生活習慣の見直しにつながる
負担の少ない経鼻内視鏡検査
矢野内科クリニック
(松山市/道後温泉駅)
最終更新日:2025/02/07


- 保険診療
不安な症状があるけれど負担が大きそう……と胃の内視鏡検査を受けるのを躊躇している人は多いのではないだろうか。だが機器の進歩により、「最近では、特に経鼻内視鏡検査は気軽に受けられる、低負担の検査になっているんです」と話すのは、「人を診る」ことを大切に、多世代のホームドクターとして診療にあたる「矢野内科クリニック」の矢野哲郎院長だ。日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を持つ消化器内科のスペシャリストであり、胃の経鼻内視鏡に注目して、これまであまたの検査を手がけてきた。クリニックに病変の有無を高画質で精査できる先進の経鼻内視鏡を取り入れ、病気の早期発見につなげてきた院長に、経鼻内視鏡検査のメリットや流れなどを詳しく解説してもらった。
(取材日2024年10月18日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q内視鏡検査ではどのような疾患がわかりますか?
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A
一つは胃がんです。最近、胃がんは早期発見すれば、内視鏡下の処置で対応できる可能性が高くなっています。ただ全般的に発見される疾患の傾向は変わり、かつて多かった胃や十二指腸の潰瘍は減りました。一因は、ピロリ菌除菌が進んだことにもあるでしょう。内視鏡検査で慢性胃炎とわかるとピロリ菌除菌ができますが、すると胃の状態が整い、胃酸の分泌も盛んになる。それもあって近年増えているのが、胃酸を多く含む胃の内容物が逆流して起こる逆流性食道炎で、内視鏡検査では食道の粘膜にびらんや潰瘍などの病変が見られます。胃痛や胃のむかつきなど症状はあるが、内視鏡では所見がない機能性ディスペプシアという疾患の方も増えていますね。
- Q検査にはつらいイメージがあるのですが……。
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A
胃カメラは、苦しいものとイメージされがちですが、実際に検査を受けると、「これなら来年も受けてもいい」という感想を持つ方は多いと思いますよ。経鼻内視鏡は文字どおり、細くてやわらかい胃内視鏡を鼻から挿入するもので、その直径は小指の先ほど。一般的なボールペンよりも細いんです。また経口内視鏡と違い、喉奥にある舌根を刺激しないので嘔吐感が少ないですから、鎮静剤や全身麻酔を用いないのが基本。検査中に医師と話もでき、検査後は自分で運転して帰れます。ただ細くとも、カメラは経口内視鏡に匹敵する高画質です。レーザー光源を使用した高画質スコープで明るく鮮明に写し出しますので、小さな病変の早期発見も期待できます。
- Qどのような人が検査を受けるべきですか?
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A
まず40歳以上の方は、年に1度の検査をお勧めします。特に近親者にがんの方がいる場合、他の器官も併せてしっかり検査しておくと安心かと思います。意外と見落としがちなのが、食後の胃痛や胃もたれ、むかつき。少しの食事ですぐに満腹になったり、食べ物を飲み込んだ時に喉につかえる感じがしたりと食事に不快な症状が伴うなら、検査を受けたほうがいいですね。こういった症状は胃腸炎や機能性ディスペプシアの可能性もあり、10・20代の方も注意が必要です。また、健康診断の造影剤検査で要再検査の場合はもちろんですが、貧血が顕著に見られた方も要注意。内臓から出血している可能性がありますので、早めに検査を受けてください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診
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検査日は事前に来院した際に予約をする場合が多いが、朝食を食べていないならば当日に検査をすることも可能だ。予約をしている場合は、前日の21時までに夕食を済ませておく。検査前には薬のアレルギーはないか、血が止まりにくいことはないか、耳鼻科で鼻が悪いと言われたことはないかなどを確認。感染対策の観点から、直近1週間に発熱がなかったかもヒアリングされる。
- 2検診の前処置
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経鼻内視鏡を挿入する前処置として、胃の中をきれいにするために消泡剤を飲む。その後、血管収縮薬を両方の鼻にスプレーし、鼻の粘膜の腫れや充血の抑制を図る。そして鼻腔に局所麻酔をし、ジェル状の麻酔薬を塗ったやわらかいチューブを鼻から挿入して、内視鏡の通りをスムーズにする。この時、どちらの鼻の通りが良いかも確認される。
- 3内視鏡検査
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細くてやわらかい内視鏡を鼻から挿入し、食道や胃、十二指腸を調べる。院長は患者の不安を和らげることを大切にしており、一つ一つの動作を行う際には声かけをするよう心がけている。経鼻内視鏡検査には鎮静剤や全身麻酔を用いないのが基本であり、それは同院でも同様。そのため検査中に医師と同じモニター画像を見ながらその場で説明を受けることができる。リラックスできるように音楽を流すこともあるそうだ。
- 4検査結果を聞く
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検査終了後は、診察室で検査結果の説明を受ける。無麻酔・無鎮静で実施したのなら、検査後は、自分で運転して帰宅することも可能だ。検査時に生検が行われた場合は、後日改めて予約の上、来院する必要がある。より専門的な検査や治療が必要と判断された場合には、連携する医療機関を紹介してもらえる。