池田 大助 院長の独自取材記事
吉川医院
(茨木市/茨木市駅)
最終更新日:2024/09/13
阪急京都本線茨木市駅から徒歩1分の場所にある「吉川(きっかわ)医院」。マンションの1階にある院内は、緑の庭の見えるリラックスできる雰囲気の待合室と、大理石の受付、ガラスを背にしたおしゃれな診察室が特徴的だ。池田大助院長は3代目として2024年4月に同院を継承。日本皮膚科学会皮膚科専門医だが、勤務医時代には救急科・外科でも診療経験を積んでいる。「皮膚は内臓を写す鏡」といわれるそうで、「救急科や外科で全身を診ていた経験が、その点で非常に役立っています」と語る池田院長。皮膚科医の視点で、患者の全身を診られるようになりたいという想いから、継承後は同院について「皮膚科総合診療所」と掲げている。穏やかな口調と、優しい笑顔が印象的な池田院長に、継承開院後のこれからの方針や、患者への想いについて話を聞いた。
(取材日2024年8月7日)
救急や外科の経験を生かして、全身を診る皮膚科へ
この4月にお兄さまから医院を継承されたそうですが、まずは吉川医院の歴史を教えてください。
当院は約75年前に故・吉川景三が、当時では珍しい皮膚科医院として開院しました。その後、私の兄である吉川章彦が継承し、多くの患者さんが訪れるクリニックに成長させました。2024年4月から私が3代目を継承し、1949年4月の開院以来の総患者数は、のべ200万人以上にのぼります。長年経営していることから、開院当時に子どもだった患者さんが、自身のお子さん、そしてお孫さんを連れて来院するなど、3代にわたって通われているご家族も数多くいらっしゃいます。そういう姿を見ていると本当にほほ笑ましく、医院の長い歴史と絆を感じますね。当院のこれまでの歴史を大切にしながら、質の高い医療を提供し続けていきたいと考えています。
継承するまでの先生の経歴を教えてください。
1994年に医師免許を取得した後、大阪大学医学部附属病院の特殊救急部(現・高度救命救急センター)に入局しました。ここでは救命を要する交通外傷、重度熱傷、脳出血、心筋梗塞など多くの最重症患者の治療を経験しました。翌年に起きた阪神・淡路大震災では前線で災害医療に従事しました。兵庫県立西宮病院の救命救急センターに配属され、震災後の救急医療に携わり、その後守口敬仁会病院で消化管穿孔や消化器がん、絞扼性腸閉塞など外科手術の研鑽を積みました。1998年に当院を継承する決意をし、皮膚科の道に進みました。大阪医科薬科大学皮膚科学教室で学び、2005年皮膚科専門医を取得、助手、病棟医長を歴任。その後は守口敬仁会皮膚科部長として約19年間勤め、2024年4月に当院の院長となりました。当院では非常勤医師として2006年から勤務していたので、患者さんのニーズや地域医療環境を深く理解していると自負しています。
救急科や外科から皮膚科に転換されたとのことですが、その経験がどのように生かされていると思いますか?
外科的な技術習得はもちろんですが、“皮膚は内臓を写す鏡”とよく言われるほど、皮膚科はただ皮膚を診るのではなく、全身を診る科なので、救急科や外科で全身を診ていた経験が非常に役立っています。内臓がん、肝臓病、膵臓病などの消化器・肝胆膵系疾患、糖尿病をはじめ甲状腺、副腎などの内分泌系疾患、心不全、動脈・静脈閉塞、血管炎などの循環器・血管系疾患、SLEや皮膚筋炎などの膠原病、腎不全などの腎臓泌尿器科系疾患、種々の細菌・真菌感染症など、あらゆる内科的疾患が初期症状や随伴症状として皮膚に症状が出てくることが多くあるからです。ちょっとした皮膚所見から内臓病変を予測できるというのは皮膚科専門医の大きな一つの醍醐味だと思っています。皮膚科を受診される方のほとんどは一般的な皮膚疾患ですが、常にそのことを意識して日々の診療にあたっています。「皮膚科総合診療所」と掲げる由縁はそこにあります。
生活習慣の指導も治療には欠かせない
医院の特徴について教えていただけますか?
当院は、皮膚全般に対応するクリニックです。一般的な皮膚疾患はもちろん、難治性皮膚疾患、アレルギー、小児皮膚疾患、皮膚腫瘍、外傷、熱傷などの皮膚科救急、しみのケアなどさまざまな診療を行っており、皮膚腫瘍については、切除から病理組織診断まで手がけています。患者さんは乳児から高齢者の方まで幅広いのが特徴ですね。顕微鏡やレーザー数種、紫外線療法の機器など、充実した設備を備えており、あらゆるお悩みに寄り添います。「他のクリニックでなかなか治らない」という方も、診る人の目が変われば治療方法が異なることもあるので、一度受診していただきたいですね。最近では美容を中心とする皮膚科や、皮膚科専門医ではない皮膚科を掲げているクリニックが増えてきていますが、それで悪化している方も数多くいらっしゃいました。まずは皮膚の悩みは皮膚科専門医での治療をお勧めします。
継承されてから変えたところはありますか?
私のこれまでの経験を生かして、外科的な治療に注力するようになりました。また、慢性的な皮膚疾患の方には治療だけでなく、生活習慣の改善を促す指導を行っています。いくら治療しても、食生活や生活リズムが崩れているとなかなか回復しません。前院長だった兄は、患者さんへの愛ゆえ、かなり厳しく生活指導していたようですが(笑)、それは治療には必然的なことだと思っています。私は性格的にそこまで厳しくは言いません(笑)、その分、患者さんの意見を聞きながらわかりやすく説明し、患者さんが継続できるような生活改善を進めていきます。皮膚疾患の改善には本人の努力が必要不可欠なので、一緒に頑張っていきたいですね。
患者さんと接する際に大切にしていることは何でしょうか?
患者さんの話をしっかりと聞き、悩みに応じた的確な生活指導・処置を行うことを大切にしています。皮膚疾患によっては、日々の生活リズムや仕事、嗜好品、そして食生活に大きく影響されます。例えば、アトピー性皮膚炎やニキビ、じんましんなどです。そのため、まずは問診を丁寧に行い、患者さんの生活背景を聞き出すようにしていますね。生活の中で改善できるところがあれば指導し、最適な治療法を提案したいと考えています。
「皮膚のことで困ったら吉川医院」という姿をめざして
そもそも先生が医師をめざしたきっかけは何だったのでしょう。
当院の前院長であり、現名誉院長である兄の影響です。兄とは20歳くらい年が離れているので、私が子どもの頃はすでに兄は医学部で学んでいました。その後、医師として活躍する姿を見て「かっこいいな」と思うようになったのです。そして私も医学の道を志し、大学6年の頃には救急医療に憧れるようになり、「全身を診る科で人を救いたい」という思いから、最初は救急科医をめざして専門に選びました。
先生の得意な診療を教えてください。
私が得意とする診療は、大学病院時代の専門分野であった皮膚のできものの悪性・良性診断などの皮膚がん診療とレーザー治療も含めた皮膚外科手術ですね。また救急科医、外科医時代を含めると大学病院、総合病院で約30年間、勤務医でやってきましたから、軽症から重症まであらゆる疾患に対応する自信はあります。先ほどもお話しさせていただいたとおり、ちょっとした皮膚病変の中には大きな疾患が隠れている場合があります。治療をしてもなかなかかゆみが取れない患者さんにCTや内視鏡検査など全身精査を勧めた結果、内臓がんが見つかり、手術することで、かゆみの改善につながったってことはよくあります。皮膚だけにフォーカスしない総合的な診断は私の得意分野だと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当院は地域の皮膚科クリニックとして、75年以上多くの方々に信頼される医療を提供してきたと自負しています。これからも「皮膚のことで困ったらやっぱり吉川医院」と言っていただけるような医療サービスを実践していきます。もし皮膚に関することでお困りのことがあれば、まずは当院にご相談ください。他の内科的な問題についても、質問していただいて構いません。一般的な皮膚疾患は元より、ちょっとした皮膚所見から内臓疾患を見極めることが皮膚科専門医としての醍醐味だと考えています。これからも「ちゃんとした皮膚科」として皮膚科の王道を邁進していきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみ取り(1cm×1cm)/8000円