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越知 正憲 院長の独自取材記事

おち夢クリニック名古屋

(名古屋市中区/久屋大通駅)

最終更新日:2019/08/28

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久屋大通の街路樹に面したビル8階にある「おち夢クリニック名古屋」。不妊治療専門で体外受精や顕微授精などの高度生殖医療を行う。広々とした待合室にはアロマの香りが漂い、全ての椅子が大きなテレビモニターに向かって配置されている。患者同士が向き合って顔を合わせることなく、ゆったりと診察を待つことができる空間だ。越知(おち)正憲院長は「当院では、卵巣への負担が大きい排卵誘発剤をできるだけ使用しない自然周期体外受精を行います。数が少なくてもいい卵子があれば十分妊娠可能です」と自信を持って話してくれた。語り口はクールだが、それは医師としての冷静な判断力の現れ。診療についてや患者への思いを語る言葉の端々からは、子どもが欲しい人たちの望みを叶えたいという熱い思いがあふれていた。
(取材日2017年6月19日)

体への負担の少ない自然周期採卵にこだわって

まずは、先生が医師となられたきっかけを教えてください。

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私の父が産婦人科の医師で祖父母も小児科の医師でした。子どもの頃を振り返ると、休日に遊びに連れて行ってもらったことなどほとんどないし、近くに住む祖父母も開業医でしたからあまりかまってもらえませんでした。それでも夕飯は家族がそろう団らんのひとときだったことを思い出します。そして、夕飯後には祖父母が往診に出かけていく姿を見て育ちました。祖父母は小さな町医者でしたが、自分のことよりも常に患者さんのことを考える姿勢は、子どもの私にも伝わっていましたね。そんな環境から自分も医師になるというのは自然な気持ちでした。

お父さまと同じ産婦人科を選び、そして不妊治療を専門に歩むことになったのはどうしてですか?

甲状腺に興味があった私は、甲状腺を外科からも内科からも診る専門医になりたいと考えていました。当時、腎臓移植が始まったばかりということもあって泌尿器科にも惹かれ、あれこれ迷っていたときに、父から「産婦人科は外科でもあるし内分泌もあるから、いろいろ診ることができる。甲状腺を診るのに似たところがあるから、産婦人科にしたらどうか」とアドバイスをもらいました。今、思えば父に乗せられたような形で産婦人科を選びましたが、ちょうど、私が大学を卒業した頃に日本での体外受精が成功したということもきっかけとなり、不妊治療に携わるようになりました。当時の不妊治療は産婦人科の中の隙間産業のようなもので、手を挙げるものは誰もいませんでした。産科の周産期と腫瘍が王道と言われるなか、誰もやらない治療にこそ自分の道があると思い、不妊治療を専門としてやっていくことを決めました。

体外受精の際、自然周期採卵を行っていると聞きましたが、それはどのような方法ですか?

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私が不妊治療を始めてからしばらくは、排卵誘発剤を使った刺激周期の体外受精を行っていました。排卵誘発をして卵巣過剰刺激症候群になった患者さんが腹水や胸水が溜まり、苦しそうにしている様子を見るにつれ、「何かが違う」と感じるようになったんです。母体を危険な状態にさらして新しい命を生み出すことが私のやりたいことではない。そういう思いから勉強を始め、低刺激で排卵誘発をする自然周期採卵を学びました。単純に考えれば、卵子の数が増えれば出産につなげる確率が上がりますが、どれだけ卵子を多く採ったところで、卵子の状態が悪ければ着床率は下がります。逆に、一つの卵子しか採れなくてもそれが状態の良い卵子であれば、着床率は上がります。自然周期採卵は、自然妊娠と同じように一つの卵を大切に扱い、育てる体に負担の少ない治療なのです。

わらじを脱いで来てくれた患者のために尽くしたい

治療方針について教えてください。

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不必要な検査や治療は行わない、不必要な排卵誘発剤は使用しない、不必要な顕微授精は行わないという三つの方針があります。排卵誘発剤を大量に使用しなくても、卵胞の発育状態を診ながら必要最低限の内服薬と薬剤注射で自然な排卵を誘起する自然周期採卵をすることで、副作用を抑えて卵が採れます。卵巣への負担も少なく、状態の良い卵子を確保する方法を、患者さん一人ひとりに合わせて考えていくようにしています。顕微授精とは、精子を人の手で選び、人の手で受精させるもの。できる限り精子と卵子の力を信じて自然に近い治療をしたいと考えています。必要以上に医療の手助けをする必要はありません。この気持ちがベースとなった治療方針であり、その上に成り立つ高度生殖医療です。

行っていることは高度生殖医療であっても、できる限り自然妊娠に近づけた治療をするということなのですね。

そうですね。妊娠がゴールではなく、母になるための不妊治療と捉えています。私がいつも念頭に置いているのは、「患者さんが自分の家族だったらこの治療をするだろうか、この薬を使用するだろうか」ということ。妊娠の確率を上げることにこだわって不必要な治療はしたくないですし、妊娠出産後の体のことを見据えた治療でなければなりません。もちろん、わらじを脱いで私のところへ来て下さった患者さんの気持ちは大切ですから、妊娠という願いを叶えるために必要な技術や設備への投資は惜しみません。高度生殖補助医療と採卵移植技術等をそろえ、創意工夫をして患者さんの願いをバックアップしています。

患者さんのクチコミでは、院長先生はドライな印象という声も聞きますが。

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治療のためには厳しいことも突き放したことも言いますから、患者さんからすればドライと受け止められることもあるでしょう。患者さんに優しいだけでは、妊娠させてあげることはできません。私がスタッフによく言うのは、「私たち医師は患者さんの治療ためには手段を選ばない。だからその分、看護師が患者さんをフォローしてほしい。医師が使いやすい看護師ではなく、患者さんの気持ちに寄り添う看護師になってほしい」ということ。患者さんは心のケアをしにここに来るのではなく、妊娠するために来られていると思っています。私の使命は、患者さんに同情することではなく、ご夫婦の遺伝情報を持った子どもを抱いていただくこと。それでも全ての患者さんが妊娠するわけじゃないので、本音を言えばつらいこともたくさんあります。妊娠できない患者さんの気持ちも受け止めながら、ではどうしたら可能性を高められるかを日々、追及しながら前進するだけです。

定期的な勉強会の開催で患者の不安解消へ

不妊治療の内容は診察中だけでは十分理解できないこともあると思います。何か取り組みはありますか?

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治療に対する理解を深めてもらうため、毎月(12月を除く)不妊治療の勉強会を開催したり、当クリニックで初めて体外受精を受ける患者さんには毎週説明会も行っています。勉強会では個別に質疑応答の時間を設けるなど、できるだけ治療に関する不安や悩みをなくせるよう努めています。納得のいく説明・信頼を得るためには欠かせない啓発活動だと思っています。

不妊治療を考えている方へのアドバイスがあればお願いします。

夫婦生活を1年間送っても子どもができないというのであれば、不妊と考えた方がいいと思います。婦人科の検査で「問題ないから様子をみましょう」と言われたからと、さらに何年も様子をみている方もいらっしゃいますが、もし子どもが欲しいのであれば少しでも早く不妊治療に取り組むべきだと思います。45歳を超えると妊娠率は5%以下に下がると言われていますから、できるだけ早めに不妊治療専門クリニックで検査をしてほしいですね。当院では、初診から1年以内に妊娠ができるように最適で最短の不妊治療を心がけています。

とは言っても、晩婚傾向にある昨今、妊娠を望む40代の方も多いのではないでしょうか。

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一般の不妊治療(タイミング療法や人工授精)で妊娠が望めない場合、体外受精へのステップがあり、それぞれの状況に応じて治療法も選べるので安心してください。患者さんの多くは、体外受精を希望される30代から43歳ぐらいの方です。特定不妊治療費助成事業の対象年齢が43歳未満になったこともあり、43歳以上の患者さんが減りましたが、子どもが欲しいという気持ちに年齢は関係ないと思うので、当院では独自に43歳以上の方の助成制度を設けています。一番大切なことは、年齢のことで諦めるのではなく、自分に後悔のないようにすることなんじゃないでしょうか。私は患者さんにとって最後の砦になりたいと思っています。そのために、できうる限り最高の医療を提供し続けるつもりです。私の夢は、通院してくださる患者さん全てが妊娠して、私が必要なくなること。それがゴールです。

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