生田 克夫 院長の独自取材記事
いくたウィメンズクリニック
(名古屋市中区/栄駅)
最終更新日:2026/09/16
ポップな色合いで明るい雰囲気の「いくたウィメンズクリニック」。子ども向けの絵本やあめも用意されており、子ども連れでも気軽に行ける雰囲気だ。生田克夫院長は、患者から、人気ゲームのキャラクターに似ていると親しまれ、院内のあちこちにそのキャラクターグッズが置かれている。気軽にどんなことでも話しやすい雰囲気をつくるため、ほとんど白衣を着用せず、あえて敬語も使わないという。不妊治療で一番難しいのは、患者の心のケアだという院長。「患者さんとは時間をとって話をします。バタバタとしている環境は好きではないんです。きちんと患者さんの話を聞いて、話をして納得して帰ってもらいたいんです」と話す院長。一人ひとりの患者に思いやりのある言葉で接するベテラン医師を訪ねた。
(取材日2016年7月7日/情報更新日2026年9月14日)
患者の話に耳を傾け、納得して帰ってもらいたい
メインの患者層や、患者さんの来院のきっかけについて教えてください。

患者さんは不妊治療の方が7~8割、一般の婦人科の方が2割ほどですね。当初から40代の患者さんが多かったのですが、最近は若い方も増えてきました。ご来院になるきっかけは、やはりクチコミが多いですね。あとはインターネット上のクチコミサイトを見たという方も増えています。
開業に至るまでのお話と診察スタイルについてもお聞かせください。
私は名古屋市立大学医学部を卒業してから、同大学病院の分娩部助教授や産科婦人科学教室助教授として主に不妊治療を中心とした診療を行い、1986年からは体外受精の治療にも携わってきました。仕事が趣味のようなもので、もう30年以上もこの道に関わってきました。長年大学病院で勤務していましたが、患者さんとの関われる時間に限りが生じてしまうことに違和感を感じていました。もっと患者さんの声に耳を傾けて距離を近く感じていたいと思い開業を決意しました。ですので、診察に関しては、とにかくしっかりと患者さんの話を聞き、説明をし、納得して帰っていただくことを第一に考えています。初診の場合は必ず30分以上はじっくりとお話をします。これは、先輩医師の診療スタイルに影響されましたね。その方は説明がとても丁寧な先生で、よく勉強する方でした。
不妊が増えている背景について、どのようにお考えですか?

晩婚化と、結婚しない人が増えていることが大きいのではないでしょうか。晩婚化、つまり、若いうちに結婚を希望しない、若いうちに子どもに生活を邪魔されたくないと考える人が増えていることが大きいのではないでしょうか。少し前までマスコミで高齢妊娠・出産が大きく取り上げられ、アンケートでも45歳ぐらいまでは妊娠できると思っている方が非常に多くなりました。ある程度は不妊原因も解消されてきてはいますが、年齢の壁は非常に大きく、限界があります。やはり望ましいのは35歳くらいまででしょう。妊娠はしたいと思ったときにできるとは限りません。妊娠に関する正しい知識を持った上で今後のご夫婦のライフプランを考えていってほしいと思います。
妊娠する力を引き出すためにできることを全うしたい
治療の流れについて教えてください。

一般的な不妊の検査を行い、異常があれば検査を追加していきます。卵管の状態はどうか、精子が子宮の入り口にたどり着けているかなどを確認します。不妊の原因はさまざまですので、その方の原因に応じた治療法を行います。当院の考え方として、その方自身の「妊娠する力を引き出すこと、そして、それをどれだけ高めることができるか」を大切にしています。その力を引き出すための方法として、さまざまな治療方法についてその患者さんの状況に合わせてお話ししています。一般的な治療方法について、データに基づきながら妊娠の効率や、それぞれの治療のメリット、デメリットを説明しますが、大事なのはご夫婦が何を望まれるかです。私はご夫婦が決めた治療に向けてできることを全うしサポートしていきます。
年齢を重ねるごとに、妊娠するにあたってどのようなリスクが出てくるのでしょうか?
受精卵についてですが、20代ではその約3割に、30歳~35歳ではその約4割、35歳~40歳は約7割に異常があるとされています。やはり卵子も老化していきますので、なるべく卵子の質の良い時期に妊娠してほしいと思います。40歳以上になると、体外受精をしても、妊娠に至るのは10%程度といわれます。40歳以上の不妊治療は行わないという所もありますが、当院では患者さんが望まれる限りは45歳以上の方でも治療は行います。子どもをもつということは、ご夫婦の人生設計ですから不妊治療をするかしないかもご夫婦が決めることです。
不妊治療にあたって、一番大切にされていることはどのようなことですか?
一番難しいのは患者さんの心の問題です。お子さんを授かりたくて、とても大きなストレスを抱えておられます。そのストレスで卵管がうまく機能しないということもあります。ほかに問題がなく、ただ卵管が卵子をつかまえることができずに受精できていないだけという場合は、注射や薬で排卵の数を増やすと妊娠が見込める場合も多いです。また不妊治療を諦め、緊張感から解放されたときに妊娠する場合はこのような原因だった可能性が高いと思われます。診察では、患者さんが言いたいことを言えるような雰囲気づくりを大切にしています。そのためになるべく白衣も着ていません。お子さんを連れて来ていただいても結構です。
妊娠がわかってからも、8週間は貴院で様子を観察されるそうですね?

はい。妊娠がわかっても、流産のリスクがあるため妊娠8週までは当院で経過を観察してから、他院に紹介するようにしています。以前はすぐに他院にご紹介していたのですが、リスク管理のため、このようなスタイルにしました。その後の健診、分娩については、患者さんの希望に沿った医院をご紹介しています。
自分の体のことをよく知り、今後のライフプラン設計を
女性の仕事でのキャリアと結婚・出産・育児の選択についてはどのようにお考えですか?

現代では多くの女性が仕事を持ち、活躍しています。そのことはとても喜ばしいと思います。しかし結婚に適齢期はありませんが、分娩には適齢期があります。若い時は子どもが欲しくなかったが、急に欲しくなってきたのが40歳を過ぎてからだといろいろと難しい面が出てきますよね。人生設計も関わってきます。また、子どもを産んでも、預けられる場所がなくては働けませんし、安心して産める環境が整っているのかという大きな問題もありますしね。仕事のキャリアと、結婚や出産の兼ね合いは現実の問題としてはまだまだ非常に難しいですね。
やりがいを感じる瞬間はどのような場面ですか?
私にとっては来院される方が妊娠することではなく、元気な赤ちゃんが生まれることが目標ですので、流産や異常があれば非常に落ち込みますが、元気なお子さんを見ることができたら、良かったなと思います。受精卵を顕微鏡で見ることができ、子宮に戻して、そこから命になるというところにも神秘を感じますね。人工授精で生まれたお子さんに会うことができれば、「君の受精卵の時を見たよ」と思うでしょうね。そういったところが生きがいになっていると思います。
最後に読者へメッセージをお願いします。

子宮がん検診を受けるということ、そして、おりものの変化など「何かおかしいな」と思ったら婦人科を受診していただきたいと思います。子宮がんの低年齢化が進んでいます。私の以前いた大学病院では、まだ小さなお子さんがいらっしゃる女性が子宮がんで亡くなられたケースも受け持ったことがありました。このようなことは本当につらいことです。また不妊のことも含め、ご自身の体のことをよく知っておいていただきたいです。後から知っても遅かったということもありますので。私一人で診察をしておりますので、関わることのできる人数はそう多くはありませんが、何でも気軽にご相談いただければと思います。

