40歳を過ぎたら一度眼科で検査を
自覚症状なく進行する緑内障
こざわ眼科クリニック
(福岡市早良区/次郎丸駅)
最終更新日:2023/11/15


- 保険診療
発症しても患者自身が症状に気づくことなく、放っておくと最悪の場合、失明に至ってしまう緑内障。この自覚症状のなさによる治療の遅れが緑内障の最大の課題点のひとつと言える。「よく『視野が欠ける』と言いますが、実際は視界の一部が黒く塗りつぶされて徐々に広がっていくのではなく、見えにくい部分があっても、もう片方の目や脳がこのように見えているだろうと補うことで、自分では気づきにくく、知らないうちに緑内障が進んでしまうのです。」と自覚の難しさを語るのは「こざわ眼科クリニック」の小沢昌彦院長だ。福岡大学病院時代からさまざまな症例に対応し、次郎丸駅エリアでも緑内障に限らず多くの患者の目の疾患に真摯に向き合っている。緑内障とは改めてどんな疾患なのか、早期発見するための検査の流れなどについて詳しく語ってもらった。
(取材日2023年10月25日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q緑内障とはどんな病気ですか?
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A
長い時間をかけて少しずつ見える範囲が狭くなる病気で、40歳以上の20人に1人が緑内障と言われるほどの身近な疾患です。緑内障には自覚症状が出にくい、そして現代の医学では完治ができないという大きな課題があります。しかし少しずつ皆さんの意識の変化や、治療用の目薬も数多く開発されてきていることから、生涯に渡って視力を失わずに生活することも望めるようになりました。ただし、一度視野異常が進行するとどんな治療や手術を施しても悪くなった時点から元の視野に戻ることはありません。患者さんご自身も緑内障の怖さを正しく理解し、40歳などの節目の際には眼科で検査をし、早期発見・早期治療へつなげてほしいと切実に思います。
- Q「自覚症状がない」とは具体的にどういうことですか?
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A
よく「視野が欠ける」と表現するため、視界の一部に黒い点が出現し、その黒い部分が広がり見える範囲が狭くなっていくというイメージを持つ方も多いですが、実際はもし見えていない部分があっても脳が「こういうふうに見えているだろう」と補っていくので、見えていない部分があることにすら気づいていないのです。この状態がゆっくりと少しずつ進み「自覚症状がない」状態で進行してしまいます。その後病態がさらに悪化して初めて視野異常を自覚するため、症状が出て受診した時にはかなり進行していることが多いのです。また眼鏡やコンタクトレンズを使用しても見えなくなった部分を見えるようにすることは残念ながらできません。
- Q緑内障かどうかを調べるにはどのような検査を行いますか?
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A
まずは眼圧検査や眼底検査で緑内障と疑われる所見があるかを調べ、疑いがあればOCT検査に進みます。これは網膜という眼の底にある神経の厚みを測定することで緑内障の可能性や進行程度を調べる検査法です。神経の層が薄くなっている様子を色や数値で確認できるため、画像でご自身の病状が理解しやすいというメリットもあり、痛みがなく数十秒と短時間で終わる検査です。ここで緑内障の疑いがあれば視野検査を行い、視野に欠けている部分がないか調べます。これらの結果を総合的に判断し、最終的に緑内障がどうかを診断します。またOCT検査は緑内障以外でも、加齢に伴い生じる他の病気があるかどうかを確認するのにも非常に有用な検査です。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診表に記入する
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受付後、自身の既往歴のほか、両親や家族などに緑内障を持っている人がいるかなどを問診票に記入する。また糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症候群などの全身疾患が緑内障の発生因子となることもあるため、気になる症状、病院や健康診断で指摘された点は記載するよう心がけよう。
- 2医師による問診
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記入した問診票をもとに、医師による問診を行う。小沢院長は内科での勤務経験もあるため、糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症候群など、目だけではなく全身的な要因が隠れていないかという点にも着目しながら診察を行っている。
- 3検査の実施
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眼圧検査、眼底検査、OCT検査、視野検査などの段階を踏みつつ、複数の検査で総合的に緑内障かどうかの診断を行う。緑内障の基本的な治療は目薬による眼圧の降下となる。緑内障の治療はさらに進行させないようにすることが目的であるため、そのためには点眼薬をしっかり継続し、低い眼圧を維持することが重要となる。進行がないかを定期的な眼圧検査および視野検査、OCT検査で確認していく。
- 4点眼薬を用いた治療
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緑内障では眼圧を下げることが治療の第一歩。緑内障治療のための目薬はいくつも種類があり、1剤で効果が得られない場合は2剤、3剤……と増えていくことも。「目薬をさし続けることが何より肝心ですから、できるだけ回数を減らせるよう、複数の薬を合わせた合剤を処方するなど、柔軟な対応で治療を続けやすく導いていくことも心がけています」と小沢院長。同時に誘因となる全身疾患があればそちらのケアも行う。
- 5定期的な通院
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自覚症状がないため、継続せずに途中でやめてしまう人が多い傾向にある緑内障の治療。そのため同院では治療や検査内容、その頻度を半年スパンで記載した表などを患者に渡し、治療スケジュールを実感しやすいような工夫も取り入れているそうだ。また検査には痛みや苦痛がないことなどもその都度丁寧に説明し、患者が治療を続けやすい環境を整えながら、定期的な通院と治療を促していく。