渡場 孝弥 院長の独自取材記事
成城マタニティクリニック
(世田谷区/成城学園前駅)
最終更新日:2025/12/26
世田谷通り沿いにある「成城マタニティクリニック」。渡場孝弥院長が、「女性の生涯に寄り添う診療を提供したい」と、生理の悩みからワクチン接種、がん検診、妊娠・出産、更年期の症状まで、幅広く対応する産婦人科医院だ。4階建ての医院にはマタニティーヨガ、ピラティス講座が開かれるスタジオやトリートメントルームも設置されている。24時間対応の無痛分娩やフリースタイル分娩などお産の選択肢も多く、時代のニーズに応えるクリニックといえるだろう。国立成育医療研究センターなどで難しい症例にも多く携わった経験を持つ渡場院長に、クリニックの特徴や安全性を重視した出産へのサポート体制について話を聞いた。
(取材日2025年8月21日)
妊婦の希望に寄り添う安心でアットホームなお産を提供
こちらのクリニックの特徴は?

HPVをはじめとするワクチン接種からピル処方、婦人科がん検診から妊娠・出産、更年期障害まで、女性の生涯に寄り添う診療を広く提供しているのが一番の特徴です。中でもお産は、普通分娩、無痛分娩、フリースタイル分娩、いろいろなスタイルが選べます。総合病院では味わうことのできない、アットホームで家族の思い出に残るお産を提供することを責務と考えています。開院当初は無痛分娩の希望は少数でしたが、妊婦さんが希望するさまざまな分娩スタイルを提供することが本当の意味でのフリースタイル分娩だという気持ちで細々と続けてきました。その後、当院が東京都無痛分娩費用助成事業の対象医療機関となったこともあり、無痛分娩を希望する方がどんどん増加。直近ではおよそ6割の方が無痛分娩を選択されています。
分娩スタイルが選べるのですね。
はい。国立成育医療研究センター在勤中に蓄積した「自分だったら妊婦さん、患者さんに対してこうするのに、ああするのに……」という思いをすべてかなえられる場にしたかったのです。大きな病院ではどうしても細かい配慮まで行き届かないところもありますから。また、世田谷区でお産ができるクリニックが長年不足しているということも後押しとなりました。当院では、和室LDRでの分娩や24時間対応の無痛分娩、帝王切開など一人ひとりの状況に合わせて細かく対応するほか、上のお子さんを含めたご家族の立ち会いや条件つきでの家族入院も可能です。帝王切開の場合でも、できる限りカンガルーケア(早期母子接触)を行い、産後は個室での母子同室を基本にしています。それぞれのお産にできる限り時間をかけて寄り添い、緊急帝王切開率や会陰切開率の軽減に努めています。
無痛分娩について教えてください。

硬膜外麻酔を基本としつつ、意図的に細い針で硬膜穿刺をする方法や脊髄くも膜下麻酔を併用する方法などのテクニックで、安全で満足度の高い無痛分娩をめざしています。急速に進むお産でも無痛対応が可能となり、うまく進まないお産への緊急帝王切開も極力避けることが可能です。1人目の出産経験からお産に対して恐怖心を持っている方は、恐怖心を和らげるために2人目で無痛分娩を選択するというのもよいでしょう。基本的に計画分娩としていますが、先駆けて陣痛がきた場合でも24時間365日体制でできる限り対応しています。また、東京都では2025年10月1日から、無痛分娩への助成がスタートします。都内に住民登録があり、都内対象医療機関で分娩する方が対象で、当院も対象医療機関となっています。
生涯にわたる女性の心身の健康を守る医療を展開
各種指導やプログラムも充実していますね。

安産であるかどうかを決める一つの大きな要素が、妊娠期間中の食事や運動といった生活習慣です。そこで助産師が中心となって、妊婦さん向けの保健指導やマタニティーフィットネスを提供しています。当院にはフィットネスインストラクターの資格を持つ助産師も在籍しており、皆熱意を持って妊婦さんの満足を追求しています。また、骨盤のサイズにより難産になりやすいとされる低身長の妊婦さんに対しても、体づくりを意識してスムーズなお産をめざしていただくための特別なプログラムをご用意しています。一般的にクリニックでは低身長の妊婦さんのお産を避ける傾向があり、当院でも通常は身長150cm未満の初産婦さんのお産は受け入れていませんが、特別なプログラムに参加していただくことによりお受けすることが可能です。病院の無機質な環境でなくアットホームな雰囲気の中で産みたいという低身長妊婦さんの思いに応えられればと始めたプロジェクトです。
こちらでは胎児検査や遺伝相談なども行っていらっしゃいますね。
通常の妊婦健診の超音波検査では、胎児の心臓がきちんと動いているかどうかをチェックしますが、さらに血流の向きなどの細かいところまで診る検査も行っています。検査は2回、20週目と30週目に行い、基本的に当院の妊婦さんたち全員に受けていただくようにしています。細かいところまでしっかり見た上で健康ですよと言われると、妊婦さんにとっては一番うれしく安心できるのではないかと思います。遺伝相談とは、例えばお母さんが高齢のため、赤ちゃんの健康が心配だとか、上のお子さんや親きょうだいが何か障害のある場合に随時相談ができる外来です。遺伝相談に関しては、実際利用される方はそんなに多くはありませんが、心配になったときにこういう相談ができる場所があることで、妊婦さんにとって安心につながればいいと思います。
ほかに力を入れている診療はありますか?

お産に限らず、ライフステージによって変化する女性の体を守る医療にも注力しています。10代での公費による定期接種が推奨されているHPVワクチンは、若い命を守るために大切なものです。一時より増えているとはいえ、まだまだ十分に受けていただいているとはいえない状況ですので、ぜひ積極的に接種を受けていただきたいと思っています。また、現状では公費補助対象となっていませんが、妊娠中のRSウイルスワクチン接種もお勧めしています。生まれた赤ちゃんがRSウイルスに感染してしまうと、早期であればあるほど重症化するとされています。入院加療が必要となったり、後遺症で喘息になってしまったりすることもあります。誕生前からこうしたリスクを避けるためにも、ワクチン接種をぜひご検討いただきたいですね。
難症例の経験で磨いた技術で命の誕生を見守り続けたい
診療の際に心がけていることはありますか?

一番心がけているのは、お母さんと赤ちゃんに安全で優しいお産です。これまで、いろんな病院で数多くのお産を経験しながら満足するお産とは何なのだろうと考えてきました。そして自分なりに見つけた答えが「安心」でした。中には異常が見つかるケースもありますから、そういう場合は以前在籍していた国立成育医療研究センターに迅速にご紹介します。出産後のお母さん自身の体力回復はもちろん大事ですが、おうちに帰ってからできるだけスムーズに子育てができる状態で退院できるよう、当院では私とスタッフとでサポートするようにしています。
産婦人科の医師を志されたきっかけは?
医師になろうと思ったのは高校生の時。技術さえあればどこでも仕事ができる。その自由さが当時の私には魅力的でした。生まれ育った北海道を離れて弘前大学の医学部へ進み、そこで最終的に産婦人科を選んだ理由は、数ある科目の中で唯一生と死が交錯している科だったからです。産婦人科はお産を扱うだけではなく、婦人科の病気を診るところでもあり、亡くなるケースもあります。ある意味、女性の一生が凝縮されている科。今の医療はどんどん細分化されていますから、揺り籠から墓場まで、人の一生を通して見られる科はほかになかなかないのではないか、きっとやりがいも大きいだろう、そう思ったのです。命が誕生する感動的な瞬間に立ち会い、その前後を見守りたいとの思いから周産期医療を専門とし、一般の産科の医師が一生に見るか見ないかというような、希少な症例にも多く携わりました。危険が大きいケースでは、無事生まれた時の喜びもひとしおです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

特に初めてのお産を迎えるにあたっては、わからないこと、不安なことも多く悩みを抱えがちなもの。そうした時には、ぜひクリニックの医療者を頼っていただきたいと考えています。当院の助産師はとてもたくましく頼りがいがあるメンバーばかりです。スタッフ全員患者さんへのご対応も本当に丁寧にしてくれています。気になることがあれば気軽に相談してください。

