医院で行う口腔ケアについて教えてください。

A

▲歯科衛生士は担当制で口腔内の状況に合わせたメニューを提案

普段の歯磨きで落としきれない汚れなどは、歯科衛生士が専門的なケアでしっかり除去します。あとは虫歯・歯周病の有無を確認する他、必要に応じてエックス線写真を撮ったり、位相差顕微鏡で口腔内細菌の状態を再度チェックしたりしています。お口の中の写真も定期的に撮り、前回と比べて変化がないかどうかも確認した上で患者さんと情報を共有していますね。小さな不具合であってもその都度きちんと発見・対応できますので、その意味でも患者さんには定期検診での受診をお願いしたいと思っています。そしてケアをして終わりではなく、さらに口臭が気になる場合などは口臭の原因究明と原因となっている疾患の治療をご案内しています。

Q日頃から自身で気をつけるべき点はありますか？

A

▲セルフケア指導にも力を入れている

セルフケアと聞くと歯磨きだけをイメージしがちですが、毎日の栄養摂取も非常に大切です。歯や歯茎の組織を形成しているのはコラーゲンで、そのコラーゲンを生成するのに必要な材料は、鉄・タンパク質・ビタミンCです。この中で最も摂取量が少ないものを基準にその量に応じたコラーゲンが作られるため、どれか一つだけが多いのでは意味がないとされています。材料が足りず組織が十分に作られないと、歯や歯茎が弱って虫歯・歯周病のリスクも上がります。現代の食事は糖質が多いので、バランス良く摂取できない場合はサプリメントも一つの選択肢になるでしょう。当院ではそうしたお話も含め、ケアの後に栄養面のアドバイスなども行っています。