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安積 祐実 院長の独自取材記事

あづみ眼科クリニック

(世田谷区/世田谷駅)

最終更新日:2021/11/19

安積祐実院長 あづみ眼科クリニック main

「あづみ眼科クリニック」のロゴマークは、院名のイニシャルである“A”と、閉じたまぶたのイラストをアレンジしたものだ。院長の安積祐実先生は「患者さんの目を守りたい」という強い思いで日々の診療にあたっている。緑内障治療に重点を置きながら、地域に根差したクリニックとして幅広い年齢層の患者が持つ不安を解消し、「来て良かった」と思ってもらえる対応をめざしているという安積院長の言葉からは、温かく誠実な人柄が伝わってくる。そんな安積院長に、眼科医師をめざした理由から日々の診療のことについてまで、さまざまな話を聞いた。

(取材日2020年7月8日)

緑内障を患う父がきっかけで眼科医師の道へ

なぜ眼科医師を選ばれたのですか。

安積祐実院長 あづみ眼科クリニック1

父の仕事の関係からアメリカで生まれて5年を過ごし、ドイツ・フランスを経て小学校3年の時に日本に戻りました。小学校高学年くらいで「人の役に立つ仕事をしたいな」と思い始め、海外で生活していたこともあって外交官を考えた時期もありました。でも、風邪をひきやすくて小児科に通うことが多かったため、医療のありがたさや重要性にふれていくうちに医学の道をめざそうと決意しました。当初は小児科や内科を考えていましたが、眼科を志したのは父が緑内障になったことが大きいと思います。その頃は緑内障に関する詳しい知識もなく、「失明してしまう病気では?」と怖くなって、眼科に興味を持ち始めました。

先生のご経歴を教えてください。

東京女子医科大学在学中に、ベルギーのブリュッセル自由大学へ交換留学生第一期生として留学しました。現地の小児科や外科で勉強したり、救命救急で学んだりしたのですが、日常会話程度のフランス語はできるので役立ちました。東京女子医大卒業後に同大学病院の眼科に入局。手術用顕微鏡を用いて微細な手術を行うマイクロサージャリーに興味があり、白内障の手術が一人でできるようになるまで糖尿病網膜症の分野で知られる堀貞夫名誉教授に指導していただきました。結婚した後は、主人の在籍していた島根大学でいろいろな手術に携わることができました。その後、堀先生に背中を押されて、東京女子医科大学病院の眼科へ戻りました。現在も月に一度東京女子医科大学病院の緑内障専門の外来のお手伝いに行っています。

開院までの経緯とこの場所を選ばれた理由を教えてください。

安積祐実院長 あづみ眼科クリニック2

東京女子医科大学病院とオリンピア眼科病院、さらに当院からほど近くにあった柳沢眼科の外来を兼務していました。柳沢眼科の院長は友人のお母さまなのです。友人が小児科医師だということもあり、手伝いを頼まれて兼務を始めました。その後、院長がご高齢であることから後を継いでほしいと希望され、悩んだ末にお受けすることになったのです。当初は柳沢眼科の場所で引き継ぐ予定でしたが、そのタイミングで駅の近くにとても良い物件があったので、こちらで開院する運びとなりました。

こちらのクリニックの特色はどのようなところですか?

2020年3月に開院したので、新型コロナウイルス感染症対策のため、受付にもアクリル板を設置しております。待合室の椅子もソーシャルディスタンス確保のため間隔を空けました。また、赤ちゃんからお年寄りまで幅広い層の患者さんが来院されるので、車いすの方がそのまま入れるようにトイレの間口を広くとっています。設備面では、視力や視野の検査機器以外にも、先進的機器であるOCTという3次元の断層撮影機器を備えています。OCTで撮影すると網膜神経線維の状態を詳細にチェックできるので、緑内障の発症リスクを含め、加齢黄斑変性や、さまざまな疾患の早期発見に役立ちます。

緑内障は早期発見・早期治療が大切

緑内障治療に注力されているそうですが、きっかけはやはりお父さまですか?

安積祐実院長 あづみ眼科クリニック3

もともとは、東京でも島根に行ってからも白内障の手術を重点的に行っていました。ですが2人の子を育てながら常勤で手術もしてという両立はなかなか難しいと悩みましたし、それ以上にやはり前述した父のことが大きな転機になったと思います。当時は、現在では当たり前になった眼圧を下げるための薬もありませんでしたし、さらに働き盛りで忙しかった父は、決められた通院ができなかったり、治療のための点眼を失念したりしたことでどんどん悪化してしまいました。患者さんに対して、眼圧を下げられればどれくらい視野を保つことができるか、そのための通院と点眼がどれほど重要かをわかっていただければ、父のようになるケースを防げると思ったのです。

緑内障は早期発見が大事だそうですね。

緑内障は視神経が傷んでいく病気で、一度見えなくなってしまうとその視野は元には戻りません。それ以上悪くならないように、進行を遅らせるための治療がポイントになります。ですので、どれだけ早く発見して治療を開始するかが重要なのですが、初期には自覚症状がほとんどないため、見えにくいという状態になってから受診しても、その時点でかなり進行してしまっているケースがほとんどです。40歳以上ではおよそ20人に1人が緑内障になっているというデータもあるので、40歳になったら一度眼科を受診するというのがいいと思います。近視が強い方もリスクが高くなりますし、緑内障のご家族がいる方は体質が似ることが多いので、特に受診をお勧めします。自覚症状がない方でも、診察、検査を受けていただくことで発症の前兆を発見につなげられますから。

緑内障に対してはどのような治療をするのですか?

安積祐実院長 あづみ眼科クリニック4

まずは眼圧を下げる目的の目薬の点眼です。緑内障治療の分野はどんどん進歩しており、点眼薬も複数の種類がありますので、一つの薬が適さなければ違うものを組み合わせます。患者さんによっては副作用が出る場合もありますし、心臓に疾患がある方とか喘息の方が使えないものもありますが、患者さんの状態に応じて適切な組み合わせをカスタマイズします。症状の進行をなるべく目薬だけで抑えるためにも、早期発見が重要になるのです。どうしても点眼薬で対処しきれない場合は、レーザー治療を加えたり、手術するという方法になります。

「患者の目を守りたい」という強い思い

日々の診療で特に心がけていらっしゃることは?

安積祐実院長 あづみ眼科クリニック5

どんなことで困っていらっしゃるのか、患者さんのお話をよく伺うようにしています。また、幅広い世代の患者さんが来院されるので、年代に応じた話し方や接し方も心がけています。息子が2人おりますから、このくらいの年の男の子はじっとしていられないな、ということもわかりますね。中にはクリニックというだけで怖がって泣きだすようなお子さんもいるので、診察室にある机の中に息子たちが使っていたミニカーやキャラクターのフィギュアを入れておき、見せながら話しかけるとだんだん落ち着いて、目を診察させてくれることも。来院された皆さんの気持ちに寄り添って、少しでも元気になって帰っていただきたいです。また、最近ではお子さんを連れていらして、次はそのごきょうだい、そしてご自分、ご主人と来院してくださる方も増えていてうれしいですね。

患者さんとの印象的なエピソードはありますか?

緑内障と診断されて、継続した来院が難しい中でも、信頼してくださってきちんと通っていただけた時は、「この方の目を守りたい」と責任を感じました。また、多くの方が最初は病気に対する不安で緊張した様子で来院されますが、病気以外にも総合的にいろいろと話をしていくうちに「今一番何に困っているか」を話してくれるようになります。そのように相談をしていただけるときは、やはりうれしいですね。大切なのはただ悪いところを診るだけではなく、こちらからも心を開いて話を聞くことです。なので、結膜炎やドライアイなどで受診された場合も、患者さんの訴えた症状だけを見ずに、訴えていないところでも目のほかの病気がないか、一通り見落としがないかを細心の注意を払って診療にあたるようにしています。そうすることで患者さんも安心して通院することができると思いますし、目の病気で苦しむ人も減らすことができると思います。

今後の目標を教えてください。

安積祐実院長 あづみ眼科クリニック6

白内障の手術をしていた頃は、結果がわかりやすく、患者さんから感謝の言葉をいただくたびに、医師としてのやりがいを強く感じていました。今はそれ以上に、「安心しました」という言葉と笑顔がうれしいですね。大学病院や専門病院とは違う地域に根差したクリニックらしく、患者さんの目を守りたいという思いで、「来て良かった」と感じていただけるような、きめ細かく温かい対応を今後とも心がけていきたいと思います。

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