奥野 博 院長の独自取材記事
ふじのもり腎泌尿器科クリニック
(京都市伏見区/墨染駅)
最終更新日:2024/11/13
「ふじのもり腎泌尿器科クリニック」は、2024年5月に開業した泌尿器科・腎臓内科・内科のクリニック。京阪本線・墨染駅から徒歩約7分、北鍵屋公園を望む師団街道沿いに立つクリニックは明るく開放的な空間で、患者同士の視線が交わりにくい待合室のレイアウトなど、快適な受診のための配慮が光る。院長の奥野博先生は、京都大学医学部附属病院や京都医療センターで臨床・研究・教育の経験を積み、京都泌尿器科医会の会長も努める泌尿器科診療のスペシャリスト。先進の検査機器と豊富な経験を生かして、患者のさまざまな悩みに対応している。「幅広い年代の方が気軽に受診できるクリニックでありたい」と語る奥野院長に、同院の特色や診療における強みなどについて語ってもらった。
(取材日2024年10月7日)
専門性の高い診療を地域に提供する
居心地の良いクリニックですね。
さまざまなクリニックに見学に行き、患者さんにとってストレスの少ないクリニック、スタッフにとって動線が効率的で働きやすいクリニックをめざしました。明るい雰囲気にしたかったので、待合室は吹き抜けにしてたっぷり光を入れ、お車で来院される方のために専用駐車場も確保しています。また、泌尿器科の特性を考えて、患者さんと受付のスタッフ、あるいは患者さん同士の視線がぶつかることが少ないよう、待合室の椅子の配置などにも配慮しました。待合室のモニターには医療情報や癒やし感のある動画を投影しており、テレビは設置していません。その代わりといってはなんですが、院内にフリーの無線LANを設け、インターネット上で漫画や雑誌が無料で読めるサービスを提供しています。
患者さんと接する際に大切にされていることを教えてください。
地域に根差し、より身近なところで診療を提供するクリニックなので、患者さんはもちろんご家族とのお付き合いを大切にしています。診療の際には、同伴の方にも一緒に診療室に入っていただき、丁寧にお話しするようにしています。いろいろなお話をしたり、聞いたりすることは、患者さんをより深く理解することにもつながるんです。
設備がとても充実していますね。
泌尿器科なのでトイレには特に気を使いました。バリアフリーのゆったりとしたスペースにして、男性用、女性用に加えて、多目的トイレも用意しています。また、身近な地域のクリニックでありながら、基幹病院に匹敵する診療設備を備えています。超音波(エコー)検査装置、エックス線撮影装置のほか、血尿が出ている方、前立腺肥大症などで排尿障害がある方の診断、膀胱がんの手術後の経過観察に活用できる膀胱内視鏡は、新型で細径、高精度のものを採用。検尿の自動分析器も導入しており、数分で自動的に尿の検査を行い、検査結果はすぐに診療室のディスプレーに表示されます。
どのような患者さんが来られますか?
当初は、以前の勤務先で手術を担当させていただいた方が継続診療のために来院されることが多かったのですが、最近は、ホームページをご覧になって受診される方も増えてきました。患者さんの訴えで多いのは、夜間頻尿や尿漏れといった排尿障害のお悩みです。健康診断で尿に潜血反応が見られた、血尿が出たといった症状のほか、尿路結石症が疑わしい背中や下腹部の痛みを訴えて受診される方もおられます。特に目で見てわかる血尿の場合は、膀胱がんの疑いもあるため、迅速な対応が欠かせません。感染症や結石で血尿が出ることもあるので、すぐにエックス線検査やエコー検査を行い、患者さんと画像を共有しながら診断します。画像を見ていただくことで、症状についてより理解が深まればと考えています。
可能な限りワンストップの診療をめざす
医師を志したのは何かきっかけがあったのですか?
父が滋賀県の彦根市で小児科の開業医をやっており、私は男ばかり3人兄弟の末っ子でした。診療所が住居と一緒になっていたので、幼い頃から医師という仕事を身近に感じていたのでしょうね。兄弟は成長してみんな医師になりました。泌尿器科を専門に選んだのは、内科的な要素と、外科的な要素を併せ持つ診療科だからです。小さなお子さんからご高齢の方まで幅広く診療し、長期間にわたって患者さんと関われる点も魅力でした。当時、泌尿器科の教授をされていた先生が、ご高名で魅力的な方だったことも大いに関係しています。
これまでのご経歴を教えてください。
医学部卒業後は、京都大学医学部附属病院や京都医療センターなどで、高度な医療が必要な患者さんを診てきました。日本の泌尿器科は早くからロボット支援手術を取り入れており、私も数多くのロボット支援手術を行ってきました。また、医学部の5・6回生に臨床の技術や知識を学ぶ臨床教授として、京都大学や関西医科大学の指導も担当する日々でした。当院の院長就任については、以前からお話をいただきながら、京都医療センターの業務が非常に忙しくなかなか実現しませんでした。しかし、後任の先生が来てくださったことで、院長拝命の決心がついたのです。
特に注力されている診療はありますか?
地域の方々のさまざまなお悩みに対して、できる限り当院で完結する診療を提供したいと考えており、必要と判断した場合は迅速に基幹病院や大学病院へとつなげます。京都泌尿器科医会の会長も務めていますので、多くの医療機関や先生方とのつながりを生かして、患者さんやご家族にとっても利便性、紹介先の先生の得意とする診療を踏まえた上で、よりメリットが期待できる病院や先生を紹介するようにしています。
患者が多いという尿の悩みにはどのように対応されますか?
基本的に国内外のガイドラインに沿って診療を進めます。まずは、水分の摂取に関わる生活習慣の改善、骨盤底筋を引き締めるための体操などの行動療法ですね。当院では干渉低周波の機器を導入しており、骨盤底筋に低周波の刺激を与えることで頻尿や尿漏れの改善を図っています。こうした方法で改善が見られない場合は、薬を使った治療も検討します。また、女性の患者さんの場合、内診に抵抗を感じる方もおられますが、内診でわかることもたくさんあります。このため、その大切さをしっかりと説明した上で、女性看護師同席の上で内診を行うこともあります。最近ではガイドラインでも内診が奨励されているんですよ。
一人ひとりをしっかりと診療する
院長以外のスタッフさんについても教えてください。
私の専門分野ではない腎臓内科や内科の診療にしっかり対応できるよう、金曜に同法人内クリニックの先生に診療をお願いしています。また、私がお休みをいただいている木曜は、京都大学医学部附属病院、京都医療センターの先生が来てくださいます。看護師、事務スタッフについても、泌尿器科の特性をきちんと理解して、患者さんへの配慮を忘れないようにお願いしていますが、優秀なスタッフばかりですので、そこはまったく心配はしていません。
今後の展望を聞かせてください。
おかげさまで、たくさんの患者さんに来ていただけるようになり、深く感謝するとともに、受診された方に満足して帰っていただくことを大切にしています。将来的に考えていることはいろいろありますが、まだクリニックが始まったばかりで、常勤の医師も私一人です。まずは日々の診療、一人ひとりの患者さんをしっかり診ていくことを大事にしていきたいですね。
現在の先生のリフレッシュ法は?
病院勤務の頃とは、すっかり生活パターンが変わったので、新しい生活の中でいかにリフレッシュするかを模索しているところです。今は、午前と午後の診療の間の時間を活用して、ゴルフの打ちっぱなしに行ったり整体院に通ったりしています。体が資本なので、健康には留意したいですね。病院勤務の頃は、診療や手術、幹部としての業務、さらに教育・研究もあり、ストレスが多かったと思うのですが、最近は少し緩和されたのか、周囲から「なんだか表情が若くなりましたね」などと言われたりします(笑)。
地域の方々にメッセージをお願いします。
泌尿器科の悩みには、人に話しづらいこともあり、受診のハードルが高いと感じている方もおられると思います。年齢のせいだから仕方がないと諦めている方もいらっしゃるでしょう。当院は小さなお子さんからご高齢の方まで気軽に受診していただけるクリニックをめざしています。心配なこと、気になることがありましたら、どうぞ気兼ねなく相談にいらしてください。