森本 哲郎 院長の独自取材記事
海岸歯科室
(千葉市美浜区/稲毛海岸駅)
最終更新日:2025/09/12

JR京葉線・稲毛海岸駅南口そばの医療ビル3階にある「海岸歯科室」。これまで30年以上、地域に根差した診療をしてきた同院は、森本哲郎院長はじめ各歯科医師がそれぞれの専門を生かした対応によって、「歯科の綜合病院」のような役割を担っている。2024年11月には院内に歯科技工室を新設し、技工物の作製もワンストップで行えるようになっている。また、分院として「海岸歯科室CHIBA STATION」と「海岸歯科ORALCARE」の2院を展開し、連携を図っている。そんな同院の特徴や歯科医療への思いについて森本院長に聞いた。
(取材日2025年5月28日)
広い院内で快適な診療環境を実現、歯科技工室も新設
とてもゆったりとした雰囲気の院内ですね。

当院は30年以上、すぐ近くのビルで開業していました。おかげさまで患者さんも増えて、少し手狭になってきたと感じていたところ、この広いスペースの取れる医療ビルが新築されるという話があり、2023年、ここに移転いたしました。「歯科の総合病院」のような機能を持つクリニックにしていきたいという考えもあり、ここなら理想とするクリニックがつくれるのではないかと思ったのです。以前は小児歯科を中心としたファミリーで通えるよう、道路を挟んだ所に分院も開設していましたが、分院も合体させて小さいお子さんから親子連れの方、大人の方々まで幅広く患者さんを診療できるようになっています。
院内の造りもかなり工夫されていますね。
広いスペースを生かして、診療室を大人用と小児用に分けています。白と木目を基調とした大人用の診療スペースにはユニットを14台設置し、全体的に解放感がありつつも個室的なイメージを持たせています。小児用の診療室は、お子さんたちが楽しく通院できるような仕かけを施しています。内装はまるで海の中に潜っているようなイメージで、壁や床には太陽の光に揺らぐ海底の砂や魚などの絵を描いています。天井には治療中に好きなアニメなどを見られるようモニターを設置しています。小児用診療室の手前には親子一緒に来られた保護者用のユニットも設置しています。また、待合室の横には、魚が泳ぐ水槽やタッチパネルで遊べるモニター機器を設置して、お子さんたちが待ち時間も楽しめるよう工夫しています。
歯科技工室を新設されたそうですね。

2024年11月に、歯科技工室を1階に新設しました。質の高い歯科治療のためには歯科技工所との密な連携がとても重要です。ですが、今は歯科技工士をめざす人が減少傾向で、今後は歯科技工所も減っていくと想定されています。歯科技工所が減ると需要と供給のバランスが崩れ、どこか一つの技工所に製作依頼が集中してしまい、納期がどんどん遅れてしまうことが考えられます。その分、治療に時間がかかり、患者さんにも不利益が生じます。そんなことにならないよう今のうちに歯科技工物を確実に提供できる体制を整えておく必要があると考えたのです。
院内に歯科技工所があるメリットはどんなことですか。
お互いの連携がしっかり取れることですね。歯科技工士が直接患者さんの口の中や歯並びなどを見て、患者さんの要望を聞くことができます。歯の色や形、長さなど細かい点まで確認できますので、より精密できれいな技工物を作製しやすいです。従来は、画像データを見て歯の色などを決めていましたが、やはり色の微妙な違いが出ることもあります。ですが、歯科技工士が直接見ればより精密に色合いの再現がめざせます。歯科技工士は皆さん、自分の目で患者さんの歯を確認した上で技工物を作製したいと考えていると思います。そのほうが格段に技工物の品質が向上しやすいですから。院内での作製なら、品質だけでなく治療期間の短縮にもつながります。
自身の歯を残すための矯正やインプラント治療に注力
診療方針をお聞かせください。

診療において目標にしていることは、一生涯にわたってご自身の歯を健康的に維持していただけるようにすることです。患者さんが歯を1本も抜くことなく、すべて自分の歯という状態でおいしく楽しく食事ができることを最も重視しています。具体的には80歳を迎える時にご自身の歯が26本残っているようにすること。そのためには、まずは子どもの頃から口腔環境を整えていくことが大切となります。子どもの虫歯の予防だけでなく、顎の骨の正しい成長を促すことも重要です。そういう意味で、当院では子どもたちの虫歯予防と口腔発育に力を入れています。また、すでに歯を失ってしまった方や歯を抜かなくてはならなくなった方に対しては、今残っているご自身の歯を守り、それ以上口腔環境が悪くならないためにはどうすれば良いか、一人ひとりに最適と考える治療法を提案、実践しています。
診療の際、どのようなことを大切になさっていますか。
常に患者さんの視点に立って考えていくことです。患者さんが今、どう思っているのだろう、どんなことを不安に感じているのだろう、など患者さんの気持ちを常に意識することが大切だと思っています。患者さんそれぞれ歯科医院に求めることや相談したいことも異なります。症状の悩みだけでなく、歯科治療が怖い、痛そう、と不安に感じている方も多いでしょう。そんな不安や恐怖心をできるだけ払拭してリラックスしていただけるよう、その方の気持ちや考えをよく聞き取って丁寧に対応するよう努めています。
特に力を入れている分野について教えてください。

先ほどお話ししたようにご自身の歯を残すために重要な治療として、歯周病治療、矯正、インプラント治療に力を入れています。歯周病は、歯を失う大きな原因となるだけでなく、糖尿病や心疾患などさまざまな全身疾患と深い関連がありますので、体の健康維持という点でも重要です。当院では重度に進行して歯周組織が破壊されているような場合でも、歯槽骨の再生療法などで対応可能です。矯正も単に外見を整えるためと審美的な目的だけでなく、噛み合わせのバランスの調整や口腔機能の改善をめざすという意味で重視しています。すでに歯を失ってしまった場合には、他の残っている歯に影響を及ぼすことの少ないインプラント治療が有用です。これらの治療は各分野を専門とする歯科医師が担当し、各症例に適した治療を提供しています。
歯科医師などスタッフさんも多いですね。
今、歯科医師は14人、歯科衛生士は25人程度在籍しています。診療ではそれぞれ担当の歯科医師がつきますが、今お話ししましたように症状によって歯周病や根管治療、矯正歯科、口腔外科、インプラント治療など各領域を専門とする歯科医師と連携を取りながら、より専門性の高い歯科医療を提供しています。歯科医師の中には向上心が高く、休日に勉強会などに自主的に参加している者もいます。
地域での最後の砦になれるよう、さらに専門性の向上を
地域での役割もますます大きいですね。

もともと母校の付属病院である旧・東京歯科大学千葉病院との連携を考えて、稲毛海岸駅近くに開業したという経緯があります。ただ、同大学病院の大学機能が東京に移転し、東京歯科大学千葉歯科医療センターとして残ったこともあり、遠方の大学病院に行かずとも地域のクリニックで、大学病院や総合病院のように専門的な歯科医療を受けられることがより重要になったのではと感じています。
ところで先生はなぜ歯科医師をめざされたのですか。
祖父、祖母、そして父が歯科医師でしたので、その影響が大きいと思います。診療所が自宅に併設されていましたので父の姿を見て育ってきました。ただ高校2年生くらいまではサラリーマンに憧れていたんです。当時のサラリーマンは、スーツを着て黒いアタッシュケースを持って颯爽と働く、そんなイメージでした。高校3年になって真剣に将来を考えた時に、自分の進むべき道はやはり歯科医師なのではないかと。実際、歯科医師になってみると患者さんから感謝されることばかりで、歯科医師になったかいがあると感じています。
今後の展望とメッセージをお願いいたします。

今後はさらに各分野の専門性を高めて、大学病院と同じような治療ができるよう医療体制を拡充していきたいですね。当院で対応できない場合は、もう他のどこでも対応できない、当院が最後の砦、というくらいまで医療レベルを高めていきたいですね。そのためにもまだまだ勉強していく必要がありますので、スタッフ一同、より研鑽に努めていきたいと思います。これからも稲毛海岸エリアにお住まいの方々、一人でも多くの方がお口の中から健康になっていただけるよう地域に貢献していきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯周組織再生療法 /7万円~、インプラント治療(1本)/38万円~、歯列矯正(相談・検査・診断・治療までの標準料金)/24万2000円~
※症例によって費用が異なる場合がございますので、詳細はクリニックにお問い合わせください。