再発予防も視野に
CAD/CAMシステムによるセラミック治療
江本歯科
(世田谷区/豪徳寺駅)
最終更新日:2021/10/12
- 自由診療
歯科医院の院内でセラミックの詰め物やかぶせ物を製作していくCAD/CAMシステムを用いた治療は、天然の歯に近い色の詰め物やかぶせ物が選べることや、治療時間が数日とならず、最短で1日で治療が終わることも可能なことがメリットだと考えている人もいるだろう。しかし、「CAD/CAMシステムで製作したセラミックの詰め物やかぶせ物は、歯にぴったりとフィットさせていくことに強みがあり、そのためにむし歯の再発リスクを最小限にできるのが一番のメリット」と話すのが、江本歯科の江本正理事長だ。そこで、実際に以前からCAD/CAMシステムを用いたセラミック治療に取り組む江本理事長に、そのメリットや実際の治療の流れについて、教えてもらった。
(取材日2019年10月31日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qセラミックを使うことのメリットを教えてください。
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A
セラミックには、硬さ、つまり曲がりにくさが、保険診療で使う金属よりも天然の歯に近いという特徴があります。物体は、力が加わったときに変形しようとしますから、その時の曲がりにくさが同じ程度でないと、歯と修復物の境目に隙間ができて、むし歯菌が侵入してむし歯が再発したり、接着剤が剥がれて修復物が取れてしまうこともあります。天然の歯に近い硬さのセラミックを用いることで、それらのリスクを減らし、結果として、むし歯の再発の予防にも期待できるというわけです。加えて、金属を用いないため金属アレルギーを起こさない、熱が伝わりづらいために熱さを感じにくい、汚れがつきにくい、見た目がきれいといったメリットもあります。
- Qこのシステムを使って歯を修復するメリットは何でしょうか?
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A
CAD/CAMシステムを用いることで、従来は印象材を用いていた型採りが、口腔内のスキャンとなり、負担が少なく精密に型採りできるようになりました。また、コンピューターで詰め物やかぶせ物を製作するため、製作にかかる費用が抑えられますし、スキャンから製作までの時間が短くなることで、場合によっては一日で治療を終わらせられるかもしれません。一方で、セラミックを用いた治療は自由診療となりますので、保険診療に比較すれば費用がかかるのがデメリットと言えるでしょう。現在、CAD/CAMシステムを用いた治療で一部、保険診療となる場合がありますが、素材がセラミックとは異なります。
- Q貴院のCAD/CAMシステム治療の特徴を教えてください。
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A
CAD/CAMシステムを使う治療のためには、実は、その前の審査・診断が大切になります。例えば、セラミックにも種類がありますので、それぞれの症例に合った材料を選ぶことなどですね。また、製作したセラミックの詰め物やかぶせ物を歯科医師が装着していきますので、その歯科医師の技術や経験によって違いが出てきてしまうことも。当院の場合は、まだ国内に広く普及する前からCAD/CAMシステムを用いた治療に取り組んできましたし、現在は私自身、CAD/CAMシステムを用いた治療法を他の先生方に指導していますので、経験や知識を生かした治療を進められるかと思います。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1口の中全体を確認した後にカウンセリング
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まずは、口の中全体の写真やエックス線の撮影、目視などで患者の口の中の状態を確認し、それをもとにカウンセリングを行う。歯は、再治療を繰り返すたびに消耗し、最終的には抜くことになってしまうことから、セラミックの詰め物やかぶせ物を使い、再治療の可能性を減らしていくことがポイントなのだそう。同院では、診察室に設置してある大型モニターやタブレット端末を使用し、画像も示しながら詳しく丁寧に説明してくれる。
- 2セラミックの修復物を入れる前に治療を行う
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セラミックの修復物で治療をすることが決まれば、その前にむし歯などの治療を行う。必要に応じてマイクロスコープも使用し、むし歯や銀歯があったところなどをできるだけ薄く削り、歯の形を整えていく。また、むし歯が神経まで達している場合は、先にその治療をすることになる。神経の治療は、一般的に2週間から2ヵ月の間に、3〜4回の通院が必要になり、それが終わってから仮歯を入れて型採りができる状態に整えることになる。
- 3口腔内スキャナーで型採りをする
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口腔内スキャナーで歯の型採りをする。かかる時間は2〜3分程度で、従来の印象材による型採りのように、口を開けたまま我慢する必要はないそうだ。口腔内スキャナーによる型採りでは、印象材で採取した型に石膏を流し込んで模型を作成するのではなく、デジタルデータがそのままコンピューターに取り込まれ、誤差の少ない歯型を採ることができるのだそう。その後、そのデータをもとにセラミックの修復物が製作されていく。
- 4取り込んだデジタルデータをもとに修復物を製作
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取り込んだデータをもとに作られたモニター上の3D画像を見ながら、歯科医師が詰め物やかぶせ物を設計する。ある程度はコンピューターが自動で設計するが、セラミックの選択や形の微調整、噛み合わせを考慮する必要があり、それらの知識や経験が必要になるのだそう。設計が終わったら、CAD/CAMシステムが自動でセラミックブロックを削り出し、詰め物やかぶせ物を製作。小さな詰め物なら10分以内にできるそうだ。
- 5セラミックの修復物を歯に装着する
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歯にラバーダムを装着し、唾液や口の中の湿気が治療に悪影響を与えないようにした後、必要に応じてマイクロスコープを用いながら、接着剤を使いセラミックの詰め物やかぶせ物を装着していく。詰め物やかぶせ物に用いたセラミックの種類によって、適切な接着剤を使用することが、むし歯を再発させないためには大切になるという。治療が終わった後は、定期的にメンテナンスを受けていくことで、口の中を健康に保つことが大切。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックインレー/3万8000円〜、セラミッククラウン/5万円〜 ※すべて税別
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。