迅速に適切な診断へとつなげていくための
小児腹部エコー検査
ますだ小児科
(広島市東区/広島駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
子どもの腹痛の原因は胃腸炎や便秘などいろいろある。ほとんどの場合、大きな心配のいらないような原因なのだが、まれに急性虫垂炎や腸閉塞、腸重積など緊急を要する病気もあるため、迅速に、適切に診断していくことが必要だ。「おなかが痛い」という子どもの訴えから、腹部エコーによる検査をすることによって、その原因を素早く見つけ、迅速な診断・治療へとつなげていくことが可能になると話す「ますだ小児科」の増田宏院長。「エコーを聴診器と同じように使う」ことを開業時より実践する増田院長に、小児腹部エコー検査を導入した理由、同検査が有用な病気や症状、腹部エコー検査のメリットなどを詳しく聞いた。
(取材日2021年4月5日)
目次
病状の把握に時間を要さない腹部エコー検査。放射線被ばくの心配なく予約や事前準備なしに受けることが可能
- Q腹部エコー検査について教えてください。
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A
▲増田院長
小児の腹痛で一番多い原因は「便秘」です。「腹痛を訴える子がいたら、まず浣腸してみる」というのが以前からのセオリーです。しかしエコー検査をすることによって、実際に便秘かどうかが事前に確認できますので、無駄な浣腸を避けることができます。病状が早くわかるエコー検査については、小児科医の間でも「エコーを聴診器のように使いましょう」と最近はいわれるようになってきました。勤務医時代「おなかが痛い」と来院した患者さんに問診と聴診、触診により「胃腸炎」と診断して、実際は他の原因だった例を経験しました。ですから、私自身が確実な診断を行い、そして患者さんに安心してもらうため当院では開業時よりエコーを使っています。
- Qどんな時に腹部エコー検査を実施するのですか?
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A
▲患者に寄り添う考えでエコーを使用している
嘔吐や下痢、腹痛などの消化器症状がある場合です。ほとんどが便秘や胃腸炎などで大きな心配はいらない病気ですが、まれに急性虫垂炎や腸閉塞のケースもありますので、エコーで確認していく意味合いは大きいですね。特に小さなお子さんが罹る腸重積という病気は発症12時間以内に発見できるかどうかで手術しなくて済むか手術が必要になるかが決まっていきますので、迅速な診断が重要になります。エコー検査を行う際に特別な準備はいりませんので、当院では、特に希望がなくてもエコー検査を実施しています。
- Q腹部エコーを用いるメリットを教えてください。
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A
▲エコーによる診察の様子
一番のメリットは、きわめて多くの情報が得られることです。腸内の内容物によって便秘の有無、腸管の拡張や閉塞によって腸閉塞の有無、腸管壁の肥厚によって炎症の有無、虫垂の腫れによって急性虫垂炎、他に腹水の有無などもわかります。現在の高性能エコー機器の画像は、CTやMRIよりも解像度が優れています。また、被ばくもなく検査のために薬で眠らせたり、動かないように体を押さえる必要もありません。事前予約の必要もありません。当院では、開業以来エコー機器を新鋭機器に4台買い替えています。総合病院で使用されているのと同じような機器を使って、地域のクリニックだからこそ長くお待たせすることなく検査を受けていただけます。
- Q腹部以外でどのような病気を見つけることができますか?
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A
▲新鋭の器械を使用する
当院では、乳児健診や3歳児健診などで心臓、腎臓、股関節のエコー検査を行っています。これにより先天性の心臓病、水腎症などの腎臓病、先天性股関節脱臼などを診断することができます。また、副鼻腔炎の有無、首が腫れたときにリンパ節炎なのか流行性耳下腺炎(おたふく風邪)なのかもエコー検査で診断することができます。3~4歳までのお子さんに肘内障という肘が抜ける症状を経験することがありますが、この場合もエコー検査で診断して、治ったかどうかも確認することができます。さまざまなケースで使えるエコーの汎用性はかなり高いものです。