助産師と二人三脚での出産・育児
家族の不安に寄り添う外来
あいレディースクリニック
(岐阜市/西岐阜駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
「初めての出産。どうしたらいいの?」「2人目だけど、早く職場復帰するためには何をすれば……?」など、出産に不安はつきもの。そういった母親のあらゆる不安に丁寧に寄り添うのが「あいレディースクリニック」が行う助産師の外来だ。経験豊富な助産師が1対1で母親の不安に耳を傾け、時には家族にもコンタクトを取り、必要に応じて市とも連携するというきめ細かな内容だ。特にコロナ禍といわれる昨今では、母親の孤立が課題となっている。「出産・育児にご家族の協力は不可欠。オンラインも活用しながら健やかなお子さんが育つための環境づくりに尽力しています」と語る助産師の藤原真由さんに、妊娠から子育て、そして大人へとつながっていく同院の助産師の手厚いサポートについてじっくりと話を聞いた。
(取材日2021年9月29日)
目次
妊婦の意思を尊重しながら、助産師と二人三脚で行う出産。家族・行政とも連携し、十分なサポートを実施
- Q妊娠中のサポート体制について教えてください。
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A
当院では妊婦さんと助産師が1対1で30分ほどお話をする、助産師の外来を設けています。つわり(妊娠悪阻)の対処法などの他、バースプランといって、「どういうお産にしたいか」を妊婦さんとともに考えていく点に最も注力しています。お産自体もそうですが、お産の後どういう生活・授乳スタイルにしたいのかなどを早い段階から話し合っておくと、トラブルも回避しやすくなりますよね。同時にご家族のサポート体制もヒアリングします。サポートが少なそうだとわかれば市とも連携し、保健師さんに電話や訪問をしてもらうよう依頼します。一人で抱え込まず、体調のこと、仕事復帰のことなど何でも相談できる場所がこの外来なんです。
- Qバースプランとは、具体的にどのようなものなのでしょうか?
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A
例えば「主人に立ち会ってほしい」「胎盤を見たい」「分娩時には好きな音楽を流したい」など、本当にさまざまです。特に初産の方は何をしたらいいのかわからないと感じておられます。だからこそ子育て経験のあるスタッフとともに考えていくんです。できる限り「産んで良かった」と思ってもらえるようなお産にしていきたいと考えています。また当院ではさまざまな対策を講じながら、立ち会い分娩も引き続き行っています。旦那さんは奥さんの痛みそのものを感じることはできなくとも、陣痛時に腰をさすったりと、経験を共有することはできますよね。そうすればお子さんが生まれたという実感も湧き、愛情ももっと深まると思うのです。
- Q産後の支援にも注力されていますね。
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A
実際に家に帰って赤ちゃんと生活してみると、また新しい課題などが出てくることも。そんなお母さんの負担を軽減するための産後ケア入院があります。岐阜市だと補助金も出ますし、入院してゆっくり過ごすのはもちろん、美容院に行く際やランチ時間だけ託児所に預けるなど活用方法もさまざまです。また赤ちゃんの症状やご自身の心配事など何でも話せる、24時間いつでもつながる電話も用意しています。定期的な検診時にはアンケートを取りますが、精神的なゆらぎが見られる場合はすぐに助産師につないでいます。一見笑顔であっても、話すとホッとして涙される方も多いのです。クリニック自体がお母さんのライフラインになれたらうれしいですね。
- Q母乳育児の相談にも乗っておられるとか。
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A
母乳・ミルク・両方の混合など、こちらもバースプランでどうしたいのかを考えてもらいますが、実際にそのとおりにできるとは限りませんよね。母乳の予定でも、出が悪い・飲ませているうちに皮膚が切れて痛いなど想定外のこともあります。そうなれば適宜ミルクを取り入れるなどの対応策の提示や、最終的には卒乳までの道のりも提示していきます。また乳腺炎予防のためのマッサージも行っていますし、母乳だと「ちゃんと飲めているか不安」という声もありますから、そういう時はクリニックで授乳前後の赤ちゃんの体重を測ってもらいます。そうして一つ一つ不安を解消していく。あくまでお母さんご本人の気持ちを尊重することが一番大切なんですよ。
- Q育児に関しても、ご家族を含めたサポートを行っているとか。
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A
お産は家族の一大イベントですが、お産がゴールではなく、その後の育児こそが本当に難しいもの。だからこそお母さんが孤立しないことが重要です。現在は出産前の母親教室はオンラインで開催していますが、旦那さんも一緒に見られるというメリットもありますね。時にはビデオ通話で旦那さんとしっかりお話しすることもあります。お母さんは本当に頑張っておられます。でも「育児はできて当たり前」という思い込みがどうしてもありますから、旦那さんにはぜひ奥さんをいたわってあげてほしいですし、奥さんも遠慮せず旦那さんや実家などを頼ってほしいのです。そういったご家族や行政との連携のサポートも、私たちの役目であると感じています。