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金子 元英 院長の独自取材記事

かねこ内科リウマチ科クリニック

(川口市/新井宿駅)

最終更新日:2025/02/27

金子元英院長 かねこ内科リウマチ科クリニック main

新井宿から徒歩5分の場所にある「かねこ内科リウマチ科クリニック」。金子元英院長は、大学病院を経て日本リウマチ学会認定リウマチ専門医として経験を積んできた。先端の治療法と、多くの臨床で集められた情報・分析に基づき、専門的な治療を提供している。2004年の開業以来、特に新型コロナウイルスの流行を経て、「医療事情も患者さんの意識も大きく変わった」と話す金子院長。現代の医療には傾聴力・分析力・関係構築力が不可欠と考え、スタッフたちとチーム一丸となり、信頼されるクリニックづくりに努めている。「心こそ大切なれ」をモットーに、地域のかかりつけ医として尽力する金子院長に話を聞いた。

(取材日2024年10月21日)

今の医療に必要なのは、傾聴力・分析力・関係構築力

開業から20年たち、患者層などに変化はありましたか?

金子元英院長 かねこ内科リウマチ科クリニック1

患者さんの主訴の割合はさほど変わりません。リウマチの患者さんが多く、およそ3人に1人。男女比は3対7で、女性の患者さんがとても多いですね。次いで内科的疾患、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と続き、糖尿病・高血圧症・脂質異常症など複数の症状を抱えた生活習慣病の方もいらっしゃいます。ただ、この数年の新型コロナウイルスの流行の影響で長期処方が増え、患者さんとの会話の密度は濃くなりました。それまでは前回からの2週間ないしは1ヵ月の様子を伺っていたものが、2ヵ月から3ヵ月の様子について確認するようになったからです。患者さんも、私に話したいことが長期間たまっているわけです。患者さんの数は、外出規制の期間中こそ減りましたが、長期処方で会話の密度が濃くなったまま、現在は新型コロナウイルスの流行以前と同様か、むしろ増えています。

新型コロナウイルスの感染拡大時をどのようにして乗り切ってこられたのでしょうか?

新型コロナウイルスの流行で病気の扱いや診療の方法など医療事情が大きく変化し、患者さんの意識も変わり、世の中全体が混沌としています。そのような時代であっても、当院は地域のかかりつけ医ですから、受診を希望されるすべての患者さんに対応したい。そのためには時間が足りなかったので、診療時間を朝6時半からに早めました。また、リウマチや膠原病の患者さんは感染症にかかりやすく、重症化しやすい傾向にあります。つまり、発熱で行き場がなくてお困りの方の中には、リウマチや膠原病の患者さんも多くいらっしゃるのです。当院では発熱のある患者さんに対して、院外に設けたプレハブで対応しています。これらの工夫は「何かあった際に、まず相談できる場所」という地域のかかりつけ医としての責任感からでもありますし、患者さんの希望に応えられなくては信頼を得ることは難しいでしょう。

世の中が変わり、医療に求められるものも変わってきているのでしょうか?

金子元英院長 かねこ内科リウマチ科クリニック2

そのとおりです。今のかかりつけ医には傾聴力・分析力・関係構築力が不可欠だと、私は考えています。「傾聴力」とは、適度な距離感を持って対話を重ねて、客観的な視点から得られた情報を精査して、正確な診断につなげること。これまでの経験が大いに役立っています。「分析力」とは、決められた治療法や検査データの基準値だけでなく、患者さんの生の声から特徴を掴み、自分自身の判断力や想像力を加えて柔軟に対応すること。もととなるデータの精度向上の一環として、エックス線のAI分析システムも導入しています。そして「関係構築力」とは、人と人として、本音で話し合えるような関係性づくりです。傾聴力・分析力・関係構築力の3つの力が相互に関わり合うことが重要で、そうして初めて患者さんのかかりつけ医でいられるのだと思います。

個々が責任感を持ち、信頼されるクリニックをつくる

診療の際に心がけていることはありますか?

金子元英院長 かねこ内科リウマチ科クリニック3

先ほどの3つの力を前提とした上で、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、信頼してもらえるよう心がけています。関節リウマチにストレスは禁物ですが、世間ではステイホーム期間にストレスを感じた方も多いと聞きます。暗いニュースばかりで、コミュニケーションがないからです。やはり直接会っての会話が大切だと、多くの方が感じたのではないでしょうか。私は「心こそ大切なれ」という気持ちを忘れず、病気より人を診ようと努めています。診断も検査結果により医師が行うだけではなく、患者さんがどう感じているかを必ず聞いています。これは患者報告アウトカム(PRO)と呼ばれるものですが、私はその先の「エフェクティブネス」を意識しています。

「エフェクティブネス」とはどのようなことを指すのでしょうか?

医療で大切なエフィカシー・セーフティー・アウトカムの先にある、さらに上の目的です。エフィカシーとは効果・効能のこと。治験などで良い結果が得られた時に使う言葉です。セーフティーは安全性。有害事象を知ることも大切ですね。アウトカムは患者さんの所感や意見です。その先にあるのが「エフェクティブネス」、現実的なトータルでの効果です。患者さんは笑顔を取り戻せているか、支障のない生活を送れているか。さらに言えば、それを患者さんが喜びと感じているか。それを知る指標の一つは「紹介」だと思っています。心身ともに満足を感じなければ、家族や知人に当院を紹介しませんよね。そして紹介した知人が同じように満足してくれれば、紹介した患者さんもうれしく感じるでしょう。ここでもコミュニケーションが生き、アウトカムと信頼が生まれます。

チーム連携にも力を入れていると伺いました。

金子元英院長 かねこ内科リウマチ科クリニック4

はい。先の3つの力のうち、特に「関係構築力」はスタッフの努力なしには成し得ません。例えばインターネットで医療機関のクチコミを見てみると、医師の技量だけでなく、受付の対応、待ち時間、看護師による処置など、その内容は多岐にわたります。それだけ患者さんが医療機関に求めるものが広がっているわけです。医師、看護師、事務スタッフ、その間を取り持つメディカルナビゲーターも、一人ひとりがその役割に責任感を持つことが大切。私のモットーでもある「心こそ大切なれ」の精神を全スタッフが持ちながら、信頼されるクリニックづくりに努めています。

喜怒哀楽の先にある、充実や満足を大切に

先生の専門でもある「関節リウマチ」とはどのような病気ですか?

金子元英院長 かねこ内科リウマチ科クリニック5

関節リウマチはリウマチの疾患の一つです。免疫異常によりサイトカインというタンパク質の影響を受け、関節が不可逆的に壊れていく状態を指します。30代以降の女性に多く、妊娠・出産・ストレス・喫煙による影響、また素因として家族歴もありますね。関節リウマチの主な発生場所は手指や細かい関節ですが、関節がある場所ならば足でも腰でも、全身のあらゆる箇所に痛みが出てきます。関節のみならず、内臓も侵される可能性もあるんですよ。特に、肺・腎臓・胃・心臓・脳に影響を及ぼします。治療は、運動のアドバイスと投薬治療を中心に行います。投薬とひと口に言っても生物学的製剤の治療を中心にさまざまな方法がありますので、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医の立場からメリット・デメリットをご説明します。

関節リウマチの治療に際し、注意すべきことを教えてください。

継続的に、しっかりコントロールしていくことがとても大切です。例えば新型コロナウイルスの流行下でも、ウイルスによるリウマチ治療への悪影響は見られませんでした。一方、治療中断などによる症状悪化は症例研究会でも報告されています。薬が切れているのに外出を恐れて通院しない、適度な運動もやめてしまったといったケースです。適切な治療を継続しないと、症状が悪化して体は衰弱してしまいます。当院では、患者さんといつでも連絡の取れる体制を整え、建物を分けて発熱の症状のある患者さんの診療にも対応しています。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

金子元英院長 かねこ内科リウマチ科クリニック6

喜怒哀楽のすべてを大切に、哀しくなったり怒りたくなったりするような状況でも、それを乗り越えた先にある充実や満足に目を向けてほしいと思います。私が患者さんによく話す例え話があるのですが、「楽」という字がありますね。「ラク」をしすぎると根っこ(くさかんむり)が生えて「薬」になってしまいます。薬を飲まなくてはならない状態になり、その根っこが古びた先は「苦しい」です。楽しいことは長くは続かないし、楽が苦しさにつながってしまうこともある。逆に今はつらいと思っても、いずれ明ける日が来るでしょう。これはすべてにおいて言えることで、関節リウマチの治療も例外ではありません。患者さんが喜怒哀楽を乗り越えて充実した日々を送れるよう、私たちは力を尽くします。

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