つらい鼻詰まりは1日でも早く解決へ
鼻中隔湾曲症の手術とは
耳鼻咽喉科サージクリニック老木医院
(和泉市/和泉中央駅)
最終更新日:2024/03/27


- 保険診療
鼻の左と右を分けている“鼻中隔(びちゅうかく)”と呼ばれる部分が大きく曲がり、鼻水や鼻詰まりなどの症状をもたらす「鼻中隔湾曲症」。薬を服用しても改善が見込めないため、根本的な解決をめざすには手術が有用だ。「つらい鼻詰まりの原因が鼻中隔湾曲症にあるならば、早く治療を受ければ、それだけ早く快適な毎日が望めると考えてほしい」と話すのは、「耳鼻咽喉科サージクリニック老木医院」の老木浩之理事長。経験豊富な手術経験で数多くの患者をつらい鼻詰まりから救うことをめざし、患者が安心して治療を受けられるよう短期滞在手術にも力を入れている。今回は鼻詰まり手術に注力する老木理事長に、鼻中隔湾曲症の原因や治療方法、こだわる短期入院手術について詳しく聞いた。
(取材日2024年1月25日)
目次
息苦しく、不快感が強い鼻詰まり。薬で改善が望めないなら鼻中隔湾曲症の可能性も。早期手術で根治をめざす
- Q鼻中隔湾曲症とはどのようなものでしょうか?
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A
▲経験豊富な手術経験を持つ老木理事長
鼻の穴を左右に隔てる鼻中隔が曲がってしまい鼻詰まりなどがある状態を「鼻中隔湾曲症」と呼びます。顔の枠組みの骨と鼻中隔の骨・軟骨との成長スピードの差が原因とされています。鼻中隔が真っすぐな人はほとんどおらず、また鼻中隔が曲がっている人すべてが「鼻中隔湾曲症」というわけではなく、症状が現れた場合にだけ病名がつきます。鼻中隔が曲がって狭くなった側と反対の鼻内は逆にスペースが拡がり、空気が通りやすくなると思うかもしれませんが、曲がってスペースができると下鼻甲介骨という骨が広がるような動きを見せ、張り出してきます。そのため、結局両方の鼻が詰まりやすくなるというのも鼻中隔湾曲症の特徴といえます。
- Q重篤化するケースはありますか?
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A
▲鼻詰まりの放置はさまざまな病気を引き起こす可能性がある
鼻中隔湾曲症は、骨の成長がストップすれば大きく進行することはありませんが、鼻詰まりを放置しておくことでさまざまな病気を引き起こすことが心配されています。頭痛、肩凝り、いびき、くしゃみのほか、嗅覚障害や味覚障害が引き起こされることもあります。また鼻詰まりによって口呼吸の習慣が身についてしまい、集中力低下にもつながるといわれています。放っておくと、鼻の中の通気性の悪化により菌が繁殖して副鼻腔炎を併発し、鼻詰まりの症状がもっとひどくなるといったこともあります。きちんと通院しているのになかなか治らない、薬を飲んでも症状が治まらないという人は、一度設備の整ったクリニックで検査を受けるといいでしょう。
- Q治療の内容を教えてください。
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A
▲患者としっかり向き合い治療を進める
「鼻中隔湾曲症」は骨の問題ですから、薬での改善は見込めません。鼻詰まりを治すためには、「鼻中隔矯正術」という手術を受ける必要があります。鼻の穴から器具を挿入し、ゆがんだ鼻中隔の軟骨を切除して、真っすぐになるように整えます。また、下鼻甲介が肥大していて空気の通り道をふさいでいる場合には、下鼻甲介骨を取り除くため「粘膜下下鼻甲介骨切除術」も同時に行います。このほか、鼻の中のポリープがあれば除去し、慢性副鼻腔炎を合併しているケースでは、そちらの手術も同時に行うことがあります。ただし、成長段階では最終的な鼻中隔の湾曲状態は見極められないので、この手術は成人で行うのが一般的です。
- Q手術の所要時間や、手術中の痛みについてお聞かせください。
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A
▲手術時間は1~2時間程度で、術後のサポートも手厚い
患者さんの状態や合併している疾患によって手術時間は変わりますが、おおよそ1時間半です。全身麻酔による手術ですから、手術中に痛みを感じることもほぼないでしょう。また当院では手術後1泊2日の短期入院をしていただきます。短時間で低侵襲な手術とはいえ、簡単な手術というわけではありません。手術後は患者さんの体も心も疲れ切った状態になっていますから、看護師がいる環境でゆっくりと休んでいただくことを大切にしています。退院後も数日はゆったりと過ごしていただきたいですね。
- Q短期滞在手術を行う耳鼻咽喉科クリニックは多いのでしょうか?
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A
▲患者が安心して治療を受けられるように短期滞在手術を行う
いいえ。入院施設を持たず日帰り手術を行うクリニックは徐々に増えているようです。しかし、入院施設を持つことは小さなクリニックにとって大きな負担になるため、当院のように1泊以上の短期滞在手術を行えるクリニックは全国的にも多くはありません。当院がそれでも短期入院にこだわるのは、安全性を追求したい、術後の不安な気持ちを少しでも払拭したいと考えるからです。鼻中隔湾曲症の手術は一般的な総合病院で1週間ほどの入院が必要な手術です。当院ではできるだけ患者さんに負担の少ない日数で、かつ術後の安全性に配慮できる範囲で、1泊2日の短期入院としています。退院後のフォローもしっかり行いますので、安心して受診ください。