不正咬合は子どもの成長の妨げに
早めの検査と定期的な通院が重要
しげずみ歯科医院
(北九州市小倉南区/石田駅)
最終更新日:2023/02/03


矯正の主流は、マウスピース型装置を用いた矯正へとシフトしてきている。見た目を気にすることなく、取り外し可能なので歯磨きもしやすいなど、ワイヤー矯正と比べて始めやすい点も多い。「しげずみ歯科医院」では、このマウスピース型装置を用いた矯正で、未就学児から始められる小児矯正にも注力。「小さいうちに顎を広げておけば、本格的な矯正が必要になっても抜歯なしで治療できる可能性が高くなります」と、患者の負担が少ない点が小児矯正の魅力だと重住大乗院長は話す。また不正咬合があることで体の成長に悪影響を及ぼすこともあり、子どもの健全な成長のためにも歯並びは非常に重要だという。「お口から全身を診る」をモットーとする院長に、小児矯正で大切にしている点や、矯正を始めるタイミングなどについて話を聞いた。
(取材日2022年12月21日)
目次
子どもの矯正は本人のやる気が大前提。早めにマウスピース型装置を用いた矯正を行い、将来抜歯しない矯正へ
- Q子どもの歯並びは、いつ頃から気をつけておくべきですか?
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A
▲一緒に鏡で歯並びを見てチェック
子どもの矯正を始める時期は7〜9歳が多いですが、これはむしろタイムリミットとも言えます。大事なのは1歳半、3歳時の歯科検診を含め、定期的な通院を受けながら歯並びなどに異常がないかをクリニックでしっかり経過観察していくこと。お子さんお一人お一人で歯並びや顎の大きさなどは異なり、矯正を始めるのに適したタイミングも変わってきます。状況によっては、受け口になることが確実になってきた段階で、小学校に上がる前でも、お子さん用のマウスピース型装置を提案することも。“いつ”ではなく、歯科検診やフッ素塗布などを定期的に行うと同時に、“早いうちから”矯正の必要性や時期などをクリニックと話し合うことをお勧めします。
- Q歯並びを悪くしないために、日常生活で気をつける点は何ですか?
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A
▲口腔周囲筋肉トレーニングを行う
頬づえは歯並びに悪影響を及ぼす可能性が非常に高いです。そして最も注意したいのが、舌と唇の癖です。歯並びは舌の位置と口輪筋(口の周りの筋肉)によって決まると言えますが、口がぽかんと開きっぱなしになっている、舌を出す、下唇を噛むなどの癖は、口輪筋に悪影響を与える恐れがあります。口が開く原因に鼻炎などがあれば、同時に耳鼻咽喉科での治療もお勧めします。ただ、これらの癖にご家族が日常的に気づくのはなかなか難しいため、定期的なクリニックへの通院を通じて、私たち歯科医師や歯科衛生士にチェックをしてもらうのが、不正咬合を防ぐ最も適切な方法と言えるでしょう。
- Q小児のうちに噛み合わせを整えることのメリットは何ですか?
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A
▲歯だけでなく全身もしっかり診ていくと話す重住院長
まず一つは、体の成長に合わせて顎を広げる矯正を行うため、将来的に歯並びの矯正を行う必要があっても、抜歯をしなくて済む可能性が高くなります。ということは矯正期間が短くなり、金銭的・身体的な負担軽減にもつながります。もう一つは、体全体の成長にも良い影響をもたらすことが期待できる点が挙げられます。口をきちんと閉じると、自然と姿勢が良くなり、側弯症のような姿勢になることを防げます。また集中力が上がり、脳の活発化につながるとも言われています。歯科はお口を中心に診る場所ですが、私は「歯を入り口に全身の機能を診る」ことを大切に、常に治療にあたっています。それほど噛み合わせが全身に与える影響は大きいのです。
- Q小児の矯正を行うまでの流れを教えてください。
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A
▲噛み合わせについてわかりやすく説明してくれる
最初の無料相談では口腔内スキャナーで歯並びを確認し、例えば「今の歯並びに問題はないけど、顎が少し小さいから注意が必要ですね」など、現状と予測できることをお伝えします。そこで治療が必要となれば、横顔や、顎全体のレントゲン検査のほか、CTなどで骨の量などを調べます。つい目に見える範囲の歯並びを気にしてしまいがちですが、歯茎の中にある骨の様子がどうなっているかまで調べないと、不正咬合の治療は行えません。実際の矯正方法は、マウスピース型の装置を使用します。撮影した口腔内の写真はスマホのアプリでも見れるようにしております。経過をみることを楽しみに思っていただけたらうれしいです。
- Qお子さんの矯正を行う際に大事にしていることは何ですか?
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A
▲矯正は子どもの意思が大前提だと優しく語る重住院長
お子さん本人に矯正を行う意思があることが、当院で矯正を行う際の大前提です。マウスピース型の装置は、お子さん自身で装着するため、ある程度のお子さんの理解と自発性が欠かせません。例えば、歯の模型を見せながら「今、少し出っ歯になっているから歯茎に当たって痛いよね。放っておくともっと悪くなるけど、この器具を使ってみる?」とお子さんと一対一で話をし、そこでポジティブな返事がないならば、親御さんに強い要望があっても治療は行いません。無理強いはクリニック嫌い、そしてあらゆる歯科治療の放棄につながってしまうからです。大事なのはお子さん自身の「やりたい」という気持ち。焦らず、適切な時期を一緒に見つけましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/13万2000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。