田村 清明 院長の独自取材記事
田村クリニック
(世田谷区/千歳烏山駅)
最終更新日:2021/10/12
千歳烏山駅から商店街を抜けて徒歩8分ほどのところにある「田村クリニック」。自動ドアの入口を入ると、清潔でシンプルな中にも安心感を覚える待合室が現れる。院長の田村清明先生は、穏やかな口調と丁寧な対応で迎えてくれた。取材中には、患者に接するときと同じようにパンフレットや資料などを使いながら、わかりやすい説明をする姿が印象的だった。そんな田村先生に、医師を志したきっかけや現在の診療方針などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2009年10月26日/更新日2020年9月17日)
子どもの頃から「外科医」に憧れて
そもそも医師を志したきっかけは?
子どもの頃から漠然と「外科医ってかっこいいなあ」と思っていたんです。あくまで幼い頃に抱いたイメージですが、白衣を翻してさっそうと歩いている感じや、急に容体が悪くなってしまった患者さんのもとに走っていく様子、手術を終えて手術室から出てくる姿、そういうのに憧れたんですね。だから、医師になろうと思ったというより、「外科医になろう」と思ったんです。他の科は考えてなかったんですよ。あと、父親がやはり外科医だったものですから、その影響もあるのかもしれません。でも、父から「医師になれ」とは一言も言われなかったですけどね(笑)。
お父さまも、千歳烏山で医院を開いていたとか。
はい。もともと、ここから100mも離れていないところで「千歳医院」というクリニックを開いていました。1999年に父が他界したので、私がそれを引き継ぐかたちでしばらくやっておりました。ただそこは、建物自体が老朽化していましたので、2005年の12月にこちらに移転し、新たに「田村クリニック」として開院したんです。結果として父が亡くなったことが開業のきっかけとなったわけですが、もし父が亡くならなければ、もう少し外科の勤務医を続けていたかもしれないですね。
こちらの診療科目について教えてください。
まず内科と外科ですね。また、大学で専攻していたのが消化器の外科だったので、消化器内科も得意とするところです。それにプラスして、場所柄、ご高齢者が多いので、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の相談にも乗ります。消化器内科のほか胃腸内科も標榜していますので、患者さんには何科かどうかは気にせずに来ていただければと思います。あとは肛門内科ですね。こちらは主に痔の症状で来られる方が多いです。手術が必要な場合は肛門外科の分野になるので、手術できる環境が整った病院を紹介していますが、座薬や飲み薬、塗り薬、あとは生活上の工夫で何とかなりそうなら、当院で薬を処方して治療していきます。痔は完全に治すことが難しい病気ですが、がんのような悪性の病気ではないので、基本的に日常生活に不便がないものであれば、無理に手術する必要はないと思っています。もちろん、痛みと出血がひどく排便困難がある場合には手術をお勧めします。
紙資料を一緒に読みながら、確実な理解を
最近増えてきたなと感じる病気はありますか?
そうですね、強いてあげるとすれば「逆流性食道炎」です。みぞおちの不快感から胸やけの症状を訴える方が少し増えてきているような印象はあります。要するに胃液の逆流なんですが、胃と食道の間にある括約筋の緩みや、食べ物の欧米化、大食い、早食いの習慣などから増加していると考えられています。また、香辛料のきついもの、極端に酸っぱいもの、油っぽいもの、そういうものを多く摂取すると胃酸の分泌が増えて、逆流しやすくなるんです。括約筋が緩んでしまうのは、背中の曲がった高齢の女性に多いんですが、最近若い方にも増えてきましたね。姿勢の悪化や肥満も原因の一つになります。運動不足、カロリーオーバーなど、肥満傾向になると胃液の逆流は起こりやすくなります。
患者さんに説明する際に、心がけていることは?
やはり、こちらが一方的に話しているだけだと、なかなかイメージがわかないと思うので、なるべくパンフレットなどの紙資料を用いて、一緒に読みながら症状を確認していくようにしています。そのほうが、患者さんも理解しやすいですから。その症状がなぜ起こっているかということを具体的に説明するようにして、どういうことに気をつけるべきか、食生活にしても、食べるもの、食べる量、食べる質について、患者さんに納得してもらえるまできちんと説明します。
理解してもらうのに、時間がかかることもあるのでは?
そうですね。でも、結局「丁寧にやっていくこと」が一番大事だと思っています。医師としては当たり前のことですが、適当にやらないということです。一方で、一人ひとりの患者さんに理解してもらえるような説明を心がけていると、やはりどうしても診察時間が長くなってしまうこともあるんです。でも待たされたと言って怒る方は、ほとんどいらっしゃらないのでありがたく思っています。お待たせしている方には申し訳ないなと思うのですが、そこをおろそかにしてしまうと、こちらが伝えたつもりでいたことも、患者さんはまったく違った解釈をされたりもしますから。高齢の方も多いですし、より丁寧にお話をするようにしています。
「これなら平気」と言われる内視鏡検査をめざして
先生は、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医でもいらっしゃいますね。
はい。消化器と内視鏡が専門領域で、内視鏡に関しては鼻から入れられる新しい機器を導入しています。内視鏡というと、おえっとなりやすい苦しいイメージを持っている方もいると思うのですが、「これなら、年1回は受けてもいいかな」と思えるような、不安を払拭できる検査を心がけています。鼻からの検査でも難しい方には、鎮静剤を使った検査を行うこともあります。ただ、鎮静剤は人によってはリスクもありますので、健康状態を見ながら患者さんと相談した上で使っています。いずれにせよ、「ここで受けた胃カメラは楽だった」と言ってもらえたらうれしいですね。あと特に女性の場合、バリウムを飲むと便秘になりやすく、処方される下剤を飲んでも便が出なくて苦しまれた経験のある方もいらっしゃいます。そういう場合は内視鏡を選択されますね。検査後の負担も考慮して、検査方法を選択していただきたいと思います。
勤務医時代と開業後の現在とで、医師としてのやりがいに変化は?
外科の勤務医だった時は、手術をして悪い部分を取り除いて治癒に導くということに手応えを感じていましたが、現在は、内視鏡で早期の胃がんを発見できた時に感じますね。特に、おなかを切らずに内視鏡だけで治癒できそうな早期の段階で発見できた時には、医師として本当に良かったなと感じます。胃がんも初期に見つければ、タイプにもよりますが、昔のように胃を全部摘出するとか、5分の4取るとか、そういうことをしなくても、内視鏡を使って切り取るだけで治癒につなげることが可能になりました。なので、そういう段階で疾患を発見することが、今は一番のやりがいになっていますね。
最後に、田村先生の休日の過ごし方は?
学生時代からスポーツをすることが好きです。医局員時代には、大学病院の中での野球大会などもありました。例えば「外科VS第一内科」とか、医局間での対抗戦があったんですよ。体を動かすのは好きだったので、そういうのには毎回参加していました。小学生の時にも僕らの世代はご多分に漏れず、みんな野球少年でしたから、本当に野球ばかりしていました。ただ、最近は体を動かす機会が減ってしまって、だんだん自分が「メタボ」になってきたような気がして(笑)。休日は、何もせずにのんびりすることが多いですね。たまに、昼過ぎくらいから飲むこともあります。お酒は強くはないんですけど、好きですね。大人数でわいわいやるのが好きなんです。