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和座 一弘 院長の独自取材記事

医療法人社団弘知会 わざクリニック

(松戸市/馬橋駅)

最終更新日:2019/08/28

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馬橋駅から2分。「わざクリニック」は、小児科、内科、胃腸科を診療科目に掲げる地域密着型のクリニックだ。和座一弘院長は、国内でもかなり早い時期に家庭医療学を体系だてて研究し、なおかつ米国においても家庭医療学を、特に健康についてはじめに相談する医療機関として「プライマリケア」の観点から深く学んできた。そのため、親子で来院して子どもの風邪を診てもらったその場で、親のほうの体調の相談もできる、などのような融通の利く治療も届けられているのだそう。「かかりつけ医」としての愛情の深い話を聞いた。
(取材日2017年6月24日)

これからはプライマリケア、と聞いて家庭医を志す

医師になったきっかけを、教えてください。

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私が小学生の時に医学部在学中の大学生だった、おじがきっかけです。おじは今も整形外科の医師をしていますが。そのおじが家に遊びに来るたびに、父親や母親は、体や健康のことについてあれこれ聞くんです。それで、安心した顔になる。こんなにも人に頼りにされるっていいなと思ったんです。そのイメージを持ったまま、私も新潟大学医学部に進学しました。おじの姿を見ていたから、組織の中で特定の分野を究めるよりは、いわゆる「町のお医者さん」に憧れていたのですが、その思いがさらに強まったのは、学部時代の学園祭で聞いた高名な日野原先生の講演でした。講演を聴いたのは1980年代のはじめですが、引退されて100歳を越えても現役でいらっしゃったその先生が、「21世紀は地域の中で患者に近い存在としての診療を行う、プライマリケアの時代になる」と情熱的におっしゃっていたんです。その通りだ、と感じました。

大学卒業後は、家庭医(総合医)育成プログラムを持つ自治医科大学で、研修医をされています。

自治医科大学の地域医療学教室に研修医第1号として入らせてもらいました。さきほどの先生の講演と前後して、同じ新潟大学の出身で自治医科大学で教えていらした教授の地域医療にまつわる講演も聞き、感銘を受けていたんです。当時は、まだ総合医なんて言葉もない時期で、大学の個別の教室として家庭医を育成するカリキュラムを組んでいたのも自治医科大学ぐらいだったのではなかったのかな。若い私の気持ちに応えてくださる先生が多くて、本当に実りのある修業時代を過ごさせてもらいました。

その後、アメリカでも家庭医療学を学ばれた後、自治医科大学で診療、研究、教育にあたられていますね。

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アメリカでは、患者と面談する研修医の姿を指導医師が見て、アドバイスをする時の「あの時はこう言えば良かったのではないか」というフィードバックの具体性に驚きましたね。しかも、指導医師がアドバイスをしている姿を見て、さらに「その指導の仕方で良いかどうか」までアドバイスする立場の医師がいました。当時、日本から見たら進んでいる部分も多かったアメリカの家庭医のやり方を見られて、勉強になったんです。帰国後は、若い医師を指導しながら、大いに刺激をもらいました。「家庭医」というものをめざすなら、その頃には自治医科大学をはじめ数校しか受け入れてもらえる医局はないという中に来てくれている若い医師たちだったのですね。だからこそ、モチベーションの部分ですごく良いものを持っているんです。夜遅くまで、本当にいろんな医療談義を交わし合ったものでした。今、そこで学んだ彼らは全国各地で活躍してくれていますよ。

開院後、半年で軌道に乗ってからは地域診療にまい進

2001年、馬橋でクリニックを開院されました。

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いずれ、どこかの地域の患者さんの近くの現場の医師として診療をしたかったから、ご縁をいただいてこの地に来られたことも、良かったなぁと思います。少し心配もあったのですけどね。私のような、いわば総合的に何でも診ていくあり方は、例えば、へき地医療などでは本当に重視されるのです。しかし、近隣にさまざまな分野を究めた医師が多くいる都市において、患者さんにその良さをわかってもらえるのだろうか、と。私自身としては、専門分化が進むほど、むしろ最初に患者さんをナビゲートするような窓口としてのプライマリケアが要るだろうという考えは揺らいでいなかったのですが、実際に受け入れられるかどうかはわかっていなかった。しかし、開院して半年もすれば、子どもも大人も一緒に診られるという自由度の高いスタイルが認められて軌道に乗りましたからね。あとはもう、地域医療にまい進してきました。

今おっしゃった「自由度の高いスタイル」とは、具体的にはどのようなものですか?

子どもの風邪などの診療のために、親子連れで医院に来るということもありますよね。その時に、例えばお母さん自身にいろんな健康上の不安があったら、そのまま相談できるということなどが挙げられます。通常は、小児科に行って、その後に内科に行って、としなければならないところを、一緒に診られるわけですから。そのようなスタイルは、育児で忙しい親御さんにはありがたいと言っていただけることが多くありました。昨年からは、当ビルの別の階にて病児保育を始めました。働くお母さんも多い中で、子どもが病気になり、保育園で受け入れてもらえない時に、勤めを休まねばならないケースが多かったですからね。そんな中で、お母さんも働けて、それからお子さんたちも寂しくないように、という場ができました。

家庭医療の進歩を感じるところはありますか?

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医師会の活動を通して実現できたことなどはそのように感じますね。私は松戸市の医師会で会長をさせてもらっているのですが、300人から400人ほどの医師の意見を集約して市に対して話を持っていけることは、患者さんの生活の改善に直につながるな、と実感しております。そのような動きがあるからこそ、松戸市では、例えばロタワクチンに関しては費用の半額が助成されます。さらにB型肝炎ウイルスは1才から3才までは予防接種費用の半額を市が出すようになっています。おたふくに関しても、小学校に入る前に受ける2回の予防接種には共に助成が入ります。これらは私たちが提案したからこそ実現したのですね。今はたまたま子どものお話をしましたが、超音波エコーによる乳がん検診、内視鏡による胃がん検診なども、医師会の提案によってより市がバックアップしてくれるようになりました。これも公共の福祉につながる医療だと思うのです。

医療を通して人の尊厳に触れられ、良い仲間に出会えた

医師としての醍醐味は、どのような時にお感じになりますか?

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まずは、人間の尊厳のようなものに触れられる時がそうですね。当院は、いわゆるターミナルケアも行います。数日後に死を迎えるとご本人も周囲も皆がわかっている時もよくあります。それでも、アルコールで腕を消毒した際に患者さんがおっしゃる「アルコールのにおいで酔ってしまうよ」なんていうジョークが、ご家族も私たち医療者をもやわらげてくださり、良い時間が流れるといったことがよくあるのです。こちらが学ばせていただくことの多い、人対人のやりとりをさせていただいているよな、と診療を通して痛感しています。また、医師会などを通して周囲の仲間と言える医師の皆さんにお会いできて、これも本当にうれしいことだと思っています。だからこそ、たまたま留守にしなければならない時に、周囲の先生に安心しておまかせもできて、それで患者さんに後から感謝までされるほどの良い診療をしていただくことさえあるのです。

お忙しいとは思いますが、診療の合間の息抜きは何をされていますか?

たまに旅行に出かけることがリフレッシュになっています。サックスも演奏するんですよ。ただ、私が家の中で演奏をはじめると、まず、飼い猫がどこかに逃げていき、少し経つと、妻もいなくなる(笑)。まぁ、自分らしく演奏を楽しんでいます。

最後に、患者へのメッセージをお願いします。

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患者さん自身には、いろいろな悩みがあるだろうと思います。医師に対して聞きたいことも、本当はほんの少ししか聞いていないのかもしれません。だからこそ、やっぱり遠慮なく聞いていただきたいですね。私に対応できることならもちろん、そうでなくても、周囲の専門的なさまざまな先生方と、開業後16年ほどをかけて築いてきたネットワークがありますから、ほんとうにはじめに相談する窓口として、当院を使いこなしていただければと思います。

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