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増田 宏 院長の独自取材記事

ますだ小児科

(広島市東区/広島駅)

最終更新日:2023/04/26

増田宏院長 ますだ小児科 main

広島駅から徒歩で約10分。広島市東区役所と東区民文化センターとの間に、ドイツ風建築の外観が印象的な「ますだ小児科」がある。院内はパステルカラーをあしらったデザインでまとめられ、小さな子どもでも来院しやすいような優しい雰囲気をつくり出している。増田宏院長は日本小児科学会小児科専門医として、開業以来20年近く子どもの健康を守り続けている。同院では病気の診療や予防接種、健康診断に加え、心の問題をケアするため公認心理師によるカウンセリングも行っている。また病気の子どもを預かる病児保育室も院内に併設するなど、子育て全般に対するサポート体制を整えている。地域の子どものかかりつけ医として積極的に小児科を利用してほしいと語る増田院長に、いろいろな話を聞いた。

(取材日2020年10月13日)

自分のめざす診療を実現するために開業

まず医師になったきっかけからお聞かせください。

増田宏院長 ますだ小児科1

子どもの頃は、将来科学者になりたいと考えていました。もともと理系科目が好きで、自分はサラリーマン向きではないなと感じていました。世界的な賞をもらうような大きな研究をしたいと考え、医療分野の研究者になりたかったんです。でも、広島大学の医学部に入ってみたら、その当時は基礎研究はあまり重視されず、もっぱら医師の養成のほうに力が入れられていました。僕自身も臨床実習で患者さんに接していくうちに、研究よりも臨床のほうにやりがいを感じるようになりました。その中でも、特に幼い子どもたちのサポートができたらいいなと思いました。高齢になるほどいろいろな病気が重なってきて、病態がより複雑になってきます。その点、単純に考えることができる小児科のほうが自分には向いている気がしました。

勤務医経験の後、アメリカ留学もされているんですね。

増田宏院長 ますだ小児科2

広島市立安佐市民病院で全般的な診療を経験した後、東京女子医科大学の付属機関である日本心臓血圧研究所で、小児心臓病の専門的な教育を受けました。そこには、日本中から難しい心臓病の子どもたちが集まってきていたので、多くの症例を診ることができました。その後米国のオハイオ州立シンシナティ大学に2年間留学し、マウスの心臓のメカニズムをコンピューターで解析するという、当時としては先端的な研究に携わりました。でもやっぱり自分には研究より臨床が向いていることを再確認して、そこで研究者になる夢はきっぱりと断ち切りました。

その後開業までの経緯を教えてください。

帰国後は、広島大学病院と土谷総合病院で小児心臓病を中心に診療を行っていましたが、とても忙しくて自分の思うような診療ができないと感じるようになりました。患者であるお子さんの治療を行うのは当然のことですが、同時に、親御さん、特にお母さんの不安な気持ちをケアする必要を感じました。でも、勤務医の立場では、そこまでの時間が取れないんですね。そういったことから、自分がめざす診療を実現するために、開業を考えるようになりました。ただ、僕自身は、心の問題をケアするようなノウハウを持っていませんので、公認心理士がカウンセリングを行っています。

病気だけでなく子育て全般についてサポートしたい

腹部エコーについて教えてください。

増田宏院長 ますだ小児科3

子どもはしばしば腹痛を訴えます。原因の多くは、便秘やウイルス性胃腸炎ですが、時に急性虫垂炎や腸閉塞、腸重積など緊急性を要する病気も見られます。当初、胃腸炎だと思われたものが、痛みが続き総合病院で検査を受けたところ、急性虫垂炎で緊急手術になったというケースもあります。腹部エコーにより、より早く適切な診断が可能になります。エックス線による被ばくを心配することもありません。当院では、総合病院で使用されているのと同じ高性能の腹部エコーを使用して、より正確な病気の発見に努めています。「エコーを聴診器のように使う」ことで安全で安心な診療を心がけています。

小児科として多い症例や診療の特徴などはありますか?

増田宏院長 ますだ小児科4

子どもは風邪を引きやすいので、咳、鼻水、発熱といった症状の患者さんが多いですね。喘息や鼻炎などのアレルギー疾患や、湿疹などの皮膚疾患の患者さんも多いです。たまにケガをしたとか、中耳炎なども診ます。他には予防接種、健康診断などですね。また小児心臓病を専門にしていますので、学校検診で心雑音や心電図異常を指摘されたお子さんが来ます。診療の特徴としては、抗生剤を安易に使わないようにしていることと、やけどや傷を乾燥させずに治療する閉鎖療法(湿潤療法)を行っています。また、広島市からの委託で「病児保育室きぼう」を院内に開設しています。保育所、幼稚園、小学校に通っているお子さんが風邪をひいたときなどにお預かりして、専任の保育士と看護師が見ています。

診察する上で心がけていることを教えてください。

子どもを怖がらせないということですね。白衣を着ないのもそのためです。今は、新型コロナウイルス感染症のため仕方ないですが、普段はマスクもしません。痛いことはできる限りしない。それからお母さんの訴えをよく聞くことですね。診察後は親子で安心して帰っていただけるようにしたいと思っています。かかりつけ医に登録された方には、携帯電話で休日、夜間でも急病の相談に応じています。何か心配なことがあれば、遠慮せず連絡してほしいと思います。

子どもの病気はまず小児科の医師に相談してほしい

休日など時間のあるときは何をして過ごしますか?

増田宏院長 ますだ小児科5

特に趣味らしいものはないんですが、この10年くらいはなるべく体を動かすようにと、週3回はスポーツジムで30分のウォーキングと30分のスイミングをルーチンワークにしています。2人の子どもが小さかった頃は、サッカーや自転車ロードレースの応援に行ったりもしていましたが、現在子どもの1人は社会人、もう1人も大学生になり、そういった機会もなくなりました。自分の子育ての経験からも、子育ての大変さは理解できます。自分自身も「子どもは親が思うようには育たないものだ」ということに気づくまで、随分時間がかかりました(笑)。

今後の展望を教えてください。

増田宏院長 ますだ小児科6

基本的には、開業時から今までと同じように、子育てをサポートすること、困ったときにはいつでも役に立てるように、ということを続けていこうと思っています。あまり手を広げようという気もないし、自分も年を取ってきたので、周りの人の手を借りながら、当院を頼りにしてくれる人がいらっしゃる間は頑張ろうと思っています。若い親が子育てについて知らないことは当然として、昔はわからないことがあったら周りに相談する人がいました。でも現代では相談する相手がいない上に、インターネットを見ると逆に誤った情報に惑わされることも少なくありません。子育てが難しくなっているのではないかと思います。若い親御さんが安心して子育てができるようなサポートをしていきたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「もっと小児科を利用してほしい」ということですね。大人なら症状により内科や眼科、耳鼻科、皮膚科などに直接行くと思いますが、子どもの病気はまずかかりつけの小児科の医師に相談していただきたいと思います。診察の結果、たいていの病気はその場で治療できますし、必要があれば適切な医療機関に紹介します。それが子どものかかりつけ医の役割です。小児かかりつけ医は、皆さまのお子さんの主治医として、大人になるまでの健やかな成長を見守り続けます。ですから自分お子さんのことをよく理解してくれる小児科医師を見つけてほしいと思います。

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