シパシパする、ゴロゴロする
乾きや異物感はドライアイのサイン
こざわ眼科クリニック
(福岡市早良区/次郎丸駅)
最終更新日:2023/11/27


- 保険診療
スマートフォンやタブレット端末の普及に加え、新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークの推奨でパソコン作業が増えるなど、目を酷使する現代人にとって切っても切り離すことができない眼精疲労。目にゴロゴロとした異物感を感じたり、乾き目でまばたきが増えたり、ドライアイの症状に悩まされている人も少なくないだろう。軽症であれば市販薬でしのげることも多いが、目の傷を伴う場合には感染症のリスクが高まるなど、油断ならない現代病の一つだ。そのドライアイについて「こざわ眼科クリニック」の小沢昌彦院長をインタビュー。ドライアイの原因をはじめ、クリニックを受診するメリット、注意したほうがよいポイントなどについて話を聞いた。
(取材日2021年5月19日)
目次
全身疾患の影響や治療が必要なケースもあるドライアイ。目に違和感を感じたら相談を
- Qまずはドライアイの原因を教えてください。
-
A
▲ドライアイについて理解が深まるような資料も用意している
以前の基準では、目の表面に傷を伴い、目の乾きや異物感、いわゆるシパシパする、ゴロゴロするといった症状がある状態をドライアイと診断していましたが、近年診断基準が変更され、傷がなくても自覚症状があれば診断されます。原因は涙の量や質、目の表面から分泌される粘液の量などに問題があることが多く、まれですが全身疾患による涙液量の減少で起こることもあります。またスマートフォンやタブレット端末の普及で目を使う機会が増え、まばたきの回数が減る傾向にあることも、結果として乾きやすい環境の一因になっているのです。
- Q自己診断が難しいですが、クリニックを受診すべきでしょうか?
-
A
▲適切な判断をするためにクリニックへの受診を勧めている
ゴロゴロ、シパシパといった、目をつぶった時の異物感や違和感が頻回になって、日常生活に支障が出るようであれば、受診をお勧めします。必要に応じ、涙の分泌量や目の表面の乾きやすさを調べることができるため、正確な診断をつけるためにはクリニックを受診したほうがよいでしょう。また、特に仕事上パソコンを長時間使ったり、家でもスマートフォンを見る時間が長い人はドライアイになりやすいので、自覚症状があれば相談するようにしてください。一方で、目の表面が乾燥し傷があるものの自覚症状がない人や、全身的な病気が原因でドライアイ症状が出ている人もいるので注意が必要です。
- Qコンタクトレンズはドライアイになりやすいのでしょうか?
-
A
▲コンタクト使用者はドライアイにより気をつけたい
ドライアイに影響するものとして「3つのコン」と言われることがあります。1つ目はパソコンで、モニターを見る機会が多いこと。2つ目がエアコンで気流や空気の乾燥で起こりやすくなります。そして3つ目がコンタクトレンズ。コンタクトレンズにより目の表面の涙液量が減るので、リスクファクターの一つとされています。最近はリモートワークをしている人も多いかと思いますが、空調の効いた部屋でパソコン作業をしながら、なおかつコンタクトレンズをしているという場合には気をつけたほうがよいでしょう。レンズの種類によっても影響は違うので、コンタクトレンズの方は相談してみてもよいかもしれません。
- Qドライアイと感じた際には市販の目薬で対応してもいいのですか?
-
A
▲市販の目薬をむやみに使用する前にしっかり受診するのがお勧め
ドライアイに対する効能が記載してあり、その点眼薬により症状が改善しているのであれば市販薬でも問題はないでしょう。しかし一時的に緩和できたとしても、根本的な治療ができているかは不明です。クリニックで処方できる目薬の中には、一時的に潤いを与える作用のほかに、粘液を出す細胞を元気にして乾きにくい状態をつくるための成分が入っているものもあります。市販の目薬だけでは症状が頻回に見られる、市販の目薬を使用しても違和感が改善しないといった際には、むやみに点眼の回数を増やしたり、さまざまな薬を使ったりする前に、まずは自分の目に何が起こっているかを見てもらい、病態に応じた治療をしたほうがよいでしょう。
- Qドライアイがひどくなるとどうなるのでしょうか?
-
A
▲画像を見ながら説明をしてくれる院長
周囲の環境や目を使う頻度、そのほか加齢に伴い涙や粘液の量や質が落ちドライアイがひどくなっていくことがあります。コンタクトレンズを装用している場合は眼表面の傷から感染症を引き起こすことがありまず。また涙の量がかなり少ない状態だと、まばたきによる表面の摩擦によって糸状角膜炎という糸状の組織が黒目の表面にぶら下がったような状態になる場合があります。この病気は痛みも強く、糸状組織を除去したり、点眼薬でも改善しない場合、涙の出口にシリコン製のプラグを挿入し、涙を目の表面にためる涙点プラグという治療も必要になってきます。特に痛みが強い、見えにくいといった症状があるときは我慢せずに受診してください。