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菅沼 信也 院長の独自取材記事

腎内科クリニック世田谷

(世田谷区/千歳烏山駅)

最終更新日:2021/03/04

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人工透析用のベッド55床を備える「腎内科クリニック世田谷」。「東京で一番の人工透析施設」をめざして先進の装置を導入し、質の高い快適な透析を追求する。血液透析(HD)は週3日、1回約4~6時間が一般的だが、透析量を増やせば食事制限の緩和や栄養状態の改善、合併症リスクの低減が見込めることから、同院は長時間・多頻度の透析治療を推進する。菅沼信也院長は「元気で長生き」のためにしっかり食べて動く「しっかり透析」を提唱。血液透析(HD)では準夜透析やオーバーナイト透析も提供する他、在宅治療が可能な在宅血液透析(HHD)や腹膜透析(PD)も実施。「血液透析(HD)と腹膜透析(PD)の利点を組み合わせるなど豊富な選択肢も強み」という院長に、同院の透析治療について話を聞いた。(取材日2020年8月28日)

「元気で長生き」を支えるための先進の設備と治療法

腎臓の機能を守る、あるいは代替する目的の治療に特化したクリニックと聞きました。

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はい。腎臓は造血や血圧調整に関わるホルモンの分泌や、血液中の老廃物や余分な水分を取り除き体外に排出する尿を作る働きを担うなど、多くの役割があります。こうした腎臓の機能は糖尿病腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症といった病気で低下し、慢性化すると機能が失われる末期腎不全に至ることがあります。この場合に必要となるのが、血液から老廃物などを人工的に取り除くための透析治療で、日本の透析患者数は2018年の統計で約34万人に達しています。当院では糖尿病・生活習慣病専門の外来を週2日設け、薬物療法や管理栄養士による食事指導などさまざまなアプローチを通じて腎機能の低下を防ぐことに努めています。また、どうしても透析が必要となった患者さまには、より安全・快適を重視しつつ効果を追求した治療を提供しています。

透析に至る前に腎機能を守るための予防策には、どのようなものがありますか?

年に一度は必ず健康診断を受けていただくことです。特に若い方は身近な問題として考えるのが難しいかもしれませんが、将来的に腎不全を患うリスクは誰にでもあります。健診で尿タンパクが認められたり、Cr(クレアチニン)の値が高かったりした場合は必ず医療機関を受診してください。糖尿病や高血圧、鎮痛剤の飲みすぎや喫煙も腎不全のリスクを高めるので注意してください。さらに脱水症状も腎臓にダメージを与えるので、特に夏場の水分補給は大切です。

こちらで行っている透析治療について教えてください。

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多くの施設が厳しい食事制限を行う中、当院は「栄養状態の良い透析患者さまのほうが長寿」であることが示された多くの報告があるので、「しっかり食べて動いて、しっかり透析」を基本に治療を行います。腹膜透析(PD)、血液透析(HD)では長時間透析、夕刻から行う準夜透析や深夜帯の眠っている間に行うオーバーナイト透析など、幅広い選択肢をご提供しています。当院の透析治療の特徴としては、透析量が全国平均より3割ほど多いため、カリウム制限の不要な方が多いことですね。透析量や運動量の多い方やCa非含有リン吸着剤を内服されている方は、良好な生命予後がもたらされたとの報告もあり、当院の患者会の皆さまは、コロナ禍以前は一緒にバス旅行に出かけてブドウ狩りを楽しまれたりしていましたよ。

週末の空白を減らす「オーバーナイト透析」

オーバーナイト透析とはどのような治療法でしょうか?

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深夜帯の睡眠時間を利用して1回8時間行う長時間の透析です。体に蓄積された尿毒素や水分を、ゆっくりと時間をかけて除去していくため、体への負担が少なく、血圧の安定や薬の減量、貧血の改善につながることが期待できます。金曜日の夜から行うことで次回の透析までの空白時間を短縮し、身体的負担がさらに軽減できることも利点です。お仕事や家事など日中の時間を有効活用したい方や、負担の少ない長時間透析を希望されている方にお勧めです。当院は長時間透析においても実施可能な、無酢酸間歇(むさくさんかんけつ)補充型血液透析ろ過(AF I-HDF)および前希釈大量液置換オンライン血液ろ過透析(オンラインHDF)に対応した先進の透析装置を備えています。既存の患者さまから優先に受けつけておりますが、首都圏でオーバーナイト透析を行える医療機関はまだ少ないため、他の施設で治療中の方からのご相談にも応じています。

深夜透析ではどのような安全対策を行っていますか?

深夜の透析でも患者さまが不安を感じないよう、安全対策は徹底しています。23時の消灯後は赤外線カメラで見守り、大事故につながることのある抜針については、寝返りをしても針が抜けないよう回路、肩と腕にしっかりとテープで固定。さらに、テープ固定は抜針事故防止に有用とされる方法を採用しています。万が一抜針が起きても、漏血センサーによって早期発見が可能です。当直は医師、看護師、臨床工学技士の3職種が常駐し、透析中の血圧低下防止のため循環血液量のモニタリングも行っています。加えて、無風の放射冷暖房システムを導入し安眠しやすい環境も整備していますので、安心してご利用ください。

腹膜透析(PD)と血液透析(HD)の併用療法や在宅血液透析(HHD)に力を入れていると聞きました。

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腹膜透析(PD)はおなかに埋め込んだカテーテルを通し、1日4回各30分ほど、自分で透析液を出し入れします。腹膜への負担から治療期間は5~10年ほどに限られ、生命予後に関わるアルブミン値が下がりやすい欠点はありますが、血液透析(HD)より腎機能の保持に役立ち、通院も月1~2回で済む治療法です。血液透析(HD)と腹膜透析(PD)を併用することでアルブミン値が保たれやすいなどのメリットがあり、当院では併用をお勧めしています。また在宅血液透析(HHD)は、ご自宅に機器を設置して自ら透析を実施する治療法で、就寝中に行うことで日中の社会生活と両立しやすいのが特徴です。保険診療として医療機関で透析できる回数は原則週3回・月14回までですが、在宅血液透析(HHD)には制限がなく、多頻度の透析が生涯行えます。当院では在宅血液透析(HHD)にてオーバーナイト透析を実施している患者さまもいらっしゃいます。

世界水準の透析治療で「東京一の施設」をめざす

透析の時間と頻度を増やす以外にも、さまざまな取り組みを行っているそうですね。

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先述のとおり、当院は平均的な水準を超える透析量で毒素の排出効果を上げることに努めており、これは米国でも良好な結果が報告された高血液流量での透析によって取り組んでいます。また、血液ガス分析も行っており、腎不全における異所性石灰化、食欲低下や疲労感と関連する代謝性アシドーシスの値を定期的に評価しています。2017年春に開始したオーバーナイト透析の結果についてもデータを取り続けています。これらのデータをもとに、2021年に出版が予定されている血液透析診療指針に関する書籍において一部執筆を担当させていただきました。

会社帰りに透析治療を受ける方も多いと聞きました。

金曜日のオーバーナイト透析、月水金及び火木土の準夜透析を受ける患者さまの多くが就労者です。働き世代からの高いニーズを受け、2019年5月16日より火木土も準夜透析を開始しました。日中のみの対応という透析施設がまだ多い中、当院は就労者の応援、サポートを目的に、治療体制を拡大させました。働き世代の方こそ、体への負担の少ないオーバーナイト透析や、週3回の準夜透析をうまく利用して、お仕事との両立にお役立ていただきたいですね。新型コロナウイルス感染拡大を受け受付にサーモグラフィを設置するなど、感染症対策も徹底していますので安心して受診ください。

今後の目標を聞かせてください。

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学術的裏づけのある世界水準の治療を通じ、単に透析を行うにとどまらない、患者さまのQOLを高めて良好な生命予後をもたらす医療機関でありたいと考えています。開業後も研究を続け、勉強会で臨床に基づく論文を発表するなど積極的に情報発信してきた結果、当院の治療方針への理解や関心も高まっていると感じています。自他ともに「東京一の透析施設」と認める存在に当院を育てることが私の目標です。これまでもよく食べて、動き、元気で長生きをめざす「しっかり透析」を追求しており、40年以上透析を継続中の3名の患者さまについて研究発表もしています。透析をすることになっても生活を諦める必要はなく、多様な選択肢があると知っていただけるよう、今後も努力を続けてまいります。

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