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平井 伸幸 院長の独自取材記事

平井こどもクリニック

(松山市/伊予和気駅)

最終更新日:2021/10/12

平井伸幸院長 平井こどもクリニック main

松山市和気町の「平井こどもクリニック」は1998年の開業以来、地域の子どもたちの健康を見守り続けてきた小児科専門のクリニックだ。愛媛県立中央病院などで豊富な経験を積んできた平井伸幸院長は、日本小児科学会小児科専門医。「医療は愛、治療は奉仕」をモットーに、優しい笑顔で温かく子どもたちに接しながら、重篤な病気を見逃さない的確な診療を重視するベテランドクターだ。松山市の小児救急医療体制の維持にも尽力する平井院長に、小児医療への思いを聞いた。

(取材日2021年3月13日)

優しい笑顔で診てくれる先生は子どもたちに大人気

この地に開業されたのはなぜですか?

平井伸幸院長 平井こどもクリニック1

開業当時、この辺りは小児科がなく地域住民はたいへん不便を感じていたようです。この地に小児科クリニックを開業することによって、地域の小児医療の充実に貢献できると考えて開業しました。

診察の際に大切にしていらっしゃることはありますか。

一番気をつけているのは、笑顔で子どもの目を見ることです。目を見つめるというのは、愛情を伝えるサインなんですね。診察室に入ってくる時、特に初診の子どもは必ずこちらを見ています。その時に視線が合わないと、子どもは不安になって泣きます。ですから、必ず目線を合わせます。優しい目でじっと見てくれる人は、子どもにとって安心感があります。小さい赤ちゃんでも笑顔を返してくれます。「ここでは子どもが泣きません」というお言葉をよくいただきますが、やはりその信頼関係がないと、診察も難しくなると考えています。そして、見ることは診察の一部でもあります。「視診」と言います。子どもは顔の表情や全身で体調を表していますので、小児科診療の中で視診は大きなウェイトを占めます。入院を要する重症の患者さんが、普通の風邪症状などで来られることもよくあることですので、見逃さないように細心の注意を払うようにしています。

小児科医師としてどのようなときにうれしさを感じますか?

平井伸幸院長 平井こどもクリニック2

子どもの頃患者さんとして来られていた方が母親となって自分の子どもを連れて来てくださることが最近増えてきており、とてもうれしく思っています。また、最初は診察の時に泣いていたお子さんも慣れるとみんな、にこにこして診察室に入ってきてくれるのでうれしいですね。うちのスタッフもみんな朗らかなので明るい雰囲気があるのと、長く続けてくれるスタッフが多く、看護師と事務の主任スタッフはほぼ開業の時からずっといて、子どもたちの成長を一緒に見守ってくれていることが安心感を与えるのかもしれません。

子どもは自分で症状を表現できないため、診察には難しさもあるのでは?

小児科は「母児科」だという考え方があります。子どもを診察して情報を得ますが、それだけでなくお母さんからも情報を得て、治療方法もお母さんに伝えて、お母さんに投薬などをお願いし治してもらう。逆に、心配のあまり対応が行き過ぎたり、病気のケアが間違っている場合もありますので、育児指導も含め広い範囲でお母さんから情報を聞かなければなりません。さらに、小児科医として経験を積むと、一目見て「これは危ない、重症だ」というのはわかります。ただ、非常に重篤な病気でも、ごく初期にはけろっとしていたりするから非常に見極めは難しい。「ぽんぽん痛い」と普通に診察室に入ってきた子どもが実は腸重積だったということもあるのです。一般的な症状の中に、少ないけれど見逃してはいけない病気が潜んでいるのが小児科診療。私自身は県立中央病院で5年半、小児の救命救急医療や重篤な病気に携わった経験が今の基盤になっていると感じています。

繰り返す中耳炎や夜泣きなどには漢方も処方

先生が得意としていらっしゃる治療などはありますか?

平井伸幸院長 平井こどもクリニック3

小児科全般とアレルギー疾患を診ており、気管支喘息、食物アレルギーの患者さんは多いですね。その他、夜尿症、臍ヘルニアなども多く治療しています。あと、小児科では初めから漢方薬処方を希望されることはまずありませんが、小児でも病態によって漢方薬を用いることで適切な治療につながり、喜ばれることがよくあります。例えば中耳炎。1回1回の中耳炎では抗生物質を処方しますが、何回も繰り返すケースでは漢方薬を長めに服用することにより中耳炎の改善につながることがあり、お勧めしています。体質改善や免疫力の向上など、漢方薬には得意な分野がありますから、状況に応じて処方しています。夜泣きも漢方薬で対応できることが多いです。

先生はどうして小児科を専門に選ばれたのですか。

外科系と内科系に分けて考えた時、医学部に入って最初の頃は手先が器用だったので外科系かなと思っていました。しかし、診察して情報を集め、頭の中で分析して治療を行う内科系のほうが、性格的に適していると考えるようになりました。内科は基本的に臓器別に診療科が分かれているので、総合的にその人全体を診たいと考えて小児科を選びました。また、小児は点滴なども細かい作業になるため非常に難しいんですね。その点も手先が器用な自分の長所が生かせると考えました。小児科は救急の問題や乳幼児健診、学校医など地域のさまざまなことに関わらなくてはならず、忙しい診療科だと思います。当時の学生の間では人気は低かったのですが、子どもたちはかわいいですし、将来を担う子どもたちの健康を支える仕事ができて、小児科を選んで本当に良かったと思っています。

地域での活動にも尽力していらっしゃるとお聞きしました。

平井伸幸院長 平井こどもクリニック4

松山小児科会の会長を2020年6月から務めています。以前から松山市医師会にて小児救急の問題に携わっていたつながりもあって、松山市医師会小児救急医療体制検討委員会では、委員長として松山医療圏の小児救急をいかに維持するかという課題にも取り組んでいます。松山市及び近隣市町の小児科医が結束し、医師会・行政とも協力しながら松山市急患医療センターや休日診療所を持ち回りで維持する体制をつくり上げています。松山市ほど小児救急を手厚くやっているところは全国的に見ても少ないのではないでしょうか。観光で他府県から来て松山市の小児救急医療を利用した方から感謝とともに驚きの声が届くこともあると聞きます。今後小児科開業医の減少により救急医療体制の状況が変わってくるかもしれませんので、この体制が維持できるように尽力していきたいと思っています。

子ども全般の相談窓口として頼れるクリニックに

お忙しいと思いますが、お休みの日はどのように過ごしていらっしゃいますか?

平井伸幸院長 平井こどもクリニック5

子どもたちの健康を支え続けるためには自分自身の体力や健康維持も大切だと思っています。なので、週に1回はできるだけジムに通い、時間が取れる時にはゴルフに行ったりしています。

最近のお子さんを見ていて気になることなどはありますか?

最近気になるのは、乳幼児にスマートフォンで動画を見せて子守りをしている親が増えていることです。日本小児科医会が「スマホに子守りをさせないで」というキャンペーンをしています。言葉が話せない赤ちゃんにも積極的に話しかけてあげることが、言葉の発達にはとても大事です。特に2歳まではスマホやテレビなどを見せることを控えてほしいと思います。その後もスマホを見る時間が長いと、学力、体力、視力、コミュニケーション能力に悪影響が出ますので、小さいうちからスマホやテレビなどのメディア漬けにならないよう、人と目を合わせてコミュニケーションすることを大切にしてほしいですね。

最後に読者にメッセージをお願いします。

平井伸幸院長 平井こどもクリニック6

小児科クリニックを子ども全般に関しての相談窓口として使ってほしいと思います。最近は核家族化しており、子どもの病気や育児のことについて相談できる人が身近にいないという情報不足の傾向がある一方、インターネットで何でも検索できるため過剰な情報に振り回されてしまう傾向もあるように感じます。子どもの病気、育児などに関する的確な情報源として、また、他科や総合病院への橋渡しとして、小児科クリニックをぜひ活用していただければと思います。

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