竹 三郎 院長の独自取材記事
たけクリニック
(鹿児島市/鹿児島駅前駅)
最終更新日:2021/10/12

薩摩吉田インターチェンジから車で3分、住宅街に位置する「たけクリニック」。泌尿器科・内科・透析内科を標榜する同クリニックでは、日本泌尿器科学会泌尿器科専門医、日本透析医学会透析専門医の資格を有する竹三郎院長の「何でも診られる医師になりたい」という思いから、専門の泌尿器科や透析医療はもちろん、慢性腎臓病、皮膚疾患などさまざまな疾患を診療する。また現在は、患者の希望や体質に合わせた漢方薬の処方にも力を入れている。鹿児島県が出身地である竹先生は鹿児島大学医学部を卒業後、同大学の泌尿器科に入局。九州各地の基幹病院で勤務医として働いてきたほか、東京女子医科大学でも診療経験を積んできた。今回は竹先生に、クリニックの特徴や今後の展望などについて話を聞いた。
(取材日2021年7月12日)
泌尿器科、透析専門の医師として地域医療に貢献
開業からおよそ20年とのことですが、この地に開業した理由を教えてください。

吉野地域に開業をした理由は、この地域に泌尿器科のクリニックがなかったからです。私が開業したのは2002年のことですが、当時この地域には、透析を受けられるクリニックもほとんどなく「地域医療に少しでも貢献したい」という思いからこの地での開業を決意しました。吉野地域は、高台にあり中心部に出ていくためには山を降りる必要があるので、地域の方々がわざわざ中心部に行かなくても医療を受けられるようにしたいというのが私の願いです。高齢の方々にできるだけ通院を負担にしたくはないですし、実際に現在でも、吉野地域の医療機関は非常に限られているため、お役に立てているのではないかと思っています。
診療内容について詳しく聞かせてください。
私の専門は前立腺肥大症や前立腺がんなどの泌尿器疾患や透析医療なので、泌尿器疾患や透析が必要な方の受診が多いです。しかし、透析が必要な患者さんは高血圧や脂質異常症、糖尿病などさまざまな病気を抱えていることが多いため、実際は診療科を超えた幅広い疾患を診ることになります。そこで、開業当初は「たけ泌尿器科クリニック」というクリニック名だったのですが、2006年に法人化する際「医療法人グレイス たけクリニック」という名前に変更し「泌尿器科」という名称を削除しました。これには「全身疾患を診るクリニックでありたい」という思いが込められています。さまざまな症状を抱えた患者さんがいらっしゃるので、診療内容は幅広いのですが、特に熱心に取り組んでいるのは、透析の前駆疾患の一つである「慢性腎臓病(CKD)」の診療です。鹿児島県内において慢性腎臓病の患者さんを専門的に診療できる医師として、精力的に診療しています。
漢方薬の相談も受けていると聞きました。

もともと必要に応じて漢方薬を処方していたのですが、興味を持って調べているうちに奥深さに魅了され、2019年頃から本格的に漢方薬を深く勉強するようになりました。他の疾患の治療などでお越しになった患者さんでも頭痛、肩こりなど気になる所見があれば相談に乗り、「困っている」「改善したい」とおっしゃる方には漢方の処方を検討しますね。舌の状態を診る「舌診」、脈を診る「脈診」、おなかの状態を診る「腹診」などを活用して、その方の体質に合った漢方薬を検討します。効果には個人差がありますが、漢方薬を積極的に取り入れるようになってから、理由のわからない症状について「様子を見ましょう」といって済ませることがほとんどなくなったのはうれしいことですね。やりがいを感じています。
患者の精神的不安や経済的負担にも配慮
診療において心がけていることについて教えてください。

大切にしているのは、患者さんの精神的不安、肉体的負担、そして経済的負担を極力抑えて問題解決をすることですね。精神的不安や肉体的負担については、なるべく患者さんが恥ずかしいと思う検査や嫌がる検査を避けて解決する方法を考えます。また経済的負担に関しては、治療薬の価格などにも気を配って処方を検討しています。特に前立腺がんの薬物治療では、高額な治療薬を使用することも少なくありません。もちろん必要に応じて使用することは大切なのですが、私は高額な治療薬は「最後の手段」と考え、できるだけ負担がかかりにくい方法で改善をめざすようにしています。
より良い診療のためにさまざまな努力をされているそうですね。

私にとって患者さんに喜んでいただけることは何よりうれしいことなので、常に何かもっとできることはないかと考えています。学会や医師会、製薬会社などから発信される情報はなるべく多く吸収するようにしていますし、製薬会社の方がクリニックにお越しになったときは、治療薬について質問して理解を深めています。たくさん知識を取り入れた日は、「今日も学べた」「今度あの患者さんに教えてあげよう」と充実した気持ちで眠りにつけるものです。また、勉強したことはできるだけ資料にまとめて、患者さんに配れるようにしています。紙を使って説明することで、患者さんが病気や治療について理解を深めてくれますし、読んでみてわからないことがあれば、次回の診療で質問していただけますからね。
患者さんの希望に合わせてさまざまな対応をしていると聞きました。
当クリニックは13床の入院施設もあるため、透析患者さんで自宅に帰ることが難しい方や突然体調が悪くなってしまった方などに入院していただくことも可能です。また、前立腺がんの検査を行う際は、検査後に血尿が出たり、一時的に尿が出なくなったりすることもあるため、1泊2日で入院していただくようにしていますね。そのほか、希望があれば往診を行うこともあります。また、検査や診療で大きな病気が疑われそうな場合には、近隣の連携病院への紹介も欠かしません。患者さんの希望や状況に合わせて、鹿児島市立病院や鹿児島医療センター、いまきいれ総合病院、今村総合病院、南風病院、中央病院、白石病院、メディポリス国際陽子線治療センターなどさまざまな病院に紹介しています。また、時には他のクリニックからご紹介いただいた患者さんを診療することもありますよ。
患者に寄り添える、何でも診られる医師をめざして
先生が泌尿器科の医師を志したきっかけを教えてください。

もともと母の弟が開業医として東京でクリニックを経営していたため、幼い頃から漠然と医師に対する憧れがありました。泌尿器科を選んだ理由は、当時の鹿児島大学医学部泌尿器科の教授が人情味あふれるすてきな先生だったからです。人として尊敬できる部分が多く、教授の人柄に惹かれて入局を決めました。教授のもとで学び、患者やその家族に寄り添える医師になりたいと思いました。
クリニックの今後の展望について教えてください。
当クリニックは2022年8月に開業から丸20年となります。私は、これからも「何でも診られる医師」をめざし、患者さんの健康増進に貢献していきたいと思っています。特に漢方薬の相談に応じるようになってからは、患者さんから喜んでいただけることが多く、より良い方法を見つけるために日々まい進しています。最近は、病気の治療だけでなく食事や運動など健康管理についてもより熱心に勉強をしています。患者さまに食事療法について学んだことをお伝えしたり、肩こりや腰痛などに有用な運動療法をアドバイスしたりすることもあります。良いと思った方法はまず自分で試しています。試行錯誤を重ねて患者さんに寄り添ってお伝えできるようになれればと思っています。
最後に読者へメッセージをお願いいたします。

泌尿器疾患は高齢者に多い傾向があり、高齢化とともに患者数の増加が伺えます。気になる症状があるときは、一人で抱え込まず泌尿器科の受診を検討していただきたいです。また、当クリニックでは慢性腎臓病(CKD)の診療も熱心に行っていますので、腎臓病でお悩みの方もお気軽にご相談ください。さらに、病気ではないものの肩こりや頭痛など不快な症状にお悩みの方の場合、漢方によって症状の緩和が望める可能性があります。診療科目にとらわれず、些細な不調でもぜひご相談いただきたいと思います。