小沢 昌彦 院長の独自取材記事
こざわ眼科クリニック
(福岡市早良区/次郎丸駅)
最終更新日:2021/10/12
福岡市営地下鉄七隈線の次郎丸駅から徒歩5分、原通り沿いのマンション1階にある「こざわ眼科クリニック」は、小沢昌彦院長が前身の近藤眼科クリニックを継承し、2016年に開院。以来、地域の子どもから高齢者まで幅広い世代の視覚機能改善をサポートしている。小沢院長は網膜硝子体疾患や眼炎症疾患などに携わってきた経験を持ち、「目の病気は知らず知らずのうちに進行していることが多いので、40歳を超えたら節目節目での定期的な診療を」と話す。今回はそんな小沢院長に医師としてのキャリアや診療方針をはじめ、目の病気として一般的な白内障や緑内障、糖尿病網膜症に加え、テレワークなどライフスタイルの変化によって増加するドライアイなどの疾患について、詳しく話を聞いた。
(取材日2021年4月7日)
地域の医療に携わり、地元に愛されるクリニックを
最初に医師をめざしたきっかけについてお話しいただけますか?
小学生の頃に内科医師の父が開業し、クリニックの2階に住んでいました。院内の様子を垣間見る機会もあり、患者さんと接する父の姿を見ていたのですが、医師は地域の方に信頼され感謝される素晴らしい仕事だと感じました。叔父や兄も医師の道に進んでいましたから、家庭環境によるところが大きかったかもしれませんね。大学卒業後には家業のこともあって内科に進んだのですが、学生時代に体験した眼科での診療が忘れられず、医師になって5年ほどたった頃に転科しました。眼科は生活にとって重要な視覚に関わる領域なので、治療を受けて喜ばれる患者さんの姿が記憶に残っていましたから。以降は福岡大学病院に勤務し、さまざまな目の症例に携わってきました。
こちらのクリニックは2016年に継承されたそうですね。
はい。大学病院時代は、糖尿病網膜症や網膜剥離など、目の奥の病態である網膜硝子体疾患の治療を経験しました。また、目の上皮に関する疾患、いわゆるアレルギーや角膜の病気についても臨床研究を重ねてきたところ、当クリニックの前身である近藤眼科クリニックの先生が引退されることを恩師から伺い、2016年に継承し「こざわ眼科クリニック」と名前を変えて開業しました。開業医である父の姿を見て育ったこともあって、地域の医療に携わりたい、地元の人に愛されるような仕事をしたいという気持ちもあり、渡りに船のお話でした。また近隣の方たちのためにも、20年近く続いた医療施設をなくしてはいけないという思いもありましたね。
診療方針や診療において大切にされていることはありますか?
専門的で高度な医療を提供するというよりは、患者さんが困っている状況が少しでも改善できるように、しっかりとお話を聞いて、細かく説明しながら丁寧に診療を行うように心がけています。医療用語は難しいですし言葉だけでは伝わりにくいため、写真や動画なども活用しながら、極力わかりやすく説明するように注意していますね。私の特徴の一つは内科診療の経験があることなので、目に関する症状だけではなく、お体の不調や変化についてもお話を伺い、受診したほうが良い診療科や注意すべきポイントなどをアドバイスしています。痛みに関しても表面麻酔下での処置を行ったり、診察室にさまざまなキャラクターを配置してお子さんが緊張しないように配慮したり、なるべく診療における不安を取り除けるよう工夫しています。
白内障、緑内障、糖尿病内膜症等さまざまな疾患に対応
目の病気の中でも卑近な白内障ですが、症状や治療について教えてください。
白内障は目の中の水晶体が濁り、目が霞んだり、ぼやけたり、物が二重三重に見えたり、眩しさを感じてしまったりする病気です。中には生まれつきのケースや外傷によるケースなどもありますが、そのほとんどが加齢に伴うもの。50代頃からの発症が見られ、80代ではほとんどの方が罹患しているというポピュラーな病気ですが、濁りのタイプや場所、程度によって自覚症状が違います。まずは様子を見ていきますが、進行していくと視力が低下してくるので生活に支障が出るようであれば外科的な治療を行います。濁った水晶体を取り、代わりに眼内レンズを入れる手術になるので、近隣の大学病院等に紹介しています。白内障はある程度進行していても改善が期待できますが、見えづらいなどの症状がある場合は一度医療機関に相談ください。
緑内障の方も多いそうですが。
緑内障は目の中の網膜の神経が少しずつ痩せていき、視野が徐々に欠けていく病気です。失ってしまった視野は取り戻すことができないため、早期発見・早期治療が重要になる疾患の一つ。治療としては定期的に観察を行い、必要に応じて目薬を処方し、それでも進行がひどい場合にはレーザーや外科的な治療を行います。眼圧が高くて起こる病気だといわれていますが、日本人は眼圧が正常であっても発症するケースがあるので、健康診断だけでは見つけることが難しい病気。近視が強い方や家族歴があるとリスクが高くなり、自覚症状も出にくいためになかなか気づかないのですが、40歳になると20人に1人の確率で罹患しているともいわれているため、ある程度の年齢になったら定期的に検査をしても良いかもしれません。
糖尿病網膜症の治療にも取り組んでいらっしゃるそうですね。
大学病院に勤務していた際に網膜症疾患にも携わっていたので、当クリニックでも糖尿病網膜症のレーザー治療に対応しています。糖尿病網膜症は糖尿病の3大合併症の1つで、毛細血管の循環が悪くなり目に障害が起こるものです。重症化すると視機能に影響が出るので、場合によってはレーザー治療が必要になります。さらに重篤化していれば手術が避けられません。そうならないためには原因の糖尿病をいかに管理するかが重要になってくるので、きちんと血糖値をコントロールできているか定期的な観察が求められます。最終的には失明につながってしまうので、糖尿病の方は内科だけではなく眼科も受診したほうが良いでしょう。
ドライアイやアレルギーなど現代疾患にも向き合う
現在はどのような主訴でいらっしゃる患者さんが多いのでしょうか?
症状としては目が霞む、見えにくい、目やまぶたの痛みで来院される方が多いですね。疾患で言うと白内障、緑内障、角膜障害、ものもらい、眼鏡合わせ、コンタクト検診が主です。また春先など花粉症の季節には、目の痒みといったアレルギー症状でいらっしゃる方が増えますよ。お子さんでは学校健診で視力が落ちていたので詳しく見てほしい、という相談が多い印象です。加えて新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークの方が増え、目が乾く、目が疲れる、ピントが合わないという相談もよく聞くようになりました。またものもらいも増えている印象です。エリアとしては地域の方、とくに徒歩圏内の方が中心で、前身の近藤眼科クリニックの頃から通っている方も少なくありません。
ドライアイやアレルギーなどでいらっしゃる患者さんも増えているんですね。
お子さんも含め、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを使う機会が増えているので、ドライアイの相談は多くなってきましたね。まずはどういう原因で目に不調が起きているかを調べることが重要で、涙自体の分泌が少ないのか、あるいは目の表面の粘膜に原因があるのかを判断した上で治療を行います。基本的には目薬での治療になりますが、涙の分泌量に問題がある際には涙が留まるような外科的処置が必要なこともあります。またアレルギー性結膜炎の方は、なかなか原因を特定することが難しいので、症状が出たタイミングや所見からアレルギーの有無を判断していきます。アレルギー疾患は抗原を遠ざけることが一番なのですが、それも限界があるので内服薬や目薬を使って症状の緩和をめざします。
最後に読者の方にメッセージをいただけますか?
地域の方の目の健康の支えになれるような存在になりたいと思っています。眼科は外傷や痛みがあるなど直接的な動機がないと行く機会が少ないかもしれませんが、緑内障など早めに見つけることで大事に至らない疾患もあります。そのため健康診断といったタイミングを捉えて、定期的に眼科でも検査を受けてみてはいかがでしょうか。また、時折片目でものを見ることでセルフチェックになります。両目でものを見ると、脳が見えていない部分を勝手に補ってしまうため何か症状があったとしても気づきにくくなってしまいます。片目を隠して、左右の目の見え方に気をつけてみてください。少しでも異常があった時には気軽に相談していただけたらと思います。