重住大乗院長の独自取材記事

しげずみ歯科医院

(北九州市小倉南区／石田駅)

最終更新日：2023/02/03

JR日田彦山線・石田駅から車で3分。のどかな田園風景の中にたたずむ「しげずみ歯科医院」は1999年に開業。患者の多様な要望にとことん応えようとする重住大乗（だいじょう）院長の真摯な姿勢と、必要とあらば待合室に出てきて患者と話し込む気さくな人柄で、地域からの信頼が厚い歯科医院だ。一般的な歯科診療だけでなく、「お口から始まる健康」をモットーに、東洋医学の考えに基づいたアプローチを行うのも特徴的。「患者さんの訴えを、原因がわからないからと気のせいで済ませるのではなく、しっかり原因を究明し解決していきたい」と熱く語る。そんな重住院長に、大事にしている診療方針、今後さらに注力したいという噛み合わせや矯正などについて話を聞いた。

（取材日2021年8月4日／情報更新日2022年11月17日）

一般的な診療だけでなく東洋医学に基づくアプローチも
噛み合わせが全身の健康に影響を与える
これからも、挑戦を続ける「面白い歯医者」でありたい

一般的な診療だけでなく東洋医学に基づくアプローチも

院長の、大乗というお名前が印象的です。

祖父が仏教の教えからとって名づけてくれたそうで、私は「世の中に貢献できる人になりなさい」と言われて育ちました。父は八幡東区で開業する歯科医師で、歯だけでなく全身の状態まで考慮して診療することをポリシーとしていました。待合室には人体に関する本がたくさんあり、幼い頃はそれを夢中になって眺めていましたね。私が今、東洋医学の考えに基づいて、歯の健康だけでなく全身の健康管理にも貢献したいと考えるのは父の影響でしょう。父の歯科医院は手狭だったこともあって、私は知人にこの場所を紹介してもらい、「ここでやらないと後悔する」と直感して開業しました。

患者さんと接するとき、どんなことを心がけていますか？

これも父の教えですが、「先生バカ」にならないことですね。先生、先生と言われて勘違いして、偉そうな態度をとるような人間になるなと言われたのをよく覚えています。開業から22年、その教えを胸に、患者さんに気持ち良く通い続けていただけるよう、何でもフランクにお話しできる関係づくりを心がけています。診療では、虫歯・歯周病の治療や小児歯科、入れ歯、予防歯科、矯正、セラミックを用いた補綴治療、インプラント治療、ホワイトニング、訪問歯科診療などオールマイティーに提供。ドライマウスや舌痛など、原因がよくわからない場合でも「患者さんの気のせい」で済まさず、さまざまな検査を行って原因を究明し、東洋医学の知識も駆使してアプローチするのが当院の大きな特徴です。

東洋医学の考えに基づいたアプローチとは、どのようなことをするのですか？

「全身の状態が口腔に投影される」という考えに基づき、保険診療内で漢方を処方する場合があります。例えば口内炎に対して、西洋医学では塗り薬で外部から改善しようとしますが、東洋医学では口内炎ができた原因を追求し、漢方薬などを使って内部からの改善をめざします。また、明確な痛みだけでなく、口腔内のさまざまなトラブルにも対応するため、自律神経の状態やストレス度を測定できる装置や、知覚過敏や疼痛の改善をめざす機器もそろえています。

噛み合わせが全身の健康に影響を与える

特に注力したい診療はありますか？

噛み合わせを改善するための矯正です。噛み合わせがずれていると、虫歯や歯周病の原因になり、歯の寿命を縮めることにもなり得ます。姿勢のゆがみや頭痛など全身症状を起こす場合もあるんですよ。当院ではこれまでワイヤー矯正も行ってきましたが、2021年からはマウスピース型装置を用いた矯正に絞って提供。これは、装置が透明なので着けていても目立たない、矯正中の痛みが少ない、患者さんご自身で取り外しできるので口の中を清掃しやすいなど、メリットがたいへん大きい方法だと感じています。デメリットは、患者さんが1日20時間以上きちんと装着してくれないと矯正が進まないことくらい。第2土曜日は引き続き矯正専門の歯科医師を招いてワイヤー矯正の患者さんをフォローしますが、マウスピース型装置の場合は私が担当しますので、いつでも予約を受けられます。

マウスピース型装置を用いた矯正では、どのように矯正を進めるのですか？

先進的な口腔内スキャナーを導入していますので、従来のように歯型を採る必要はありません。スティック状のスキャナーを数秒口の中にかざすだけで、口腔内をデータ化。コンピューター上で、理想の歯列に整えていくまでのシミュレーションを行うことができます。装置を製作するメーカーにデータ送信できるのでタイムロスがなく、精度の高さにこだわって装置が作れるのも大きなメリット。当院では、永久歯が完全に生えそろっていない小学校高学年頃からこの矯正法を適用しています。3歳頃からのお子さんには、マウスピース型の口腔機能育成装置を使用。これは装着時間が短いので幼稚園や学校へ着けていく必要がなく、やわらかい素材でできているのでお子さんも装着しやすいと思います。

その他、ニーズが高まっている診療は何でしょう？

患者さんからよくお問い合わせいただくのが、先ほどのマウスピース型装置を用いた矯正、そしてインプラント治療、訪問歯科診療についてですね。インプラント治療では歯科用CTなどで事前診断を行い、コンピューター上でシミュレーション。適切なインプラントの埋入位置や術式を検討します。インプラント体を顎の骨に埋入する一次手術ではガイドシステムを活用。先進的な医療機器や技術を用いて、精度の高いインプラント治療をめざします。また訪問歯科診療にも注力していて、歯科医師や歯科衛生士が専用車でご自宅や施設へお伺いし、必要な検査や治療、口腔ケアなどを提供。摂食嚥下障害の診断やリハビリテーションも行っています。治療時の唾液などの飛散を防ぐ携帯用の口腔外バキュームを持参しますので、衛生面でもご安心ください。

これからも、挑戦を続ける「面白い歯医者」でありたい

口臭でお悩みの方への治療にも積極的に取り組んでいらっしゃるとか。

口臭の原因はさまざまで、ストレスや緊張時に起こる口臭、ご自身しか感じない口臭もあります。どこに相談しても「気のせい」と言われるけれど、患者さんはその違和感に長年思い悩んでいるというケースも多いです。当院ではそのような方たちの力になりたいと考え、積極的に口臭の診療に取り組んでいます。口臭研究で知られる、私が尊敬する先生から指導を受け、口臭測定や官能検査、唾液測定、舌診などを行い、原因を徹底的に追求。多くの場合、漢方を中心にアプローチします。原因がわかるだけで安心される方も多いでしょう。口臭でお悩みの方の中には不安神経症などの疾患を抱えている方もいらっしゃいますが、私は精神科病院の中の歯科に約4年勤務した経験があり、対応には慣れています。お気軽にお問い合わせください。

スタッフの皆さんの、和やかな雰囲気も魅力ですね。

明るく楽しく、和気あいあいとやってます（笑）。丁寧な言葉遣い、わかりやすい説明を心がけ、患者さんがリラックスして通うことができる歯科医院でありたいと思っています。歯科医師は常勤4人、非常勤2人、歯科衛生士8人、助手や受付、経理を担当する私の妻など、スタッフ体制を充実させています。院内感染対策も徹底していて、全診療台にセントラル式口腔外バキュームを備えています。オートクレーブ（高圧蒸気滅菌器）3台をフル活用し、治療で使用した器具はすべて滅菌しています。除菌システムも導入し、診療で使用する水は除菌水。コストはかかりますが、自分の家族に使えるものを患者さんにも使うのが当たり前ですし、私も気になって心の中がモゾモゾしますからね。不安な点を一つずつ改善してきて、今は自信をもって清潔な治療空間が実現できていると言えます。

最後に、今後の展望を聞かせてください。

開業以来、患者さんのご要望に一つずつお応えする中で診療分野がどんどん広がってきました。これからも時代のニーズに即した診療を提供していきたいと思います。今興味があるのが、インターネットを活用した診療。マウスピース型装置を用いた矯正では、携帯電話のカメラ機能を使って経過を確認したり、シミュレーションを共有したり。いろいろなことができるようになってきているので、当院も挑戦したいと考えているところです。これからも「面白い歯医者」「楽しい歯医者」であり続けたいですね。